3月の防除ポイント概要

(3/18更新)    

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コムギ ナシ モモ ブドウ
キャベツ タマネギ トマト(施設) ナス(施設)
野菜共通 キュウリ(施設) イチゴ(施設)
                       
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コムギ
赤さび病 やや多い
うどんこ病 やや多い
赤かび病 やや多い
ナシ
黒星病
モモ
せん孔細菌病 やや少ない
ブドウ
黒とう病 やや多い
キャベツ
コナガ
タマネギ 白色疫病 やや多い
べと病
トマト(施設) 葉かび病
疫病
灰色かび病 多い
すすかび病 やや少ない
コナジラミ類 多い
ナス(施設)
うどんこ病 やや多い
ミナミキイロアザミウマ
灰色かび病 やや多い
すすかび病 やや少ない
キュウリ(施設) べと病 やや少ない
ミナミキイロアザミウマ
うどんこ病
灰色かび病
イチゴ(施設) 灰色かび病 やや多い
うどんこ病
ハダニ類 やや多い

小麦


  • 赤さび病
     本病は葉に赤褐色で粉状の病斑ができ、多発すると茎葉が枯れあがり減収につながります。県によれば、本病は2月から3月にかけて気温12℃〜20℃かつ降雨が4日以上あると多発する可能性があるとされています。今年は2月末にはすでにこの条件を満たしており、発生に注意する必要があります。
    【対策】
     本病の防除適期は、1回目は茎立ち10日後頃から止葉抽出期まで、2回目は開花期頃(出穂7〜10日後)です。発生があればイントレックスフロアブル【7】アミスター20フロアブル【11】などを散布しましょう。今年は生育が早いため1回目の防除適期が過ぎてしまった場合は、2回目の防除適期である開花期頃に赤かび病やうどんこ病にも適用のある薬剤(ワークアップフロアブル【3】シルバキュアフロアブル【3】など)で同時防除を行いましょう。

  • うどんこ病
     昨年は各地域で多発し、越年菌量は多いと予想されます。また、今作は小麦が早くから繁茂して本病が発生しやすく、かつ温暖で定期的な降雨があり感染に適した気象条件が続くと予想されるため、県では3月1日に本病の発生はやや多いとする注意報を発表し、早期発見と適期防除を呼び掛けています。
     本病は葉色の濃いほ場で発生しやすく、上位葉に進展すると葉が枯れて収量や品質の低下につながります。主力品種である「きぬあかり」は、うどんこ病にやや弱いため特に注意が必要です。
    【対策】
     上位葉が発病すると被害が大きくなるので、発生があれば止葉が抽出する時期までに防除すると効果的です。この時期が過ぎた場合、赤かび病との同時防除として開花期に両病害に効果がある薬剤を散布します。また、開花期後に上位葉へ進展し始めた場合は、再度、効果の高い薬剤を散布します。DMI系【3】ワークアップフロアブルシルバキュアフロアブルチルト乳剤25の効果は高く赤かび病との同時防除も可能ですが、本病が多発した場合はDMI系の連用を避けるために、トップジンM水和剤【1】など別系統の薬剤も検討してください。なお、QoI系【11】アミスター20フロアブルストロビーフロアブルは薬剤感受性が低下しやすく注意します。

  • 赤かび病
     昨年及び一昨年は5月に多発した地域があり、今年も越冬病菌が多く発生が多くなる可能性があります。本病の病原菌は小麦や稲わら、イネ科雑草等の植物残さで越冬し春になると胞子が飛散し降雨で促進されるため、出穂期以降に曇雨天など湿度の高い気象条件が続くと多発しやすくなります。本病は、穂に桃色のカビを生じる直接的な被害とともに、本病原菌が産生するかび毒が一定基準値以上になると食用として販売ができなくなるため、小麦の重要病害です。
    【対策】
     本病は予防対策が重要です。防除適期は開花始期から開花期(1穂につき数花開花をしているものが全穂数の40〜50%に達した日)までの間です。概ね出穂期の7〜10日後である開花期を予測し、計画的な防除を実施しましょう。特に今年は暖冬であったため生育が早く、高温傾向が続けば出穂期がかなり早まる可能性があるので防除適期を逃さないようにしてください。開花期後に曇天や小雨が続けば、開花期防除から10〜20日後に再度防除して本病とともに病原菌によるかび毒の産生を防止します。
     防除薬剤はDMI系【3】であるワークアップフロアブルシルバキュアフロアブルチルト乳剤25の効果が高く、赤さび病やうどんこ病にも適用があります。ただし、連用による耐性菌の発生を防止するため、赤かび病を対象としてた防除では他系統のミラビスフロアブル【7】トップジンMゾル【1】等の組み合わせを検討してください。

ナシ


  • 黒星病
     昨年は概ね平年並の発生でしたが、一部で多発した園地もあり、越冬菌量が多い園地もあります。本病は、開花初期頃から降雨のたびに芽基部の病斑上にできた胞子が周囲に飛散して幼果に感染します。また罹病した落葉が園地に残っていると、そこから胞子が飛散して感染につながります。果実への感染は一般的に開花期頃から6月上旬頃までですが、「幸水」では、満開75〜90日後頃も感染しやすくなります。
    【対策】
     黒いすす状の病斑があるりん片芽や新梢基部、花そう基部を、見つけ次第切除しましょう。前作で本病が発生した園地では、必ずりん片脱落期頃までにデランフロアブル【M09】オキシラン水和剤【M01+M04】などを散布しましょう。開花前から満開20日後頃までは一次感染防止のための重要な防除時期ですので、ファンタジスタ顆粒水和剤【11】ミギワ20フロアブル【52】など、赤星病との同時防除ならスコア顆粒水和剤【3】カナメフロアブル【7】チオノックフロアブル【M03】などを定期的に散布して病斑上の胞子形成と飛散を防ぎましょう。なお、薬剤感受性に低下を防ぐため、同一系統の薬剤を連用しないようにしましょう。今作は暖冬であったため開花期が平年より早い可能性がありますので、防除作業が遅れないよう注意してください。

モモ


  • せん孔細菌病
     病原細菌は新梢の皮部組織内で越冬し、4月頃に表皮が油浸状紫黒色に変化して広がり、のちにへこんだりひび割れができる春型枝病斑を形成し、増殖した細菌が降雨とともに周囲に飛散します。近年、被害が増加傾向にあり、前作の被害が多かった園では越冬菌量が多くなっていると予測されます。
    【対策】
     春型枝病斑は見つけ次第切り取って伝染源を減らしましょう。また、感染が疑われる枝(発芽が悪い、芽が欠落や枯死している、展葉が遅い、葉が短い、枝が変色している)も切除しましょう。本病の病原は細菌のため治療効果のある薬剤はごく少なく、早い時期からの銅剤等による予防対策が重要です。開花期までにICボルドー412【M01】カスミンボルドー【M01+24】コサイド3000【M01】などをていねいに散布して枝病斑からの伝染を予防します。今作は暖冬で開花期が平年より早い可能性があり、防除作業が遅れないよう注意しましょう。風の強い場所では防風ネットを展張して、風すれによる傷の発生を防いで本病が感染しにくい環境を作りましょう。被害が毎年大きい園地では、費用は掛かりますが雨除けを設置すると効果的です。

ブドウ


  • 黒とう病
     昨年の発生が多かった園地や品種では、罹病枝や巻きひげなどで越冬している菌量が多いと思われます。越冬した菌は春に降雨が続くと胞子を形成して一次伝染源となり、雨水とともに飛散して伸長中の新梢に感染します。その後は梅雨期をピークに二次伝染を繰り返し、葉や果実にも感染します。降雨が発病を誘発するため、ハウス栽培では発病は比較的少なくなります。欧州系品種は本病に弱く、栽培が増えているシャインマスカットは特に弱いので注意してください。
    【対策】
     伝染源となる棚に残った巻きひげや罹病枝は取り除き、園外に持ち出して処分します。また、萌芽したばかりの軟らかい新梢や新葉が感染しやすく、発病部位は見つけ次第除去してください。薬剤防除は、休眠期防除としてデランフロアブル【M09】ベンレート水和剤【1】などを発芽直前までていねいに散布します。スピードスプレーヤーでは薬剤が届かない場所もありますので、手散布で補完することも大切です。

キャベツ


  • コナガ
     2月までは平年よりやや少ない発生量でしたが、今後の気温は平年よりやや高いと予想され、秋から冬に発生がみられたほ場ではこの時期に急増する可能性があります。
    【対策】
     気温が高くなると世代交代が早く増殖しやすいため、発生量が少ないうちに薬液が葉裏にも十分かかるよう防除しましょう。本虫は薬剤感受性が低下しやすく、IGR系【15】ジアミド系【28】などの一部の薬剤では効果が低下した事例があります。効果が比較的低下していない薬剤は、スピノエース顆粒水和剤ディアナSC【5】アニキ乳剤アファーム乳剤【6】フローバックDFゼンターリ顆粒水和剤【11A(BT剤)】トルネードエースフロアブル【22A】グレーシア乳剤ブロフレアSC【30】ファインセーブフロアブル【34】などですが、これらの薬剤も一部地域では感受性が低下しています。薬剤の系統ごとのローテーション散布を心がけましょう。なお、昨年秋に多発したヨトウ類防除のため殺虫剤を多用したほ場では、各薬剤ごとの使用回数制限に十分注意してください。

タマネギ


  • 白色疫病
     県内の産地では2月下旬ころから発生量が平年より増加しており、今後の被害拡大に注意が必要です。本病の病原菌は比較的低温を好み、厳冬期を除く晩秋から4月頃まで発生します。発病した株は主に葉身の中央に浸みたような不明瞭な病斑を生じ、後に白色となった病斑から折れて下垂し枯死します。雨水で伝染するため、降雨が続くと低湿な場所から発生しやすくなります。
    【対策】
     ほ場の排水対策に努めるとともに、発病が疑われる株は直ちに抜き取りましょう。予防としてジマンダイセン水和剤【M03】フロンサイドSC【29】フェスティバルC水和剤【M01+40】などを2週間程度の間隔で散布しましょう。降雨が続いたり発生があればシグナムWDG【7+11】フォリオゴールド【M05+4】リドミルゴールドMZ【M03+4】など治療効果がある薬剤を速やかに散布し、被害の拡大を防ぎましょう。

  • べと病
     2月後半に降雨が多く気温もやや高かったこともあり、例年より早く発生が見られ始めています。本病は前年に感染した越年罹病株が春先から発病し始め、草丈が低くなり葉が黄化して外に湾曲します。降雨の後には全身にカビが生じる場合もあります。この発病株で形成する胞子が二次伝染源となり、周辺の健全株に感染して多発を招きます。
    【対策】
     白色疫病と同様に、発病株は直ちに抜き取ることが重要です。また、白色疫病の項で記載した主な薬剤はべと病にも適用がありますので、この時期は定期的に同時防除を行うと良いでしょう。

施設野菜


  • 灰色かび病
     トマト、ナス、キュウリ、イチゴなど多くの施設野菜における重要な病害で、気温20℃前後かつ多湿条件下で発生しやすくなります。今作では年末から主な施設野菜で本病が増加しており、県からは1月30日に予防対策を促す注意報が発表されています。
     本病は空気伝染性であり、病斑から飛散した胞子は害虫の食害などによる傷や古い花弁が付着した部分、枯死した部分から植物体内へ侵入し、被害が急激に拡大します。今年の冬は平年より高い気温で推移したため、暖房機の運転時間が短くなって相対的に湿度が高くなりやすかったことも、例年より早くから本病が発生したと要因と思われます。3月から4月にかけては一日の気温格差が大きくなり、結露など多湿条件になって本病の多発に好適な条件となりやすく、しばらくは注意が必要です。
    【対策】
     施設内の湿度を生育に影響しない程度に低く保つとともに、特にこの時期は朝夕の急激な温度変化を防ぐよう暖房機の運転時間や温度設定とともに換気、送風などの環境制御に留意してください。下葉の摘葉、発病果や発病葉の除去、古い花弁の摘み取りも効果的です。
     本病は急激にまん延しやすいため、発病初期の予防散布に重点を置きましょう。また、本病に適用のある薬剤は各作物ともに多いのですが、本病原菌は薬剤の感受性低下が起きやすいため異なる系統の薬剤によるローテーション防除を行い、同一系統薬剤の連用や多用を避けましょう。QoI系【11】SDHI系【7】の薬剤は治療効果が高いのですが県内の各作物で薬剤感受性の低下が確認されていますので、使用する場合は栽培期間中できるだけ少ない回数とし連用は避けてください。県農業総合試験場の情報では、薬剤感受性の低下は地域より作物の違いで異なる傾向があるため、部会内や産地で薬剤の効果について情報交換を行うと良いでしょう。感受性が低下しにくく使用回数の制限がない炭酸水素カリウム剤(カリグリーン【NC】)や微生物農薬(エコショットボトキラー【BM02】)を、発病初期から定期的に散布する方法もあります。

  • うどんこ病
     発生量はナスではやや多い、キュウリでは平年並の予想ですが、2月の気温が比較的高かったため、すでに発生が見られる施設もあります。適温は25℃前後であり他の病害に比べ比較的高温かつやや乾燥した環境条件で発病しやすく、発生するとまん延しやすいので初期防除を徹底します。
    【対策】
     発生があれば速やかに防除しましょう。ナス、キュウリに適用がある薬剤はトリフミン水和剤【3】パレード20フロアブルケンジャフロアブル【7】フルピカフロアブル【9】プロパティフロアブル【50】パンチョTF顆粒水和剤【U06+3】など多くありますが、本病も薬剤感受性の低下を起こしやすいため、系統ごとにローテーション防除を行いましょう。発生初期であれば、カリグリーン【NC】ジーファイン水和剤【NC+M01】など使用回数制限がなく感受性低下が起きにくい薬剤を、概ね1週間間隔で葉裏までムラのないように散布する方法もあります。

  • ミナミキイロアザミウマ
     本虫は葉の加害だけでなく、果実にキズを発生させて商品価値を低下させます。キュウリでは黄化えそ病の病原ウイルス(MYSV)を媒介しますので、発生量が少なくても注意は必要です。今後の気温はやや高い予想から、すでに発生している施設では急増する可能性があります。
    【対策】
     施設周囲の防虫ネット(網目0.4mm程度が望ましい)が破損していないか点検を行いましょう。赤色系ネットは、従来のネットより本虫の侵入防止効果が高いとされています。また、青色粘着板などで施設内の発生量を早期に把握し、発生があれば早めに防除しましょう。ナス及びキュウリに適用のある薬剤はアファーム乳剤アグリメック【6】コテツフロアブル【13*】モベントフロアブル【23】グレーシア乳剤【30】プレオフロアブル【UN*】など多くありますが、薬剤感受性が低下しやすく同一系統の薬剤を連用しないよう注意してください。なお、コナジラミ類にも適用のある薬剤が多いので、両種の発生があり防除を行う場合には各薬剤の使用回数の上限に注意しながら同時防除も考慮して薬剤を選択し、散布回数を必要最小限にしましょう。薬剤が効きにくく秋から発生が多い施設では、天敵農薬であるスワルスキーカブリダニ剤(スワルバンカーロングなど)をコナジラミ類防除と兼ねて定植後から導入する方法もありますので、次作ではご検討ください。

施設トマト


  • 葉かび病、すすかび病
     いずれも発生が増加しやすい時期であり、主に下葉の葉裏からカビを生じます。葉かび病に比べてすすかび病は葉の表面にかびが多く生じること、裏面のかびが盛り上がらないことから大まかに判別できます。また、葉かび病抵抗性品種に葉かび病に似た症状が発生したら、すすかび病が疑われます。すすかび病は葉かび病よりやや高温を好む特徴もあります。
    【対策】
     対策は灰色かび病と基本的には同様であり、急激な温度変化をなくし結露させない温度管理に心がけるとともに、施設内の送風や換気を図るなど湿度を低下させる環境制御を行いましょう。また、下葉の摘葉やマルチも過湿防止に有効です。
     灰色かび病も含め適用がある主な薬剤は、ベルクートフロアブル【M07】パレード20フロアブルアフェットフロアブル【7】ファンタジスタ顆粒水和剤【11】ニマイバー水和剤【1+10】など多くありますが、感受性低下を防ぐため同一系統の薬剤に偏らないローテーション防除に努めましょう。

  • 黄化葉巻病、コナジラミ類
     黄化葉巻病は、タバココナジラミが病原ウイルス(TYLCV)を媒介して伝染します。県内では、タバココナジラミの中でも薬剤感受性が低下しているバイオタイプQが優占しています。黄化葉巻病は、昨年12月に県から発生量が多いとする注意報が発表され、多発している施設が見られます。コナジラミ類も施設によっては発生が多く、今後の気温はやや高いとする予想からさらに増殖が早まる可能性があります。
    【対策】
     黄化葉巻病の病原ウイルスの伝染環を断ち切るには、屋外にトマトがなく保毒虫が施設内にしかいないこの時期までに施設内のコナジラミ類の防除を徹底するとともに、発病株を除去し処分することが効果的です。ただし、トマトの残さを施設周辺に放置しないようにしてください。黄化葉巻病耐病性品種が導入されている場合、ウイルスに感染しても病徴は出にくいのですが感染源にはなりますので、耐病性品種の栽培施設でも産地内のウイルス伝染環を断つために、コナジラミ類防除は同様に実施しましょう。
     施設周囲の防虫ネット(コナジラミ類対策には網目0.4mm以下が必要)は、この時期に破損がないか再点検し、本虫の施設からの出入りを防ぎましょう。
     薬剤散布は、優先種のタバココナジラミバイオタイプQの薬剤感受性をさらに低下させないために、訪花昆虫への影響日数や収穫前日数に注意しながらローテーション防除を実施しましょう。比較的効果が高いのは、ベストガード水溶剤モスピラン顆粒水溶剤スタークル顆粒水溶剤【4A】トランスフォームフロアブル【4C】ディアナSC【5】アグリメック(ミニトマトには適用なし)アニキ乳剤【6】コルト顆粒水和剤【9B】ベネビアOD【28】などです。ただし、これら薬剤でも特に成虫の感受性が低下した事例があり、防除効果が低い場合は別系統の薬剤に切り替えてください。サフオイル乳剤エコピタ液剤【未】などの気門封鎖剤は感受性が低下しにくく、虫体に直接かかるように散布すれば効果的です。なお、トマトとミニトマトで適用薬剤や使用方法が違う場合がありますので、必ず薬剤のラベルの表示事項を確認してください。

施設ナス


  • すすかび病
     発生量はやや少ない予想ですが、発生が続いている施設も見られます。本病は葉の裏側に白っぽいかびが密生する小班点ができ、進展するとすす色のビロード状のかびとなります。病斑は5〜10mmほどの円形で健全部との境界はやや不明瞭です。病斑上の胞子が飛散して被害が広がります。なお、トマトのすすかび病とは病原菌の種類が違います。
    【対策】
     今後も施設内の湿度が必要以上に高くならないよう、灰色かび病に準じた環境制御が重要です。灰色かび病にも適用があり同時防除が可能な薬剤は、トリフミン水和剤【3】パレード20フロアブル【7】ファンタジスタ顆粒水和剤【11】ポリオキシンAL水溶剤【19】などがあり、灰色かび病対策と合わせてローテーション防除を行ってください。

キュウリ


  • べと病
     発生量はやや少ないと予想されていますが、一部の施設では発生が続いています。本病が発生しやすい環境は気温20〜24℃かつ多湿条件であり樹勢が低下すると多発しやすくなるため、施設ではこれからの発生に注意が必要です。本病は葉脈に区切られた角型の病斑ができ、葉裏には薄いビロード状のカビが見られます。
    【対策】
     暖房機のダクト送風運転、天窓の開閉等により結露させない環境管理に努めましょう。また、適度な追肥や摘果で樹勢を維持しましょう。適用のある薬剤はペンコゼブ水和剤【M03】ダコニール1000【M05】など予防主体の薬剤や、アリエッティC水和剤【P07+M04】ランマンフロアブル【21】フェスティバルCフロアブル【40+M01】プロポーズ顆粒水和剤【40+M05】ベジセイバー【7+M05】等の治療効果もある薬剤がありますが、多発すると病勢が止まりにくいため、まずは予防に重点を置いた定期的なローテーション防除が大切です。病勢が進展するなら、発病葉は除去して施設外で処分し治療効果のある薬剤を4〜5日間隔で散布しましょう。

イチゴ


  • ハダニ類
     発生がない施設が多い一方で、昨年秋から発生が続いている施設も各産地で見られます。今後の気温が平年より高い予想から、この時期に発生があると、気温の上昇とともに発生量が急激に増加する可能性があります。
    【対策】
     下葉かきを徹底するとともに、管理時にスポット的に発生し始める初期段階を早期発見し、マイトコーネフロアブル【20D】スターマイトフロアブル【25A】ダニコングフロアブル【25B】ダニオーテフロアブル【33】などで防除します。薬剤感受性が低下しやすいため、同一系統の薬剤は1作で1回までの使用に止めましょう。ピタイチサフオイル乳剤エコピタ液剤【未】などの気門封鎖型農薬は薬剤感受性が低下しにくいので、概ね5〜7日間隔で虫体に直接かかるよう葉裏にも十分に散布すると良いでしょう。ただし、気門封鎖剤の中には環境条件により薬害が発生しやすい場合がありますので、ラベルの注意事項を確認するとともに必要に応じて数株で試行してください。
     秋から発生が続く施設では、次作に向けて定植前後の防除時期や薬剤等の見直しとともに、炭酸ガスくん蒸によるハダニ防除システムを利用した苗の防除、苗の薬剤浸漬、天敵農薬であるミヤコカブリダニ剤(ミヤコバンカー等)やチリカブリダニ剤(チリガブリ等)の導入もご検討ください。

☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

新着情報

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