キク白さび病|キクわい化病|キクえそ病|キク半身萎凋病|バラうどんこ病
キク白さび病
- 病 原
- 糸状菌(担子菌類に属するかびで、キクのみを侵す。野生キクにも発生するが、野生キクの菌はキクには感染しにくい。)
- 多発時期
- 露地栽培:6〜7月、9〜11月、ハウス栽培:11〜4月
- 病 徴
- 葉、茎、総苞に発生する。葉では乳白色の小斑点を生じ、黄色みを増しながら直径2〜3mmとなり、裏面は隆起し肌色〜淡褐色の冬胞子堆を形成する。
- 伝 染
- 病斑や葉の組織内で越冬した菌が担子胞子(小生子)を形成し、小生子が風媒あるいは水滴とともに飛散して感染する。新たに形成された病斑(冬胞子堆)にも湿潤状態で小生子が形成され、二次伝染する。
- 防 除
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- 発病していない親株から採穂する。
- 罹病葉は早めに摘み取り処分する。
- ハウス栽培では過湿にならないように注意する。
- 薬剤による防除は、薬剤耐性の発達を回避するため、同一系統の薬剤は連用を避け、登録のある農薬を葉裏にもかかるよう十分量散布する。
キクわい化病
- 病 原
- ウイロイド(キクのみを侵す。)
- 多発時期
- 気温25〜30℃の高温期
- 病 徴
- 葉の退緑化、葉の小型化、節間の短縮、花では特に赤系品種で退色、小型化、早期開花が見られる。 症状は品種によって異なる。
- 伝 染
- 無病徴株を含めた罹病キクが伝染源となり、苗伝染するとともに管理作業時の接触、刃物等により汁液伝染する。
- 防 除
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- 感染株の持ち込みと汁液伝染に注意する。
- 発病株を早期に除去する(症状の出にくい品種では困難)。
キクえそ病
- 病 原
- ウイルス(キクのほか、トマト、ピーマン、レタス、ラッカセイ、ガーベラ、トルコギキョウ、アルストロメリアなど多くの野菜と花きに発生する。)
- 多発時期
- 5〜10月
- 病 徴
- 葉に退緑斑紋、輪紋、えそを生ずる。葉脈に沿って黄化症状が現れ、のちに拡大し葉が黄化枯死することもある。症状が激しいと茎の表面に黒色の条斑を生ずる。全身発病株の茎髄部は褐変する。
- 伝 染
- 雑草を含む罹病植物が伝染源となり、アザミウマ類(主にミカンキイロアザミウマ)が媒介する。罹病親株からは苗伝染する。
- 防 除
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- 感染していない親株を導入する。
- 発生地から離れた場所で維持、育苗を行う。
- キクの親株床、育苗施設でミカンキイロアザミウマの防除を徹底する。
- 定植時に感染苗や感染株を持ち込まないようにする。
キク半身萎凋病
- 病 原
- 糸状菌(トマト、ピーマン、ジャガイモ、ホウレンソウ、ハクサイ、ダイコン、キャベツ、カブ、キュウリ等を侵す多犯性の不完全菌類に属するかびであるが、いくつかの系統に分かれ、寄生性に分化がみられる。)
- 多発時期
- ハウス栽培:4〜6月、9〜10月、露地栽培:6〜7月、9〜10月。発病適温24℃前後。
- 病 徴
- 生育の後期、花蕾が見え始める頃から発病が顕著になる。下位葉が萎れ、黄化する。黄化は徐々に上位葉に進展し、下位の葉は枯死する。茎の片側の葉が順に黄化、萎凋する場合もある。発病株の茎の導管褐変は必ずしも明瞭でなく、導管褐変が見られない場合でも病原菌は分離される。
- 伝 染
- 罹病株の茎葉に形成された微小菌核が土壌中に残り、土壌伝染する。また、罹病親株からの採苗による苗伝染もある。
- 防 除
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- 土壌伝染するので、連作を避ける。
- 罹病親株からの挿し穂や冬至芽をとらない。
- 発病株は見つけ次第、抜き取り処分する。
- 発病地は薬剤や蒸気により土壌消毒を行う。
バラうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(主に子のう菌類に属する数種のうどんこ病菌が寄生するが、いずれもバラ類にのみに寄生。)
- 多発時期
- 盛夏を除く春〜秋。施設栽培では盛夏を除く周年。
- 病 徴
- 茎葉、蕾に発生する。うどん粉をふりかけたように白い斑点症状がみられる。多発すると葉は葉縁がカールするなど奇形を生じ、花首ではいわゆるベントネックを引き起こすなどにより商品価値が低下する。
- 伝 染
- 休眠芽では菌糸、病斑上では子のう殻で越冬することが多く、それぞれ分生子、子のう胞子を形成し、風媒伝染する。新たに病斑上で形成された分生子の飛散によって二次伝染がおこる。
- 防 除
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- 施設では夜間の暖房と昼間の換気を徹底する。
- 発病には品種間差異が大きい。
- 被害茎葉は速やかに取り除き、発生初期から異系統の薬剤を輪番で散布する 。