11月の防除ポイント概要
(11/21更新)
イネ | ハクサイ | キャベツ | トマト(施設) |
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ナス(施設) | キュウリ(施設) | イチゴ(施設) | 野菜共通 |
ウンシュウミカン | ナシ | カキ |
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ハクサイ | 軟腐病 | やや少ない |
べと病 | やや少ない | |
アブラムシ類 | やや少ない | |
コナガ | 並 | |
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キャベツ | 黒腐病 | 少ない |
菌核病 | やや少ない | |
コナガ | 並 | |
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トマト(施設) | 葉かび病 | 並 |
黄化葉巻病 | 並 | |
コナジラミ類 | やや多い | |
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ナス(施設) | ||
うどんこ病 | 少ない | |
ミナミキイロアザミウマ | 並 | |
コナジラミ類 | やや多い | |
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キュウリ(施設) | うどんこ病 | やや少ない |
べと病 | やや少ない | |
ミナミキイロアザミウマ | やや多い | |
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イチゴ(施設) | うどんこ病 | 並 |
炭疽病 | やや多い | |
ハダニ類 | やや多い | |
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野菜共通 | ハスモンヨトウ | 多い |
オオタバコガ | 多い | |
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ウンシュウミカン | 黒点病 | やや少ない |
ミカンハダニ | 並 |
水稲
- 白葉枯病、ニカメイチュウ
今作で発生が多かったほ場では、秋冬期に病害虫の越冬場所をなくす管理を行い次年度の発生量を減らすことが大切です。白葉枯病の病原菌は被害わらやもみ、畦畔のイネ科雑草で越冬します。ニカメイチュウは、収穫後の刈り株や畦畔のイネ科雑草の茎内で幼虫が越冬します。
【対策】
この時期に稲わらや刈り株を早めにすき込み、腐熟させましょう。また、畦畔雑草を株元まで除去しましょう。
ハクサイ
- べと病
9月以降の降水量はやや少なく11月上旬までの発生量は少なかったのですが、気温7〜13℃で水分があると最も感染に適した条件となるため、この時期からは降雨があると発生を誘発します。雨水により病原菌が飛散し、葉裏の気孔などから侵入します。発病すると葉に、葉脈に囲まれた汚白色から汚褐色の多角形の病斑を生じます。黄心系品種では、「茎べと」と呼ばれる中肋(ちゅうろく)内部組織が黒変する症状を示すことがあります。
【対策】
発生防止のため、ほ場の排水対策に努めましょう。また、降雨前後にランマンフロアブル【21】などを葉裏や株元に十分かかるように散布しましょう。発病株があれば、初期のうちにリドミルゴールドMZ【4+M03】などの治療効果が高い薬剤を散布して被害の拡大を防止します。
キャベツ
- 菌核病
発生量はやや少ない予想ですが、この時期に降雨が続くと本病の発生は多くなりますので注意が必要です。土壌中の菌核が子のう盤を形成する好適な気温(15〜20℃)になると、形成された子のう盤に子のう胞子ができて風により飛散します。この胞子が葉柄の基部など湿度が高い部位に落下すると発芽して、傷口などから植物体に侵入します。
【対策】
前年発生したほ場では土壌に菌核が残っている可能性があり、結球開始期からの定期的な予防散布が大切です。菌の侵入部位は下葉の葉柄基部など地面に接する部分が多いので、パレード20フロアブル、アフェットフロアブル、カンタスドライフロアブル【7】やスクレアフロアブル【11】などを株元にまで薬剤が届くように散布しましょう。また、発病株は除去して菌核が土壌に残らないようにしましょう。
アブラナ科
- コナガ
発生量は平年並の予想ですが、毎年、11月頃から発生が増加する傾向があります。また、本種は冬期でも休眠せず緩やかに生育しますので、秋から冬に発生があると翌年春には多発する可能性があります。
【対策】
主に葉裏に生息していますので、薬液が葉裏にも十分かかるよう散布してください。コナガは世代交代が早く薬剤に対する抵抗性が発現しやすいため、発生量が少ないうちに防除を徹底しておきましょう。IGR系【15】やジアミド系【28】などの一部の薬剤では効果が低下した事例があります。効果が比較的低下していない薬剤は、フローバックDF、ゼンターリ顆粒水和剤【11A(BT剤)】、アニキ乳剤、アファーム乳剤【6】、スピノエース顆粒水和剤、ディアナSC【5】、ベネビアOD【28】、グレーシア乳剤、ブロフレアSC【30】などですが、これら薬剤でも感受性が低下している可能性はありますので、薬剤の系統ごとのローテーション散布に心がけましょう。なお、作物によってコナガに適用のある薬剤は違いますので、薬剤のラベルの表示を必ず確認してください。
施設トマト
- コナジラミ類、黄化葉巻病
近年、コナジラミ類の発生量が再び多くなっており、今年もすでに多発した施設が見られ発生量はやや多いと予想されます。
コナジラミ類は各作物ともに排泄物によりすす病を発生させますが、一部の作物では病原ウイルスの媒介昆虫としても重要です。トマトでは黄化葉巻病の病原ウイルスをタバココナジラミが媒介し、近年発生が見られる黄化病はタバココナジラミとオンシツコナジラミが媒介します。コナジラミの発生量がわずかでも次々に株に感染させるためウイルス病が多発する場合があり、トマトでは重要な害虫です。前作の後半には黄化葉巻病の発生が多かったため、保毒したコナジラミが飛来する可能性は高いと思われます。黄化葉巻病耐病性品種は病徴が出にくいのですが、ウイルスは保毒し耐病性のない品種への二次伝染源となりますので、コナジラミ類防除は怠らないようにしてください。
県内ではタバココナジラミのバイオタイプQ(バイオタイプとは、外観は同じだが遺伝子型や生物学的特性が異なる系統)が優占しており、この系統はコナジラミ類に適用がある薬剤でも薬剤感受性が低下した場合が多いので注意が必要です。
【対策】
バイオタイプQは薬剤の感受性が低くなりやすいので、この時期は薬剤に依存しない「施設内に入れない対策」がまず重要です。本虫は施設周囲の上昇気流に乗って天窓からも侵入しますので、天窓を含む開口部への防虫ネットの展張(網目0.4mm)が効果的です。また、施設周囲の除草、黄色粘着フィルムの施設周囲への設置などの物理的防除等を組み合わせた総合的な対策を行います。
次に、侵入したコナジラミを「増やさない対策」が必要です。薬剤防除は発生初期に、トマトではベストガード水溶剤【4A】、コルト顆粒水和剤【9B】、アグリメック(ミニトマトは未登録)、アニキ乳剤【6】、ディアナSC【5】、ベネビアOD【28】、トランスフォームフロアブル【4C】などでローテーション散布をしましょう。ただし、これら薬剤を含め多くの薬剤で薬剤の感受性が低下しており、防除効果が低かった場合は別系統の薬剤に切り替えてください。サフオイル乳剤【未】などの気門封鎖剤は感受性が低下しにくいので、発生が少なければ虫体に十分かかるよう7日間隔で2〜3回程度散布すると効果的です。
なお、訪花昆虫やナスなどで天敵農薬を導入している場合は影響日数が長い薬剤もあるので、ハチの購入元や農薬の販売店、指導機関等に確認して薬剤を選定してください。また、適用薬剤はトマトとミニトマト、ナスなどそれぞれの作物で違いますので、必ず薬剤のラベルを確認してから使用してください。
施設ナス
- うどんこ病
発生量は少ない状況ですが、発生し始めるとまん延しやすいので発生初期までの予防対策が重要です。
【対策】
防除薬剤はシグナムWDG【7+11】やファンタジスタ顆粒水和剤【11】、プロパティフロアブル【50】、ショウチノスケフロアブル【9+U13】、ベルクートフロアブル【M07】など多くありますが、薬剤に対する耐性が発達しやすいので、同一系統の薬剤に偏らないローテーション防除に努めましょう。発生初期であれば、カリグリーン【NC】など連用しても効果が低下しにくい薬剤を葉裏までムラのないように散布する方法があります。 - ミナミキイロアザミウマ
発生量は平年並の予想です。多発すると防除が難しいのですが、微小害虫のため果実のカスリ状のキズを見て本虫の発生に気付くことが多いため早めの対策が必要です。
【対策】
この時期は、コナジラミ類と同様に施設外からの侵入防止と発生初期の防除を徹底しましょう。モベントフロアブル【23】やグレーシア乳剤【30】、アグリメック【6】など適用薬剤は多くありますが、薬剤に対する感受性が低下しやすいので、コナジラミ類との同時防除も考慮しながら同一系統の薬剤を連用しないよう注意してください。なお、コナジラミ類防除と兼ねて秋や春先の発生初期にスワルバンカーロングなどの天敵農薬を利用する方法もあります(天敵農薬についてはキュウリのミナミキイロアザミウマの欄を参照してください)。 - コナジラミ類
昨年と同様に、すでに発生量の多い施設があります。ナスにはコナジラミ類が媒介し問題となるウイルス病害はありませんが、多発するとすす病が発生します。
【対策】
施設トマトの欄を参照してください。なお、アザミウマ類防除と兼ねてスワルバンカーロングなどの天敵を利用する方法もあります(キュウリのアザミウマ類の欄を参照してください)。
キュウリ
- ミナミキイロアザミウマ
発生量は平年並の予想です。キュウリでは食害だけでなく、キュウリ黄化えそ病の病原ウイルスを媒介します。本虫は微小害虫のため発生を確認しにくく、本虫の侵入防止とともに早期発見による初期防除が大切です。
【対策】
網目0.5mm以下の防虫ネットで外部からの侵入を防ぎます。赤色の防虫ネットは侵入防止効果が高いとする試験結果があります。
薬剤防除では、青色粘着板などで発生の早期把握を心がけ、発生があれば早めに防除しましょう。適用のある薬剤はアファーム乳剤・アグリメック【6】、グレーシア乳剤【30】、モベントフロアブル【23】、ベネビアOD【28】、プレオフロアブル【UN*】など多いのですが、同一薬剤の連用により効果が低下しやすいので薬剤のローテーション散布を実施します。また、本虫は花や新芽などの隙間を好み生息していますので、ていねいに散布してください。
天敵農薬のスワルスキーカブリダニ剤(スワルバンカーロングなど)は、本虫の発生を長期間抑制するとともに化学農薬の使用回数の削減が期待できるため、導入されている施設があります。ただし、薬剤防除で害虫の密度をごく低くしてから放飼(ゼロ放飼)する必要性や使用可能な薬剤が限られることなど天敵導入を成功させる条件があり、導入を希望する場合は地元JAやあいち経済連、指導機関等に御相談ください。
イチゴ
- 炭疽病
苗場での発生が多かったことから、本ぽでも発生量が多い施設があります。
【対策】
発病が疑われる株や茎などのわずかな黒点症状があれば、周辺の株も含め感染している可能性が高く、早急に除去して感染源をなくしましょう。 - ハダニ類
近年、ほ場間で発生量に差が大きい傾向があり今年もすでに多発した施設があることから、県からは注意報が発表されています。この時期に発生があると、早春から再び増加する可能性があります。
【対策】
コロマイト水和剤【6】、ダニコングフロアブル【25B】、マイトコーネフロアブル【20D】など適用薬剤は多くありますので、同一系統の連用は避けるとともに同一薬剤の使用回数は最少限にとどめ、薬剤の感受性低下を防ぎましょう。また、感受性が低下しにくく使用回数の制限がないピタイチやエコピタ液剤、サフオイル乳剤などの気門封鎖剤【未】を活用しましょう。チリカブリダニ(チリガブリ等)やミヤコカブリダニ(ミヤコバンカー等)などの天敵農薬を利用している施設も多いのですが、今後利用を予定する場合は、ハダニ類の密度を低下させて導入することや導入後は使用できる薬剤が限られることなど条件がありますので、地元JAやあいち経済連、指導機関等に御相談してください。なお、苗場から発生が多かった施設では、定植前に炭酸ガス発生装置を用いた苗のくん蒸を実施すると防除効果が高く、次年度の作では産地等での施設の導入もご検討ください。
野菜類
- ハスモンヨトウ
県からは発生が多いとする注意報が発表され、多くの作物で被害が発生しています。今年は秋の降雨が少なく9月や11月上旬の気温が平年より高かったため、県が設置したトラップでは成虫の誘殺数は平年より多い状況が続いています。発生が少ない地域や施設栽培でも、もうしばらくは成虫が飛来し幼虫による被害が発生する可能性があります。
【対策】
老齢幼虫は薬剤の効果が低下するので、卵塊を除去したり、若齢幼虫が集団で加害している葉を早期発見して薬剤を散布しましょう。防除薬剤は多く、キャベツではアニキ乳剤【6】やコテツフロアブル【13】、プレオフロアブル【UN】、グレーシア乳剤【30】、ブロフレアSC【30】などがありますが、各作物で適用農薬は違いますので薬剤のラベルの表示事項を必ず確認してください。また、本虫は薬剤の感受性が低下しやすいので、効果が低ければ他の系統に変更してください。 - オオタバコガ
ハスモンヨトウと同様に発生量が多く、県から注意報が発表されています。本虫も広食性で多くの作物を加害しますが、前項のヨトウとは違い葉に1つずつ産卵し、幼虫は単独で行動して花蕾や結球内に潜る性質があるため、発見が遅れやすく薬剤も効きにくくなります。ほ場で数頭でも発生を確認すれば、ほ場全体で発生している可能性があります。
【対策】
幼虫の早期発見に努め、発生があれば各作物に適用がある薬剤で防除を徹底しましょう。特に、キャベツ、レタスなどでは幼虫が結球部に潜る前に予防散布しましょう。各作物によって適用薬剤は違いますがハスモンヨトウにも適用のある薬剤が多く、例えばキャベツではハスモンヨトウの欄の例示薬剤は本虫にも適用がありますので、同時防除も考慮して同一系統の薬剤を連用しないよう計画的に薬剤を使用してください。なお、被害部位に卵や幼虫が付着している可能性があるため、残渣は放置せず処分しましょう。
ウンシュウミカン
- 黒点病
9月以降の降雨量は平年より少なかったため感染が拡大せず、発生量は平年よりやや少ない状況ですが、多発している園地も見られます。病原菌の胞子は、雨滴とともに枯れ枝や落ちている枝に感染し越冬します。
【対策】
発生が見られる園地では、次作への伝染源となる枯れ枝や剪定枝を園内や園周辺に放置せず処分しましょう。 - ミカンハダニ
発生量は平年並の予想ですが、降雨が少なく高温傾向が続いたため防除が遅れた園地では多発している場合もあります。この時期は果実に集まる傾向があり、加害を受けると果実品質が低下します。
【対策】
発生を確認したら、コロマイト水和剤【6】やダニオーテフロアブル【33】などを収穫前日数に注意して散布しましょう。
ナシ
- 黒星病
今作の発生量は平年並でしたが、この時期は葉裏に黒いしみ状の病斑(秋型病斑)ができ、落葉すると翌春にこの落葉から胞子が発生したり発病葉からりん片へ伝染して翌年の伝染源になります。
【対策】
越冬伝染源をなくすため、落葉を園外へ持ち出したり埋設して処分しましょう。また、発生園では冬期のせん定時期に入ったら、秋伸び枝・ぼけ芽などの除去を実施し、芽りん片に感染した病原菌が活動を始める前に終わらせましょう。なお、受粉用花粉の輸入が停止されたため、産地等で花粉確保のために剪定方法や切り枝確保等の対策が取られる場合がありますので、剪定を行う前にその情報に留意してください。
カキ
- 炭疽病
発生量は平年並でしたが、本病に弱い「早秋」や「富有」では発生園が見られました。本病は、降雨時に病斑から胞子が飛散して感染が拡大します。
【対策】
次作に伝染源を残さないよう、発生園では冬期のせん定時に病原菌が越冬している陥没した病斑のある枝の切除を徹底しましょう。
☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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