最新の病害虫情報

新着情報

※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(7/16更新)

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イネ ウンシュウミカン ナシ モモ
ブドウ カキ イチゴ 野菜共通
果樹共通 キク(露地)
                       
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イネ
いもち病
紋枯病 やや多い
白葉枯病
トビイロウンカ やや多い
セジロウンカ やや多い
ツマグロヨコバイ
カメムシ類 やや多い
イネアオムシ
イネツトムシ やや少ない
ウンシュウミカン
そうか病 やや多い
黒点病
ミカンハダニ
チャノキイロアザミウマ
ナシ 黒星病
うどんこ病
ナシヒメシンクイ やや多い
ハダニ類 やや多い
モモ せん孔細菌病
灰星病 やや多い
ナシヒメシンクイ やや多い
ハダニ類
ブドウ べと病
黒とう病
チャノキイロアザミウマ
カキ
角斑落葉病
円星落葉病
うどんこ病
コナカイガラムシ類
果樹共通
カメムシ類 多い
イチゴ
炭疽病 やや多い
野菜共通
オオタバコガ やや多い
キク(露地)
白さび病 やや多い
アブラムシ類 やや多い
ハダニ類 やや多い
アザミウマ類 やや少ない
オオタバコガ やや多い

水稲


  • いもち病(葉いもち)
     葉いもちは湿潤条件が10時間以上続くと感染しやすく、感染すると1週間後頃から葉に紡錘形の病斑が生じ、急速に感染が進むと稲全体が燃えたように萎縮し枯れ上がる「ずりこみいもち」と呼ばれる被害になることもあります。今年は梅雨入りが遅かったのですが、6月下旬からは本病の感染に好適な気象条件が出現し、中山間地域では葉いもちの発生が確認されたほ場があります。
     「コシヒカリ」など本病に抵抗性が弱い品種だけでなく、「あいちのかおりSBL」でも穂いもちには強いのですが葉いもちには中程度ですので、山沿いなど過去に本病が発生した地域や本病に有効な箱施薬剤を使用していないほ場では、しばらくは葉いもちとその後の穂いもちの発生に注意してください。なお、「ミネアサヒSBL」は葉いもち、穂いもちともにごく強い抵抗性があります。
    【対策】
     葉に紡錘形の病斑を確認したら、ブラシンフロアブル【U14+16.1】ダブルカットフロアブル【16.1+24】オリブライト250G【11】、などで防除しましょう。病斑の中央部が灰白色で周縁が紫黒色の急性型病斑が見られたら、急激に被害が広がりますので直ちに防除してください。

  • 紋枯病
     本病の生育適温は28〜32℃と他の主な病害より高いため、梅雨期以降に高温条件が続くと病斑が上位の茎葉に進展して減収につながります。前年発生した水田では土壌に病原菌の菌核が残っているため、昨年より多発する可能性があります。
    【対策】
     あいちのかおりなど普通期栽培では、この時期に株元の発病株率が概ね10〜20%以上であれば、上位へ進展しないよう幼穂形成期から穂ばらみ期までにモンカット粒剤【7】オリブライト250G【11】などで防除します。上位へ進展し始めたり上位葉鞘で病斑があれば、バリダシン液剤5【U18】など治療効果の高い薬剤を散布し、被害の拡大を防ぎましょう。

  • 白葉枯病
     本病の病原菌は細菌であり、畦畔雑草から水を伝って葉の水孔や傷口から感染し、葉脈に沿って細長い波形の黄色から白色の病斑を生じます。大雨や強風、冠水によってまん延しやすく、水田全体で葉が白く枯れ上がり減収につながります。尾張西部や海部地域で常発する地域がありますが、最近では三河地域でも多発ほ場が見られるなど発生地域は拡大しています。コシヒカリやあいちのかおりSBLは比較的強い品種ですが、菌密度が高いと発病する可能性はあります。
    【対策】
     細菌病であり症状が発生した後の治療は難しいため、出穂3〜4週間前の予防散布が効果的です。早植栽培や普通期栽培で常発する地域や大雨で冠水したほ場があれば、オリゼメート粒剤【P02】などで予防してください。

  • トビイロウンカ
     本虫は、2020年に県内各地で坪枯れを発生させ大幅な減収をもたらした害虫です。日本では越冬できず、梅雨前線など中国大陸からの気流に乗って毎年飛来します。今年の梅雨入りは平年より遅かったですが、梅雨入り後の6月下旬から7月初旬までの短期間に飛来に好適な気象条件が複数回出現しました。また、7月上旬には県の予察灯に1頭ですが誘殺されたため、この時期に県内各地に飛来していた可能性があり、この場合は普通期栽培などで被害が生じることが懸念されます。今後、県から発表されるウンカの予察情報等に留意してください。
      なお、トビイロウンカと同様にこの時期に大陸から飛来するセジロウンカは夏ウンカと呼ばれ、トビイロウンカより多数飛来し、飛来が多かったほ場では葉の褐変等が見られる場合がありますが、出穂期を過ぎると稲から離脱しますので坪枯れが生じることはありません。
    【対策】
     今後、県から注意報や防除を促す情報が発表されたならば、長期間残効がある成分(フェルテラゼクサロン箱粒剤リディアNT箱粒剤など)を含んだ育苗箱施薬剤を使用していない水田では、トレボン乳剤【3A】スタークル液剤10スタークル豆つぶ【4A】キラップフロアブルキラップ粉剤DL【2B】エクシードフロアブル【4C】エミリアフロアブル【4F】オーケストラフロアブル【UN*】などを株元に薬剤が届くよう散布しましょう。ただし、発生量が多いと予想されたり、ほ場の株元で増殖を確認したならば、上記の箱施薬剤を利用したほ場でも追加防除が必要になります。
      なお、セジロウンカが出穂前に多発している場合は、トビイロウンカや斑点米カメムシ類の防除を兼ねて上記薬剤を散布してください。

  • 斑点米カメムシ類
     昨年、県内各地で出穂直後から多発し不稔籾や斑点米を生じさせて減収や等級低下の原因となったイネカメムシは、畦畔雑草を経由せずに出穂前から水田に直接飛来します。コシヒカリなど極早生品種では、7月上旬の出穂前に各地でほ場への飛来が確認されています。このため、県では7月3日にイネカメムシの発生が多いとする注意報を発表し、出穂期の適期防除を呼び掛けています。
     その他の斑点米カメムシ類は、県による畦畔雑草での調査では、小型のカスミカメ類だけでなくミナミアオカメムシなど大型のカメムシ類も平年よりやや多い状況です。
    【対策】
     イネカメムシと他の斑点米カメムシ類では防除適期が違います。イネカメムシでは、まず不稔籾対策のため出穂期(穂の先端が顔を出した茎が全体の半数の時期。止葉の下で出穂するためのため畦畔からではわかりにくい。)を逃さないように、スタークル(液剤10、顆粒水溶剤)【4A】エクシードフロアブル【4C】キラップフロアブル【2B】を散布します。また、散布後7〜10日後に再度散布して斑点米の発生も防ぎましょう。粒剤は液剤等に比べ効果が低いのですが、粒剤しか散布できない場合はスタークル粒剤なら浅水管理で出穂の3〜5日前、キラップ粒剤なら深水で止水して出穂の7〜14日前を目安に散布します。なお、キラップ剤はイネカメムシの感受性が低下した地域がありますので、効果が低ければ他の剤に切り替えてください。
     イネカメムシの発生がなくミナミアオカメムシなど他の斑点米カメムシによる斑点米が問題となる地域では、薬剤防除は出穂7〜10日後頃を目安とし、上記の液剤等を散布しましょう。なお、キラップ粒剤を使用する場合は、散布適期は出穂10日前〜出穂期ですので注意してください。また、耕種的な対策として出穂2週間前までを目安として畦畔など水田周辺の草刈りと本田内のヒエ類の除去を行い、カメムシ類の棲み家をなくします。ただし、出穂間際の除草はカメムシ類を本田内に追い込みますので、やむを得ず除草する場合は本田防除を併せて行います。

  • イネツトムシ
     イチモンジセセリの幼虫であり、イネの葉をつと状に綴る被害を生じます。今年はやや少ない予想ですが、昨年被害を受けた地域では引き続き発生する可能性があります。
    【対策】
     葉を綴った後では防除しにくいため、若齢幼虫のうちに防除します。被害が大きいのは第2世代幼虫であり、7月下旬〜8月上旬にかけて上位葉を加害します。この時期に若齢幼虫を発見し、葉を綴る前にディアナSC【5】パダンSG水溶剤【14】などで防除すると効果的です。


ウンシュウミカン


  • そうか病
     近年、発病が多い状況が続いており、今年も平年よりやや多く発生し防除が不十分な園地では発病葉が多い事例もあります。病原菌は雨を介して若い葉や幼果に感染し、さらに他の葉や果実に二次感染しますので、梅雨明けまでは感染の拡大に注意が必要です。
    【対策】
     黒点病との同時防除として、ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】(そうか病の適用はみかんのみ)やファンタジスタ顆粒水和剤【11】フロンサイドSC【29】などを散布しましょう。ベンレート水和剤トップジンM水和剤【いずれも1】は感受性が低下した事例があり、使用は控えたほうが良いでしょう。なお、発生園は次作では春の新葉の展開初期、落弁期の防除を徹底します。

  • チャノキイロアザミウマ
     発生量は平年並の予想ですが昨年よりは発生量が多く、すでに多発した園地も見られます。この時期はがくと果皮の隙間にいて加害することが多く、果梗部にリング状の傷ができます。
    【対策】
     県の予察情報によれば、防除適期とされる次の成虫の発生ピークは南知多で7月24日頃、蒲郡市や豊橋市で7月21日頃と予測されています。この時期にモスピラン顆粒水溶剤【4A】ディアナWDG【5】コルト顆粒水和剤【9B】コテツフロアブル【13*】などで防除を行いましょう。なお、ピレスロイド系の薬剤【3A】は、在来天敵を減少させハダニ類が増加しやすいので注意しましょう。

ナシ


  • 黒星病
     病原菌の胞子は降雨で水分を得て飛散し、葉や果実にススを塗ったような病斑を作り果実の商品価値を落とすため重要な病害です。今年は梅雨入りが遅れたこともあり葉の被害は昨年よりやや少ない状況ですが、まとまった降雨があると果実への感染が広がる場合もあります。
    【対策】
     発病葉や発病果は除去するとともに、昨年多発した園やすでに発生した園では、カナメフロアブルパレード15フロアブル【いずれも7】ナリアWDG【7+11】ミギワ20フロアブル【52】など治療効果もある薬剤で、かけ残しがないよう防除を継続しましょう。ただし、収穫時期が近いので収穫前日数に留意するとともに、耐性菌が発生しやすいため同一系統薬剤の連用は避けてください。

  • ナシヒメシンクイ
     県のフェロモントラップにおける誘殺数がやや多い地域があり、発生量はやや多い予想です。幼虫は果実に食入して商品価値を落とします。有袋栽培でも破れ目や果実との接触部から食入する場合があり、発生があれば防除は必要です。
    【対策】
     この時期になると本虫の世代は混在し幼虫が連続して発生しているため、概ね7〜10日間隔でスタークル顆粒水溶剤【4A】ディアナSC【5】フェニックス顆粒水和剤テッパン液剤【28】などで、幼虫が果実に食入する前に防除します。

  • ハダニ類
     ハダニ類は高温で降雨量が少ない気象条件で増殖しやすいため、例年では梅雨明け後に急増します。しかし、今作では梅雨入りが遅く7月上旬からは高温傾向が続いているため、例年より早くから急増する可能性もあります。発生が多いと葉の黄化や落葉により果実の品質が低下するとともに、収穫後に多発した場合は早期落葉により樹勢が低下し次作に影響します。
    【対策】
     例年、発生が多い地点を重点的に観察するなど園内での早期発見に努め、多発する前にコロマイト乳剤【6】カネマイトフロアブル【20B】マイトコーネフロアブル【20D】ダニコングフロアブル【25B】等で防除します。感受性の低下を防ぐため、同一薬剤や同一系統の薬剤を連用しないよう注意しましょう。薬剤を多用しても多発する園地では、次年度には天敵農薬(ミヤコバンカー等)の活用もご検討ください。

ブドウ


  • べと病
     べと病菌は糸状菌ですが主に雨水で伝染し、降雨があると短期間で被害が広がります。果実の被害が重要ですが、葉の被害も早期落葉につながり樹勢が低下します。今年は梅雨入りが遅かったためか、7月初旬に発生が多いとする注意報が発表された昨年に比べれば、発生量はやや少ない状況です。
    【対策】
     発病葉や発病果は園外に持ち出し処分します。また、感染すると発病まで7〜10日と短いため、無袋栽培やまだ袋かけ前であれば概ね10日以内の間隔で新梢にも十分かかるよう、収穫前日数が比較的短いランマンフロアブル【21】(収穫14日前まで)やレーバスフロアブル【40】(収穫7日前まで)などで防除します。ただし、本病は耐性菌が発生しやすいため同系統薬剤の連用は避けます。QoI系【11】アミスター10フロアブルストロビードライフロアブルは耐性菌が確認されているため、使用は控えましょう。袋かけ前の散布は果粉溶脱や薬害を生じる事例がありますので、収穫前日数とともに各薬剤のラベルの記載事項を必ず確認してください。袋かけ後は、使用時期の制限がなく耐性菌も出にくいICボルドー48Q【M01】などの無機銅剤で防除しましょう。

  • 黒とう病
     発生量は平年並の予想ですが、昨年の発生量が多かったため今年も新梢に発病が確認されている園地があります。病原菌はべと病と同様に雨滴で分生胞子が飛散して二次感染しますので、梅雨期など降雨が続くと発病が増加します。シャインマスカット等の欧州系品種は、本病に弱い傾向があります。
    【対策】
     発病部位は見つけ次第除去し、園外へ持ち出し処分しましょう。梅雨明けや袋かけまでは晩腐病との防除を兼ねた定期的な散布が必要であり、降雨前の予防散布が効果的です。袋かけがまだなら、直前までオンリーワンフロアブル【3】フルーツセイバー【7】スクレアフロアブル【11】ホライズンドライフロアブル【11+27】(べと病にも適用あり)などで予防散布を行います。袋かけ前の薬剤使用時はべと病と同様に果粉溶脱等の薬害が発生しないよう、薬剤のラベルの注意事項を必ず確認してください。

  • チャノキイロアザミウマ
     今後の発生量は平年並を予想していますが、昨年よりは発生量が多い状況であり一部で多発した園地も見られます。本虫の加害により葉や穂軸には淡褐色のかすり状の斑点、果実は灰白色の輪状や雲状のさびを生じ、商品価値が低下します。
    【対策】
     防除適期は成虫の発生ピークです。県の発生予報では発生ピークの予測日が示されており、直近では大府市で7月19日頃、岡崎市で7月22日頃、豊橋市で7月21日頃とされています。袋かけ前であれば直前に防除すると効果的です。袋かけでは、止め金を穂軸にしっかりつけて隙間をなくします。ただし、多発時は穂軸の加害や袋内への侵入も起きますので、袋かけ後も発生があれば、スタークル顆粒水溶剤ダントツ水溶剤【いずれも4A】コルト顆粒水和剤【9B】コテツフロアブル【13*】等を散布します。

カキ


  • 落葉病類
     円星落葉病や角斑落葉病の発生量は平年並の予想ですが、主な感染時期は梅雨期であり、例年発生する園地ではこの時期に防除を実施すると効果的です。秋に病斑に気付いてから防除しても効果は見込めません。
    【対策】
     ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】オーソサイド水和剤80【M04】などで予防散布を行いましょう。また、うどんこ病など他病害が発生していれば、その病害にも適用がある薬剤を選択し同時防除を行いましょう。

  • うどんこ病
     発生量は平年並の予想ですが、発生が見られる園地もあります。「次郎」は「富有」より発病しやすいようです。本病は若い葉の葉裏に小黒点の病斑が発生し、病斑上の胞子が風で飛散して二次感染を起こします。発病葉は早期に落葉します。
    【対策】
     発生が見られ始めると急増しやすいので、初発時を逃さずに防除を行います。この時期は、オンリーワンフロアブルスコア顆粒水和剤【いずれも3】ナリアWGB【7+11】など、本病だけでなく落葉病や炭疽病にも適用のある薬剤で同時防除する方法があります。なお、同一系統の薬剤は連用しないよう注意しましょう。

果樹全般


  • 果樹カメムシ類
     この時期までは越冬世代成虫が果樹園へ飛来して加害します。今年前半は1年おきの多発年に当たり、5月以降はトラップへの誘殺数が多い状況が続いています。ただし、現在飛来している越冬成虫は果樹園で産卵・増殖することはなく、今後は、林地でヒノキなどの球果を吸汁して繁殖した次世代成虫が球果を食べつくすと果樹園に飛来します。この飛来時期や飛来量の予測は8月に県から発表されますので、その情報に留意してください。
    【対策】
     園内で発生を確認したら、比較的速効かつ残効性もあるネオニコチノイド系【4A】の薬剤や、チョウ目害虫などと同時防除ができるテッパン液剤【28】(カンキツはカメムシ類の適用なし)等で防除しましょう。なお、対象作物ごとに適用のある害虫は違いますので、使用時はラベルの表示事項を確認してください。

イチゴ


  • 炭疽病
     6月下旬から9月下旬までの高温期に多く発生し、この時期の育苗ほ場における風雨や頭上かん水は病原菌の胞子を飛散させ感染拡大を助長します。主な病徴は、局所的症状(葉柄やランナーの黒色陥没病斑や葉の汚斑状病斑)と全身症状(萎凋枯死)ですが、局所的症状でも株全体に感染が進んでいる可能性があります。本県では近年の発生量が多く、昨年も育苗ほでの発生量が多かったため県から注意報が発表されました。今年も引き続き発生量が多いと思われるため、育苗ほ場での対策をしっかり実施して感染した苗を本ぽへ持ち込まないことが重要です。
    【対策】
     薬剤だけでなく総合的な対策が必要です。典型的症状である株の萎凋枯死、ランナーや葉柄及び葉の黒色円形病斑だけでなく、発病が疑われる症状の場合も周辺の苗を含め除去しましょう。かん水は、水滴が跳ね上がらないように水圧に注意しましょう。排水対策、不要な下位葉・古葉の摘除も予防になります。薬剤は定期的な予防散布を徹底します。特に、降雨前後の防除は効果的です。県農業総合試験場の試験では、降雨前の散布でも比較的効果が高い予防剤はセイビアーフロアブル20【12】オーソサイド水和剤80【M04】ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】などであり、これらを中心に育苗ほ場でのローテーション散布を行います。

露地ギク


  • 白さび病
     山間部では発病の多いほ場があり、降雨が多いとまん延しやすくなります。病徴は葉の裏側に白い小斑点やいぼ状の斑点ができ、がくや茎にも症状が見られます。
    【対策】
     まん延してからでは防除は困難ですので、梅雨明けまでは発病初期までの予防散布が重要です。病斑のある葉を摘み取って処分した上で、薬剤が十分かかるように散布しましょう。潜伏期間は1週間程度ですので、散布1週間後に観察して病斑の発生している葉があれば摘み取りましょう。適用のある薬剤はアンビルフロアブル【3】カナメフロアブル【7】アミスター20フロアブル【11】など多数ありますが、ローテーション防除を行い薬剤の感受性を低下させないよう注意してください。

  • アブラムシ類
     発生量は平年並ですが、気温が高く増加しやすい気象条件となっていますので、例年、発生が見られるほ場では今後の発生量の増加に留意してください。
    【対策】
     短期間で多発しますので、初期発生を見逃さず防除します。適用のある薬剤はモスピラン顆粒水溶剤【4A】コルト顆粒水和剤【9B】ウララ50DF【29】など多数ありますが、同一系統に偏らないよう薬剤系統のローテーションに努めて感受性低下を防ぐとともに、エコピタ液剤【未】など気門封鎖型薬剤を活用しましょう。

  • ハダニ類
     県内の一部で多発ほ場があり、気象予報では今後も高温が続きハダニ類が増殖しやすい条件であることから、発生量はやや多い予想です。
    【対策】
     カネマイトフロアブル【20B】コロマイト乳剤【6】など適用のある薬剤は多いのですが、前述のアブラムシ類以上にハダニ類に対する薬剤感受性の低下は問題となっていますので、薬剤を散布する場合は使用回数は各薬剤1回に止めるとともに薬剤系統のローテーションに努めて感受性低下を防ぎましょう。また、エコピタ液剤【未】など感受性低下を起こしにくい気門封鎖型薬剤を活用しましょう。

野菜共通


  • オオタバコガ
     本虫は広食性で、多くの作物を加害します。卵は葉に1卵ずつ産み付けられ、幼虫は集団になることなく単独で活動します。また、幼虫は展開前の葉や茎や花蕾、果実、結球部に食入しやすく、若齢幼虫が集団で葉を加害するシロイチモジヨトウやハスモンヨトウに比べて発見しにくい特徴があります。また、ハスモンヨトウと同様に老齢幼虫は防除効果が低下します。今年は平年より早くから発生しており、世代を重ねるたびに発生が多くなりますので、県から7月3日に早期発見と防除を呼び掛ける注意報が発表されました。
    【対策】
     食入後や老齢幼虫は薬剤の効果が低くなるため、若齢幼虫を早期に発見して防除を徹底することが大切です。幼虫は分散して生息していますので、1頭でも発見したら周辺の発生状況を確認してください。ダイズではヨトウ類のような食害による白変葉は生じず未展開葉に潜って食害している場合が多いので、注意して観察する必要があります。被害部位の残渣は、卵や幼虫が付着している可能性があり適切に処分しましょう。なお、本虫の適用薬剤は比較的少なく作物ごとに違いますので、JAなどで確認するとともに、薬剤のラベルの表示に注意してください。なお、今後は本虫と同様に昨年多発したシロイチモジヨトウやハスモンヨトウの多発も懸念されますので、これらの発生にも注意し、発生していれば早期に同時防除を実施してください。


☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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