最新の病害虫情報

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※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(2/18更新)

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キャベツ タマネギ トマト(施設) ナス(施設)
キュウリ(施設) イチゴ(施設)
                       
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キャベツ
コナガ やや少ない
タマネギ
白色疫病 やや多い
べと病
トマト(施設)
灰色かび病
葉かび病
黄化葉巻病 やや多い
コナジラミ類 多い
ナス(施設)
灰色かび病
すすかび病 少ない
うどんこ病 やや少ない
ミナミキイロアザミウマ やや多い
コナジラミ類 多い
キュウリ(施設) 灰色かび病 やや少ない
べと病 少ない
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ やや多い
イチゴ(施設) 灰色かび病 やや多い
うどんこ病
ハダニ類 やや少ない

果樹全般


  • カイガラムシ類
     昨年、カメムシ類が多発したため、秋にピレスロイド系【3A】やネオニコチノイド系【4A】の薬剤を連用して防除した園地は多いと思います。これらの園地ではリサージェンス(殺虫剤を散布したが、後の世代が無散布よりもその害虫や他の害虫が増加すること。天敵の減少など多数の要因がある。)により、次作ではカイガラムシ類やハダニ類が多発する可能性があります。
    【対策】
     マシン油を成分とした薬剤(アタックオイル、ハーベストオイル等)を散布していない園地では、発芽前までに降雨を避け樹幹に届くよう1回散布しておくと良いでしょう。マシン油製剤による休眠期防除は、生育期間中の適期防除が難しいカイガラムシ類や薬剤抵抗性が発達したハダニ類にも効果があります。ただし、商品によって対象作物や使用方法が違うこと、薬害の恐れがあるため発芽前までの使用を厳守すること、樹勢の弱い樹や園地、幼苗では使用を避けること、石灰を含む薬剤とは2週間以上間隔を空けることに注意するなど、ラベルの記載事項を必ずご確認ください。

キャベツ


  • コナガ
     昨秋の発生量は平年よりやや少なかったのですが、本県では冬期も休眠せずに緩やかに生育し続けます。冬期に発生があると、今後の気温上昇により急増する可能性があります。
    【対策】
     発生を確認したら、低密度のうちに薬液が葉裏にも十分かかるよう防除しましょう。コナガは薬剤感受性が低下しやすく、IGR系【15】やジアミド系【28】などの一部の薬剤では効果が低下した事例があります。効果が比較的低下していない薬剤は、スピノエース顆粒水和剤・ディアナSC【5】、アニキ乳剤・アファーム乳剤【6】、フローバックDF・ゼンターリ顆粒水和剤【11A(BT剤)】、トルネードエースDF【22A】、グレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】、ファインセーブフロアブル【34】などですが、これらの薬剤にも一部地域で効果が低下した事例があります。効果が低ければ別系統の薬剤を用いるとともに、薬剤の系統ごとのローテーション散布に心がけましょう。また、昨年秋にヨトウ類が多発し薬剤を多用したほ場では、各薬剤の使用回数制限に注意してください。


タマネギ


  • 白色疫病
     本病の病原菌は比較的低温が適し雨水により伝染しますので、厳冬期を除く晩秋から4月頃までに降雨が多いと発生します。今冬は12月から1月にかけて降雨量はごく少なかったのですが、尾張地域の早期栽培では灌水の過多が原因と思われる多発ほ場が見られるため、発生量は尾張地域で多い予想です。今後、気温が上昇し降雨が続くと本病の発生に好適な条件となり、低湿な場所から発生し急速にまん延する可能性があります。
     発病株は主に葉身の中央に浸みたような不明瞭な病斑を生じ、後に白色となった病斑から折れて下垂し枯死します。
    【対策】
     ほ場の排水対策に努めるとともに、発病株は直ちに抜き取りましょう。極早生や早生種では、ジマンダイセン水和剤【M03】、ダコニール1000【M05】、フロンサイドSC【29】など予防効果の高い薬剤を2週間程度の間隔で散布しましょう。中晩生種でも、例年より早めからの予防散布が大切です。降雨が続いたり発生があればシグナムWDG【7+11】やリドミルゴールドMZ【M03+4】など治療効果も高い薬剤を散布し、被害の拡大を防ぎましょう。
  • べと病
     前年に感染した越年罹病株があるとこの時期から発病し始めますが、気温が平年より高いと発病は早まります。発病株は草丈が低く葉が黄化して外に湾曲し、降雨の後には全身にカビが生じる場合もあります。この発病株に形成される胞子が二次伝染源となり、周辺の健全株に伝染して多発を招きます。
    【対策】
     白色疫病と同様に降雨によって感染が拡大しやすいため、排水対策と発病株の抜き取りが重要です。なお、白色疫病の欄に例示した薬剤は本病にも適用があり、他にも両病害に適用がある薬剤は多いので、定期的な散布による同時防除が可能です。

施設野菜


  • 灰色かび病
     トマト、ナス、キュウリ、イチゴなど多くの施設野菜における重要な病害です。 本病は多湿条件下かつ他の病害に比べ比較的低温(20℃前後)で発生しやすく、12月から1月にかけて一部の施設ではすでに発生が見られます。病原菌は空気伝染性であり、発病葉や発病果から飛散した胞子が、害虫の食害などによる傷や古い花弁が付着した部位、枯死した部位から植物体内へ侵入します。今後、気温の上昇に伴い昼夜で急激な温度差が生じて結露するなど、本病がまん延しやすい環境になりやすいので注意します。
    【対策】
     施設内の湿度をなるべく低く保つとともに急激な温度変化による結露を防ぐよう、暖房機の段階的な温度設定や換気、送風などによる環境制御に留意してください。下葉の摘葉、発病果や発病葉の除去、古い花弁の摘み取りも予防に有効です。また、本病は発生するとまん延しやすく、かつ薬剤が効きにくい耐性菌が発生しやすいので、薬剤散布は発病初期までの予防散布に重点を置きます。
     各作物ごとに本病に適用のある薬剤は多いので、異なる系統の薬剤によるローテーションを行いましょう。QoI系【11】やSDHI系【7】の薬剤は治療効果がありますが県内で薬剤耐性菌の発生が確認されていますので、これらの系統を使用する場合は栽培期間中の散布回数をなるべく減らし連用は避けてください。なお、耐性菌が発生しにくく使用回数の制限がない炭酸水素カリウム剤(カリグリーン【NC】)や微生物農薬(エコショット・ボトキラー【BM02】)を、発病初期から定期的に散布する方法もあります。なお、県農業総合試験場の情報では、本病の薬剤感受性低下は地域間より作物間で異なる傾向があるため、産地内で情報交換を行うと良いでしょう。
  • うどんこ病
     適温は25℃前後であり、他の病害に比べ施設内が比較的高温かつやや乾燥した条件で発生しやすい病害です。11月から12月にかけて平年より気温が高い時期が多かったため、一部の施設では発生が見られました。厳冬期の発生量はいったん減少しますが、気温が上昇すると再び増加します。灰色かび病と同様に発生するとまん延しやすいので、発生初期までの予防対策が重要です。
    【対策】
     ナス、キュウリ、イチゴに適用がある薬剤はベルクートフロアブル【M07】、パンチョTF顆粒水和剤【U06+3】、トリフミン水和剤【3】、パレード20フロアブル【7】、フルピカフロアブル【9】、ショウチノスケフロアブル【9+U13】、アミスター20フロアブル【11】など多いのですが、本病原菌も薬剤感受性が低下しやすいので、同一系統の薬剤に偏らないローテーション防除に努めましょう。発生初期であれば、使用回数制限がなく連用しても感受性が低下しにくいカリグリーン【NC】やジーファイン水和剤【NC+M01】を病斑に当たるよう葉裏までムラなく散布する方法があります。



トマト


  • 黄化葉巻病、コナジラミ類
     黄化葉巻病はタバココナジラミが病原ウイルス(TYLCV)を保毒・媒介して伝染します。県内では、タバココナジラミの中でも薬剤の感受性が低下しやすいバイオタイプQが優占しています。コナジラミ類は今作も昨年秋から発生量が多く、県では昨年11月に黄化葉巻病の発生は多いと予想した注意報を発表しています。タバココナジラミは低温に弱く屋外では越冬できませんが施設内では世代交代して増殖し、ウイルスを保毒したコナジラミによる黄化葉巻病の伝染も続いています。なお、県内ではタバココナジラミとオンシツコナジラミが媒介する病原ウイルス(ToCV)による黄化病の発生も見られますが、防除対策は黄化葉巻病と同じです。
    【対策】
     黄化葉巻病の病原ウイルスの伝染環を断ち切るには、屋外に保毒虫がいないこの時期にコナジラミ類の防除を徹底するとともに発病株を除去することが効果的です。黄化葉巻病耐病性品種はウイルスに感染しても病徴は出にくいのですが感染源にはなりますので、耐病性品種の栽培施設でも産地内の病原ウイルスの伝染環を断つため、コナジラミ類防除は同様に実施してください。  薬剤防除は、訪花昆虫への影響日数や収穫前日数にも注意しながら薬剤のローテーションを実施します。バイオタイプQ幼虫に比較的効果が高いのは、ベストガード水溶剤【4A】、トランスフォームフロアブル【4C】、ディアナSC【5】、アグリメック(ミニトマトには適用なし)・アニキ乳剤【6】、コルト顆粒水和剤【9B】、ベネビアOD【28】などです。ただし、これら薬剤を含め多くの薬剤で感受性が低下した事例があり、防除効果が低い場合は別系統の薬剤に切り替えてください。サフオイル乳剤【未】、エコピタ液剤【未】などの気門封鎖剤は感受性低下の可能性は低く、虫体に直接かかるよう7日間隔で2〜3回程度散布すれば効果的です。なお、トマトとミニトマト(果径3cm以下)では適用薬剤やその使用方法が違いますので、必ずラベルの表示事項を確認して使用してください。
  • 葉かび病
     発病に適した環境は適温22℃、湿度90%であり、この時期からが増加しやすい病害です。主に葉裏にカビを生じる病徴がすすかび病とよく似ていますが、すすかび病は気温がやや高い時期に発生しやすく葉の表面にかびが多く生じること、裏面のかびが盛り上がらないことから大まかに判別できます。
    【対策】
     灰色かび病対策と基本的には同様であり、急激な温度変化をなくし結露させない温度管理に心がけるとともに、施設内の送風や換気により湿度を低下させる環境制御を行いましょう。また、下葉の摘葉やマルチも湿度の低下に有効です。灰色かび病も含めて適用がある主な薬剤は、予防剤としてダコニール1000【M05】やベルクートフロアブル【M07】、治療効果もある剤としてニマイバー水和剤【1+10】、アフェットフロアブル・パレード20フロアブル【7】、ファンタジスタ顆粒水和剤【11】などですが、同一系統の薬剤に偏らないローテーション防除に努めましょう。

ナス(施設)


  • ミナミキイロアザミウマ
     白色で舞うコナジラミ類成虫に比べ虫体を見つけにくいのですが、比較的低密度でも果実にキズを発生させて商品価値を損ねる重要な害虫です。被害は初めは葉裏にシルバリングと呼ばれる銀白色の吸汁痕ができ、その後、葉表の葉脈沿いにかすり状の被害が見られます。果実では縦線状の褐色のキズや裂果ができます。今作では1月の発生量がやや多い施設があり、日射量が増して施設内の気温が上昇すると急増する可能性があるため、発生初期の防除が大切です。
    【対策】
    コナジラミ類に比べ初期発生に気付かない場合も多いので、青色粘着板で発生を確認したり葉や果実の被害を確認したら早めに防除します。ベストガード水溶剤・スタークル顆粒水溶剤【4A】、ディアナSC【5】、アグリメック【6】、カウンター乳剤【15】、モベントフロアブル【23】、グレーシア乳剤【30】などコナジラミ類にも適用がある薬剤は多くありますので、同時防除も考慮して薬剤の使用回数を最小限にとどめるとともに、コナジラミ類と同様に薬剤感受性が低下しやすいので同一系統の薬剤を連用しないよう注意してください。また、訪花昆虫を導入している場合は薬剤の影響日数に注意が必要です。なお、コナジラミ類防除と兼ねて天敵農薬であるスワルスキーカブリダニ剤(スワルバンカーロングなど)を定植後から導入する方法もありますので、次作ではご検討ください。
  • コナジラミ類
     昨年と同様に発生量が多い施設があります。ナスはコナジラミ類が媒介する重要なウイルス病害はありませんが、多発するとすす病が発生します。
    【対策】
     コナジラミ類全般に関してはトマトのコナジラミ類の項、適用薬剤や天敵はナスのミナミキイロアザミウマの項を参考にしてください。なお、サフオイル乳剤【未】、エコピタ液剤【未】などの気門封鎖剤は使用回数制限がなく薬剤感受性が低下する可能性も低いため、本虫に直接かかるよう7日間隔で2〜3回程度散布すれば効果的です。
  • すすかび病
     1月の発生量は少なかったのですが、今後は施設内の湿度が高まると病斑上の胞子が飛散してまん延しますので、灰色かび病と同様に注意が必要です。本病は葉の裏側に白っぽいかびが密生する小班点ができ、進展するとすす色のビロード状のかびとなります。病斑は5〜10mmほどの円形で健全部との境界はやや不明瞭です。葉の表側は黄褐色の病斑となります。なお、トマトのすすかび病とは病原菌の種類が違います。
    【対策】
     灰色かび病の対策に準じます。灰色かび病にも適用があり同時防除が可能な薬剤としてニマイバー水和剤【1+10】、アフェットフロアブル・パレード20フロアブル【7】、ファンタジスタ顆粒水和剤【11】、ポリオキシンAL水溶剤【19】など多くありますので、系統ごとのローテーション防除を行ってください。

キュウリ


  • ミナミキイロアザミウマ
     昨秋から発生が続く施設があり、発生量はやや多い予想です。キュウリでは食害だけでなく黄化えそ病の病原ウイルス(MYSV)を媒介しますので、発生量が少なくても注意は必要です。
     本虫は屋外では越冬ができませんが、施設内では発生し続けます。厳寒期の増加は緩やかですが、日射量が増して施設内の平均気温が20℃を超えると急に増加します。
    【対策】
     青色粘着板などで発生量の早期把握に心がけ、発生があれば密度が低い今のうちに防除を徹底してください。本虫は花や新芽などの隙間を好み生息していますので、ていねいに散布してください。
     適用のある薬剤はアファーム乳剤・アグリメック【6】、コテツフロアブル【13*】、モベントフロアブル【23】、ベネビアOD【28】、グレーシア乳剤【30】、プレオフロアブル【UN*】など多いのですが、薬剤感受性が低下しやすいためローテーション防除を心がけ、防除効果が低い場合は他の系統の薬剤に切り替えます。アザミウマ類の天敵農薬(スワルバンカーロングなど)は、本虫の発生を長期間抑制して化学農薬の使用回数を削減するとともに、化学農薬の連用による感受性低下を防ぐことが期待できます。春に天敵農薬の利用を予定している施設では、薬剤防除等で害虫の密度をごく低くしてから導入します。有機りん系【1B】やピレスロイド系【3A】、一部のネオニコチノイド系【4A】など天敵に長期間影響のある薬剤がありますので、天敵購入先等に天敵への影響日数を確認して薬剤を選択してください。
  • べと病
     発生量は少ない予想ですが、本病が発生しやすい環境は気温20〜24℃かつ多湿条件であり、今後の気温上昇とともに樹勢が低下すると発生しやすくなります。本病は葉に葉脈に区切られた角型の病斑ができ、葉裏には薄いビロード上のカビが見られます。
    【対策】
     暖房機のダクト送風運転、天窓の開閉等により結露させない環境管理に努めましょう。また、適度な追肥や摘果で樹勢を維持しましょう。適用のある薬剤はペンコゼブ水和剤【M03】、ダコニール1000【M05】など予防主体の保護殺菌剤や、アリエッティC水和剤【P07+M04】、ランマンフロアブル【21】、フェスティバルCフロアブル【40+M01】、プロポーズ顆粒水和剤【40+M05】、ベジセイバー【7+M05】等の治療を兼ねた薬剤など多くありますが、多発すると病勢が止まりにくいため、まずは予防剤を主とした定期的なローテーション防除が大切です。病勢が進展するなら、発病葉を除去し4〜5日間隔の連続散布で被害の拡大を防ぎましょう。

イチゴ


  • ハダニ類
     発生はやや少ない予想ですが、発生がない施設が多い一方で昨秋から多発している施設も各産地で見られます。この時期に発生があると、気温の上昇とともに急激に密度が高まる可能性があります。
    【対策】
     下葉かきを徹底するとともに、スポット的に発生し始めて葉に白いカスリ状の食害痕ができ株の生育がやや劣る初期段階を早期発見し、マイトコーネフロアブル【20D】、スターマイトフロアブル【25A】、ダニコングフロアブル【25B】などで被害が広がる前に防除します。ハダニ類は薬剤の感受性が低下しやすいため、同一系統の薬剤は1作で1回までの使用としましょう。ピタイチやサフオイル乳剤、エコピタ液剤などの気門封鎖剤【未】は使用回数の制限がなく薬剤感受性が低下しにくいので、5〜7日間隔で虫体に直接かかるよう葉裏にも十分に散布すると良いでしょう。ただし、気門封鎖剤の中には環境条件により薬害が発生する場合がありますので、ラベルの注意事項を確認するとともに必要に応じて数株で試行してください。
     最近ではハダニ類の天敵農薬であるミヤコカブリダニ剤(ミヤコバンカー等)やチリカブリダニ剤(チリガブリ等)を利用する施設が増加しています。毎年、発生が多い施設では、次作に向けて定植前後の防除時期や薬剤の見直しとともに、天敵農薬の導入や炭酸ガスくん蒸を利用した苗の防除などもご検討ください。

☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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