トマト黄化葉巻病|トマト青枯病|トマトかいよう病|トマト疫病|トマト灰色かび病
トマト葉かび病|トマト萎凋病|トマト根腐萎凋病|ナス青枯病|ナスすすかび病
ナス灰色かび病|ナスうどんこ病|ナス半身萎凋病|ナス褐紋病|ナス黒枯病
キュウリモザイク病|キュウリ黄化えそ病|キュウリ斑点細菌病|キュウリべと病
キュウリうどんこ病|キュウリ褐斑病|キュウリ灰色かび病|キュウリつる枯病
メロンえそ斑点病|メロンべと病|メロンうどんこ病|メロンつる枯病|メロンつる割病
メロン黒点根腐病|イチゴうどんこ病|イチゴ炭疽病|イチゴ灰色かび病|イチゴ萎黄病
トマト黄化葉巻病
- 病 原
- ウイルス(宿主範囲は狭く、トマトのほかはトルコギキョウ、ヒャクニチソウなど)
- 多発時期
- 初夏〜秋(育苗期〜本ぽ前半)
- 病 徴
- 新葉の葉縁から退緑しながら葉巻きし、後に葉脈間が黄化、縮葉となる。発病部位より上は節間が短縮し、葉が黄化縮葉する。
- 伝 染
- タバココナジラミによる虫媒伝染
- 防 除
-
- ほ場内外の発病トマトは、直ちに土中に埋めるかビニール袋に入れるなどして処分する。
- 施設ではタバココナジラミの侵入防止のため、開口部に0.4mm目の防虫網を展帳する。
- 施設周辺の雑草はコナジラミ類の発生・増殖源となるので、春先から徹底した除草を行う。
- タバココナジラミの薬剤防除を徹底し、発生地域では育苗期から体系的に防除を行う。
- 発生施設では収穫終了後施設を密閉、高温にしてタバココナジラミを殺虫する。
トマト青枯病
- 病 原
- 細菌(宿主範囲広く、多くの野菜、花き類を侵す)
- 多発時期
- 促成栽培の後期、露地栽培の初期後半〜中期、抑制栽培の初〜中期
- 病 徴
- 茎・葉が急にしおれ、青枯れ症状となる。根は部分的に褐変する。
- 伝 染
- 土壌、水媒、その他(管理作業)
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 発病株を早期に発見し除去する。
- 整枝、収穫などの作業で感染することも多いので、中性次亜塩素酸カルシウム剤(ケミクロンG)100倍液でハサミを消毒する。
- がんばる根、影武者等耐病性台木に接木する(接木する場合は穂木との親和性に注意する)。
- 土壌くん蒸剤で床土、ほ場を土壌消毒する(完全には防除できない)。
トマトかいよう病
茎の維管束と髄部の褐変
- 病 原
- 細菌(トマトのみを侵す)
- 多発時期
- 促成、半促成、長期どり栽培では4〜6月。抑制栽培では9〜10月。雨よけ栽培では6〜7月。
- 病 徴
- 病徴は大きく二つに分けられる。一つは、内部組織が侵され萎ちょう症状を示し、他の一つは小葉の葉縁に病斑を作り、やがて小葉が黒褐色に変色して枯れるものである。葉柄、がく及び果柄には大きさ1〜2mm前後で、表面がざらざらした褐色〜暗褐色のかいよう病斑を作る。果実の表面には、病斑の周囲が白くふちどられた径2〜3mmの鳥目状病斑を生ずる。果実や葉柄の症状は現れないことがある。茎を切断すると、維管束が淡褐色に変色、病勢の進んだものでは柔組織も淡褐色に変色する。
- 伝 染
- 土壌、種子、風雨・灌水・摘葉時などの傷口伝染
- 防 除
-
- 発病株を早期に除去する。
- 摘芽作業は傷口の乾きやすい時に行う。
- 多湿とならないような栽培管理を行う。
- 温湯(50〜55℃で25〜30分間)または乾熱(70〜80℃で2〜3日間)で種子消毒する。
- 発病初期(一部に茎葉のしおれ、病斑形成が確認されたとき)に、発病株を抜き取った上で、登録のある農薬を散布する。
(写真:愛知農総試提供)
トマト疫病
- 病 原
- 原生生物(卵菌類に属するかび)
- 多発時期
- 促成・半促成栽培:11〜4月、抑制栽培:9〜11月、露地栽培:6〜7月、育苗期間中
- 病 徴
- 葉では不整形・暗緑色・浸潤性の大型病斑を形成、病斑のまわりまたはその裏に霜状のかびが生える。果実では不整形・アメ色〜褐色の火傷状大型病斑、茎では不整形・暗褐色、水浸状病斑となり、いずれも病斑上には白色霜状のかびが生える 。
- 伝 染
- 土壌・水媒伝染
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 窒素肥料の過用を避ける。
- 被害茎葉を除去する。
- 土壌くん蒸剤で土壌消毒する。
- 発病前または発病ごく初期から、登録のある農薬を散布する。
トマト灰色かび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属する宿主範囲の広いかびで、多くの野菜、花き、果樹類を侵す。)
- 多発時期
- 促成、半促成栽培:12〜4月、抑制栽培:9〜11月
- 病 徴
- 花弁、果実、葉、茎などに不整形・褐色の病斑を作り、ねずみ色のかびを生じる。
- 伝 染
- 分生子の飛散による風媒伝染。腐生性の強い菌で、トマト以外にも各種作物に寄生、それら被害残渣や土壌中の菌が第一次伝染源となる。
- 防 除
-
- 夏期にハウスを1か月間くらい密閉し、土中やハウス支柱など付着した菌核を高温で死滅させる。
- 前作の残渣を適切に処分する。
- 咲き終わった花弁、被害果、枯死葉は取り除き、適切に処分する。
- 茎葉の過繁茂を改善したり、ハウスの換気を十分に行う。
- 近紫外線除去フィルムでハウスを被覆する。
- 低温期には暖房し、ハウス内の乾燥につとめる。
- 発病のおそれがある場合には登録のある微生物農薬を散布して予防する。発病初期からは、登録のある農薬を散布またはくん煙する。
トマト葉かび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、トマトのみを侵す。)
- 多発時期
- 促成、半促成栽培の生育後半、抑制栽培
- 病 徴
- 葉に円形〜不整形の病斑を形成する。病斑の表面はわずかに黄変、裏面には、はじめ灰白色のちに褐色〜灰紫色のビロード状のかびが生える。 多湿では葉の表面にもかびが生え、まれに茎にも発生する。よく似た病徴を示す病気に「すすかび病」がある。
- 伝 染
- 第一次伝染は、種子、土壌、被害残渣中の菌に形成される分生子の飛散による風媒伝染。第二次伝染は病斑上に形成された分生子の飛散による。
- 防 除
-
- 換気を良好にする。
- 多発葉は除去する。
- 窒素肥料の過用を避ける。
- 乾熱で種子消毒する(70℃2〜3日)。
- 抵抗性品種を栽培する。
- 予防を主体に、登録のある農薬を散布またはくん煙する。
トマト萎凋病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、3つのレース(レース1、レース2、レース3)がある。
- 多発時期
- 促成栽培の後半期、露地栽培
- 病 徴
- 下葉から黄変・萎ちょうし、上葉にひろがる。根は部分的に褐変。ふつう半身だけが枯死することが多い。病勢の進み方は慢性的。茎や葉柄に導管褐変が見られる。
- 伝 染
- 土壌伝染、種子伝染。
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 発病株を早期に発見し除去する。
- 病原菌のレース(1〜3)を判別し、耐病性品種を栽培するか、耐病性台木に接木する(接木する場合は穂木との親和性に注意する)。
- 種子消毒をする(乾熱75℃7日)。
- 登録のある土壌くん蒸剤で床土、ほ場を消毒する。
トマト根腐萎凋病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかび)
- 多発時期
- 促成栽培、半促成栽培の比較的低温期
- 病 徴
- 先端葉が萎凋し、のち下葉から黄変する。半身だけが枯死することはない。病勢の進み方は慢性的。導管部は地際部から10〜15cmのみが褐変している。根は黒褐変し、腐敗がいちじるしい。
- 伝 染
- 土壌伝染、種子伝染、風媒伝染(果実の発病)。
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 発病株を早期に発見し除去する。
- 桃太郎ヨーク等耐病性品種を栽培する。新メイト、がんばる根、影武者等耐病性台木に接木する(接木する場合は穂木との親和性に注意する)。
- 種子消毒をする(乾熱75℃7日)。
- 登録のある土壌くん蒸剤で床土、ほ場を消毒する。
ナス青枯病
- 病 原
- 細菌(宿主範囲広く、多くの野菜、花き類を侵す)
- 多発時期
- 促成栽培の定植直後〜11月、4月〜収穫終了、半促成栽培の5月〜収穫終了、露地栽培の7〜8月
- 病 徴
- はじめ日中のみ株の一部の茎葉がしおれ、数日後にはしおれが回復しなくなり、それから4〜5日後には枯死する。茎の導管は褐変しており、切り口からは乳白色の菌泥がにじみ出る。
- 伝 染
- 土壌、水媒、その他(管理作業)
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 発病株を早期に発見し除去する。
- 土壌害虫を防除する。
- トルバム・ビガー、台太郎、カレヘン、アシスト等耐病性台木に接ぎ木する。
- 整枝、収穫などの作業で感染する場合が多いので、中性次亜塩素酸カルシウム剤(ケミクロンG)100倍液でハサミを消毒する。
- 登録のある土壌くん蒸剤で床土やたい肥、ほ場の土壌消毒を行う。
(写真:愛知農総試提供)
ナスすすかび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、ナスのみを侵す。)
- 多発時期
- ハウスの生育中〜後期(通常2月以降)
- 病 徴
- 下葉から発生、初め葉の裏側に、白っぽいかびが固まって密生する小さい斑点ができる。症状が進むと病斑は5〜10mm程度となり、病斑上のかびは、しだいに灰褐色、すす状に変わる。症状の似た病害に「すす斑病」があるが、本病の葉裏の病斑は初期から灰褐色。
- 伝 染
- 第一次伝染源は被害残渣、施設資材に残存した菌体で、風媒伝染する。第二次伝染も風媒による。
- 防 除
-
- 多湿を避ける。
- 密植を避け、過繁茂とならないようにし、通気を良好にする。
- 発病葉を早期に発見し除去する。
- 収穫後は丁寧に処分し、施設周辺等に積み上げておいたりしない。ハウスを密閉して高温処理を行い、病原菌を死滅させる。
- 発病初期から登録のある農薬を散布する。
ナス灰色かび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属する宿主範囲の広いかびで、多くの野菜、花き、果樹類を侵す。)
- 多発時期
- 促成、半促成栽培で2〜6月
- 病 徴
- 花では、咲き終わってしぼんだ花から発生し、花弁に灰色のかびが生える。幼果では、柱頭や果頂部、肩の部分に発生することが多く、茶色〜淡褐色のへこんだ病斑ができ、その上に灰色のかびが密生する。葉には、不整形で大型の茶色〜淡褐色の輪紋状の病斑をつくる。葉柄や枝にも発生して大型の病斑ができる。
- 伝 染
- 土中または地表面の被害残渣で残存した菌糸、分生子、菌核が第一次伝染源となり、分生子の飛散により風媒伝染する。第二次伝染も風媒。
- 防 除
-
- 低温多湿を避ける。
- 開花後の花弁、枯葉、発病葉を除去する。
- 密植を避け、換気を良好にする。
- 全面にポリマルチをする。
- 夏の高温期に太陽熱利用による土壌消毒やハウス蒸し込みにより被害残渣中の病原菌や菌核を死滅させる。
- 多発・常発ほ場では登録のある微生物農薬を予防的に散布する。
- 発病初期から登録のある農薬を散布する。
ナスうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属する数種のかびが病原菌で、種により宿主範囲は異なるが、ふつうにみられる種はキュウリ、カボチャ、メロン、コスモス、ヒャクニチソウを侵す。)
- 多発時期
- 促成、半促成栽培で春と秋
- 病 徴
- 主に葉が侵され、はじめ表面に点々とした白色のかびが生じ、しだいに広がって円形の病斑を形成する。のちに葉全体がうどん粉をふりかけたような病斑となる。葉柄にも発生する。多発生状態になると果実の果梗や蕚にもうどんこ病の病斑が現れる。
- 伝 染
- 第一次伝染源は被害植物上の子のう殻であるが、ナスではまれで、他種植物体上の分生子のことが多い。子のう胞子や分生子は風媒伝染する。第二次伝染も分生子の風媒伝染。
- 防 除
-
- 株が軟弱徒長、過繁茂状態にならないような栽培管理をする。
- 発生盛期は春と秋であるので、この時期に重点を置き、初発を見逃さないようにして、葉裏にも十分かかるように登録のある農薬を散布する。
ナス半身萎凋病
- 病 原
- 糸状菌(トマト、ピーマン、ジャガイモ、ホウレンソウ、ハクサイ、ダイコン、キャベツ、カブ、キュウリ等を侵す多犯性の不完全菌類に属するかびであるが、いくつかの系統に分かれ、寄生性に分化がみられる。)
- 多発時期
- ハウス栽培・トンネル栽:4〜6月、冷涼地・露地栽培:7月上旬以降
- 病 徴
- 下葉の葉脈間が部分的に黄化し、のちに褐変してしおれる。徐々に上位葉に進展し、落葉する。発病ははじめ片側だけだが、のちに全体に広がる。
- 伝 染
- 被害残渣、土壌中の微小菌核が伝染源となり、土壌伝染する。
- 防 除
-
- 発病株を早期に発見し除去する。
- 耐病VF、トルバム・ビガー、茄の力等耐病性台木に接ぎ木する。
- 夏期ハウス密閉による陽熱処理を行う。
- 登録のある土壌くん蒸剤で床土やたい肥、ほ場の土壌を消毒する。
- 発病初期から登録のある農薬を土壌かん注する。
(写真:愛知農総試提供)
ナス褐紋病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、ナスのみを侵す。)
- 多発時期
- 主に露地栽培の高温期(梅雨明け〜盛夏すぎ)
- 病 徴
- 葉、果実、茎を侵し、葉では褐色の同心円状の輪紋を伴う直径約1cmの病斑、果実ではややへこんだ同心円状の輪紋を伴う褐色病斑を生じる。発病果実はへた部から落ちるか、ミイラ状になる。病斑上には黒色の小粒点(柄子殻)を生じる。感染果実が潜伏期間中に収穫されると、出荷後に発病してくることがある。茎の病斑もややへこみ、苗時に発生すると立ち枯れる。
- 伝 染
- 第一次伝染は種子に付着した菌糸による種子伝染と土中の柄子殻からの分生子(柄胞子)の飛散による風媒伝染によっておこる。病斑上に形成された柄胞子の飛散によって第二次伝染がおこる。
- 防 除
-
- 高うねにして排水をよくする。
- 密植を避け、窒素肥料を過用しない。
- 発病した枝や果実は、園外に搬出して適切に処分する。
ナス黒枯病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、自然条件ではナスのみを侵す。)
- 多発時期
- 主に促成・半促成栽培の5〜6月
- 病 徴
- 主として葉に発生し、はじめ紫がかった褐点、のちに通常0.5〜1cmの黒褐色円形の病斑を形成する。多数の病斑ができると落葉する。茎や果実に発病することもある。
- 伝 染
- 菌糸や分生子が被害茎葉、ハウス資材、種子に付着して生き残り、第一伝染源となる。分生子の飛散で風媒伝染する。
- 防 除
-
- 気温や湿度が高くなりすぎないような施設管理を行う。
- 発生初期のうちに、登録のある農薬を散布する。
- 多発時は下位葉を摘除し、落葉とともに施設外に搬出してから薬剤を散布する。
キュウリモザイク病
- 病 原
- ウイルス(キュウリモザイクウイルス、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、カボチャモザイクウイルス等)
- 多発時期
- アブラムシの飛来時期(ハウスでは4〜6月と9〜11月)
- 病 徴
- 葉、果実にモザイク症状を生じる。症状はウイルスの種類により多少異なる(写真はズッキーニ黄斑モザイクウイルス)。
- 伝 染
- 罹病植物(主にウリ科植物。キュウリモザイクウイルスはツユクサ、ハコベ、イヌガラシなどの雑草も重要)が伝染源となり、アブラムシにより虫媒伝染する。
- 防 除
-
- 周辺の伝染源植物の除去。
- シルバーポリフィルム利用によるアブラムシの飛来防止。
- 殺虫剤によるアブラムシ防除(特に粒剤が効果的)。
キュウリ黄化えそ病
- 病 原
- ウイルス(自然感染植物は、キュウリのほかメロン、スイカ、ニガウリ等のウリ科植物)
- 多発時期
- 露地栽培、施設栽培(厳寒期を除いたほぼ周年)
- 病 徴
- 葉では、はじめ葉脈透過を生じ、のちにモザイク、えそ斑点、退緑斑点、葉脈えそ及び黄化などの症状や生育抑制等多様な症状を示す。果実にもモザイク症状を示すことがある。
- 伝 染
- 罹病キュウリ、メロンが伝染源となり、ミナミキイロアザミウマで虫媒伝染する。
- 防 除
-
- 幼苗期に寒冷紗を全面被覆し、媒介虫の飛来を防止する。
- 側窓や天窓などの開口部を寒冷紗などで覆う。
- シルバーポリフィルムなどのマルチをして媒介虫の忌避を図る。
- 発病株を発見したらすぐに抜き取り処分する。
- ミナミキイロアザミウマを徹底的に防除する。
キュウリ斑点細菌病
- 病 原
- 細菌(ウリ科作物に病原性)
- 多発時期
- 主に施設で12〜4月(特に1月後半〜2月)
- 病 徴
- 葉にはじめ水浸状の褐色小斑点、のちに3mm程度の葉脈に囲まれた黄褐色の斑点を形成する。病斑周辺に黄色いハローを伴うこともあり、多湿条件下では白濁の液汁を溢出する。葉の症状はべと病に似るが、べと病は多湿時には葉裏にすす状のかびを生じ、古くなっても穴が開くことがない。葉柄や茎、果実でも発病することがある。果実では、暗褐色のくぼんだ斑点を生じ、その内側に亀裂ができ、ヤニを分泌して軟化、腐敗する。
- 伝 染
- 種子が伝染源となることが多いが、被害残渣とともに土壌中に残った病原細菌が伝染源となることもある。病原細菌は、種子伝染のほか、水滴とともに飛散したり、農機具や被服に付着して気孔や水孔、傷口から侵入する。病斑部から溢出した病原細菌は、水滴とともに飛散したり、接触により二次伝染し、蔓延する。
- 防 除
-
- 排水をよくし、過湿にならないように管理する。
- 収穫後は、被害茎葉を他の場所へ運び地中深く埋め込む等適切に処分する。
- 苗床では発病株の早期発見除去につとめ、ほ場に持ち込まないようにする。
- 種子は乾燥消毒したものを用いる(75〜78℃で1〜5日、65℃で2〜5日)。
- 過湿を避けるため全面マルチや流滴フィルムなどを使用する。
- 栽培初期から定期的に登録のある農薬を散布し、予防を徹底する。
キュウリべと病
- 病 原
- 原生生物(卵菌類に属するかびで、ウリ科植物を侵すが、病原性が分化しており、キュウリの菌はキュウリに病原性が強いとされる。)
- 多発時期
- 常時発生(暖地の夏期高温乾燥時を除く)
- 病 徴
- 葉に葉脈に囲まれた黄褐色、多角形の病斑を作る。葉裏には薄ねずみ色のかび(分生子)を形成する。
- 伝 染
- 第一次伝染源は被害残渣であり、分生子の飛散により伝染する。分生子は水湿があると発芽して遊走子を放出、遊走子は遊泳して気孔から菌糸を侵入させる。病斑上に形成される分生子で第二次伝染がおこる。
- 防 除
-
- 排水を良好にする。
- 肥料切れさせない。
- 敷わらやポリマルチを行い、雨滴の跳ね上がりを防ぐとともに、ハウス内が過湿にならないようにする。
- 病葉は早めに除去し、栽培終了後には被害茎葉を集めて焼却する。
- 密植を避けて風通しをよくする。
- 予防散布に重点を置き、登録のある農薬を散布する。フェニルアマイド系(メタラキシルM)、ストロビルリン系(アゾキシストロビン、クレソキシムメチル)は耐性菌が発生しやすいので、多発時には使用せず、保護殺菌剤(無機銅剤、有機銅剤、マンゼブ剤など)や作用機作の異なる薬剤を組み合せ散布する。
※農薬の登録は不変ではなく、変更・失効する場合があります。
農薬の使用前には必ずラベル等で登録内容を確認してから使用してください。
キュウリうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類または不完全菌類に属する数種のうどんこ病菌が寄生するが、ふつうにみられる種は、キュウリのほかカボチャ、メロン、ナス、コスモス、ヒャクニチソウ、オオキンケイギク等に寄生。)
- 多発時期
- ハウス栽培では、10〜11月及び3月以降に発生し、特に3月以降多発する。
- 病 徴
- 病原菌の種により病徴は異なるが、ふつう葉の表面に、うどん粉のような白い粉を生ずる。下位葉から徐々に上位葉に進展、発病のひどいときは葉が枯れ上がり、著しく減収する。
- 伝 染
- 被害部について越冬した子のう殻が伝染源となる。施設では生きた植物上で菌糸や分生子の形で越年して伝染源となる。子のう胞子や分生子の飛散により風媒伝染する。第二次伝染は分生子の飛散による。
- 防 除
-
- 病気が広がると防除が難しくなるので、初発生に注意して、発病初期から薬剤散布を励行する。
- 初発時に 菌そうが散見されたら予防効果の高い薬剤を、やや広がりかけた場合は、速やかに予防効果と治療効果を兼ね備えた薬剤を散布する。
- 使用する薬剤は同一系統剤の連用を避け、異なった系統の薬剤をローテーションで散布する。
- 曇雨天の続く時期には湿度を高めないため、くん煙剤による防除を導入する。
- 果実肥大に必要がなくなった下方の病葉は、可能なかぎり除去する。
- 窒素肥料の多用は本病の発生を助長するので、施肥基準に従って適正な施肥管理を行う。
キュウリ褐斑病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかび。メロン褐斑病菌と同一種)
- 多発時期
- 夏秋栽培:梅雨期と9〜10月、ハウス抑制栽培:9〜10月
- 病 徴
- 葉に淡褐色〜暗灰色の不整形の大型の同心円紋を生ずる 。初期は黄褐色のハローを伴ったゴマ粒大の斑点で、斑点細菌病の病徴と区別しにくい。果実では花弁部から感染し黄化する。茎には紡錘形の病斑を作る。茎や果実の発病は、生育後期の多発時にまれに見られる。
- 伝 染
- 種子伝染と風媒伝染。土壌や被覆用ビニール等に残存した病原菌からの分生子飛散により感染、発病する。病斑上に形成された分生子で第二次伝染がおこる。
- 防 除
-
- 窒素過多を避ける。
- 灌水過多を避け、施設内の通風をはかる。
- 被害葉や被害残渣を除去する。
- 多発ほ場で使用した資材は消毒する。
- 予防と発生初期に重点をおき、登録のある農薬を散布する。耐性菌が発生しやすいので、系統の異なる薬剤を輪用する。
キュウリ灰色かび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属する宿主範囲の広いかびで、多くの野菜、花き、果樹類を侵す。)
- 多発時期
- ハウス栽培で12月下旬〜2月下旬
- 病 徴
- 咲き終わってしぼんだ花の部分から発生し始め、灰色のかびが発生する。そこから発病部位は幼果に及び、幼果は黄褐色となり柔らかく腐る。葉の縁に近いところに灰褐色の丸い大型の病斑を生じ、灰色のかびを密生することもある。地面に接した葉が発病しやすい。巻きひげにも発生する。
- 伝 染
- 土中または地表面の被害残渣で残存した菌糸、分生子、菌核が第一次伝染源となり、分生子の飛散により風媒伝染する。第二次伝染も風媒。
- 防 除
-
- 施設栽培では加温、換気を適正にし、過湿を避ける。
- 咲き終わった花弁は除去する。
- 発病部及び枯葉を除去する。
- 近紫外線除去フィルムは分生子の形成を抑制することができる。
- 初発生を的確にとらえ、発生初期から登録のある農薬を散布またはくん煙する。耐性菌が発生しやすいので同一系統薬剤の連続散布は避け、ローテーション散布をする。
キュウリつる枯病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかび。ほとんどのウリ科野菜に寄生する。)
- 多発時期
- 全作型、全期間(発病適温15〜25℃)
- 病 徴
- 茎、葉柄、葉に発生。まれに果実にも発生(心腐れ)。地際の茎や上部の節に油浸状の病斑を作り、ヤニを出す。葉には丸い淡褐色〜灰褐色の病斑ができるが、葉縁から広がり、葉脈に囲まれたV字型になることが多い。
- 伝 染
- 種子伝染及び水滴による子のう胞子と分生子(柄胞子)の飛散。
- 防 除
-
- 健全な種子を用いる。
- 異常の見られる苗は定植しない。
- 株元土壌及び施設内の乾燥をはかる。
- 灌水は直接茎にかからないようにする。
- 使用した資材は、巻ひげなど残渣を取り除き、水洗後に薬剤で消毒する。
- 栽培後は、被害残渣を施設内に残さないように除去する。
- 発生前から登録のある農薬を散布する。降雨など水分が多い場合に発生するので、降雨前または降雨直後のいずれかに、薬剤散布を行う。
(写真:愛知農総試提供)
メロンえそ斑点病
- 病 原
- ウイルス(メロンのほかにはスイカに病原性)
- 多発時期
- 12〜3月
- 病 徴
- 葉、茎、果実にえそ症状を生じる。通常、本葉10葉ごろから発生し始め、初めは若い葉の全面に黄褐色の小斑点、のちに主に葉先から葉脈に沿った不正円形の大型病斑を形成する。茎、葉柄、果柄には黄褐色のえそ条斑を生じ、茎では地際部にトリアシ型のえそを示すことが多い。根は褐変し細根は消失する。果実の症状は顕著ではないが、玉伸びが悪く、ネットの発生が不揃いで、品質が低下する。
- 伝 染
- 汁液伝染(接触伝染)、種子伝染、土壌伝染(菌類が媒介)。
- 防 除
-
- 乾熱消毒(72℃−3日間)した種子を用いる。
- 土壌くん蒸剤または蒸気・熱水で土壌消毒する。
- 汚染ほ場からの雨水や用水の流入を防ぐ。
- 土壌は乾燥ぎみに管理し、土壌のpHは高めない。
- 一度使用した鉢などの栽培資材は、蒸気やホルマリン100倍液で消毒して再利用する。
- 疑似症状株の管理作業は最後に 行い、手や刃物が発病株に触れたら石けんでよく洗う。
- 接触伝染を防ぐため、体が株に触れないように通路は広めにとる。
- 発病株は速やかに抜き取り、適切に処分する。
メロンべと病
- 病 原
- 原生生物(卵菌類に属するかび。多くのウリ科作物に寄生するが、寄生性の分化がある。)
- 多発時期
- 常時発生(暖地の夏期高温乾燥時を除く。)
- 病 徴
- 主に葉縁から、円形で黄色い1〜2cmの病斑を作る。のちに上葉でも緑褐色水浸状角斑ができる。葉裏には薄ねずみ色のかび(分生子)を形成する。育苗期の子葉では淡黄色の不鮮明な斑点ができ、ネズミ色のかびが生える。
- 伝 染
- 分生子の飛散により伝染する。分生子は水湿を得ると発芽し、遊走子を放出、遊走子は水中を泳ぎ、気孔から侵入する。第一次伝染源は被害残渣中に形成された卵胞子と考えられている。
- 防 除
-
- 排水、日当たりを良くし、密植しない。
- 敷きわらをし、雨滴の跳ね上がりを防ぐ。
- 施設では、換気に注意し、多湿にならないようにする。
- 予防に重点を置き、発生前から発生初期に保護殺菌剤(TPN剤、マンゼブ剤、有機銅剤など)を散布する。発生が多くなったら、治療効果のある薬剤を散布したのち、保護殺菌剤を散布する。
※農薬の登録は不変ではなく、変更・失効する場合があります。
農薬の使用前には必ずラベル等で登録内容を確認してから使用してください。
メロンうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類または不完全菌類に属する数種のうどんこ病菌が寄生するが、ふつうにみられる種は、メロンのほかカボチャ、キュウリ、ナス、コスモス、ヒャクニチソウ、オオキンケイギク等に寄生。)
- 多発時期
- 全作型の全期間(発病適温18〜25℃)
- 病 徴
- はじめは表面にうどん粉状の菌叢をもった円形の病斑となる。病斑は急速に全葉に広がり、古くなると乾燥してガサガサになって枯死する。
- 伝 染
- 子のう殻で越年し、子のう胞子を胞子を飛散させて伝染する。第二次伝染は病斑上にできた分生子の飛散による。
- 防 除
-
- 多発すると防除が困難になるので、初発を見たら速やかに薬剤散布を行い、その後1週間おきに数回散布する。薬剤は系統の異なるものを輪番で用いる。
メロンつる枯病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかび。ほとんどのウリ科野菜に寄生する。)
- 多発時期
- 全作型、全期間(発病適温15〜25℃)
- 病 徴
- 茎、葉、葉柄、まれに果実も侵される。茎では地際部がよく侵されるが、露地メロンでは子づるや孫づるが侵されることも多い。茎の病斑ははじめ灰緑色、のちには灰褐色に変わり、表面がざらざらしてややへこみ、後期になると小さな黒い粒点を多数生ずる。その上部では萎凋、枯死する。葉では葉縁から扇状に褐色の病斑ができる。葉柄にも茎と同じような病斑ができ、葉が枯死する。病患部は比較的浅く、病勢の進展も遅いが、病斑が目立ちにくいため、気づいた時には手遅れとなっていることもよくある。
- 伝 染
- 種子伝染及び水滴による子のう胞子と分生子(柄胞子)の飛散。
- 防 除
-
- 種子消毒を行う。
- 発病苗を本ぽに植えない。
- 定食時に苗の胚軸にトップジンMペーストを塗布しておく。
- 株元の土をなるべく乾かすような栽培管理をする。
- 予防主体の薬剤散布を行う。
- 初期病斑であれば、削り取ってトップジンMペーストを塗布しておけば治療できることがある。
- 発病ほ場では収穫後に残渣を残さないようにし、土壌及び支柱などの資材は確実に消毒する。
※農薬の登録は不変ではなく、変更・失効する場合があります。
農薬の使用前には必ずラベル等で登録内容を確認してから使用してください。
メロンつる割病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、メロン類のみを侵す。国内で発生している病原菌は、品種に対する病原性の違いから4つのレースに分けられる。)
- 多発時期
- 半促成後半、抑制前半、露地では5〜7月
- 病 徴
- 茎の地際部が暗緑色、水浸状になり桃色のかびが発生。維管束は褐変し、根が褐色に腐敗する。しかし、地際部に変化が現れずに株全身でしおれ、萎ちょう、枯死することもある。
- 伝 染
- 土壌中の厚膜胞子が伝染源となり、土壌伝染する。種子伝染もする。
- 防 除
-
- 発病ほ場は土壌くん蒸剤で土壌消毒する。
- カボチャ台に接ぎ木する。
- 抵抗性品種を栽培する。
- 70℃3日間の種子の乾熱消毒を行う(レース1、2yの場合は75℃10日間必要。)
メロン黒点根腐病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかびで、ウリ科作物を侵すが、メロンで発生が多い。)
- 多発時期
- 高温期(7〜9月)
- 病 徴
- 果実が十分肥大した頃から、しおれ症状が現れる。しおれ症状株の根は水浸状に褐変、腐敗して、細根は消失する。根の褐変部に小黒点(子のう殻)を生じる。
- 伝 染
- 土壌伝染
- 防 除
-
- 発病株を早期に発見して適切に処分する。
- 収穫後の被害株は極力除去する。
- 農機具、苗などにより汚染土壌を未発生地に移動させないようにする。
- ウリ科作物の連作を避ける。
- 発生地はあらかじめ土壌くん蒸剤や蒸気で土壌消毒する。
- 発病初期には、発病株とその周辺の株にリゾレックス水和剤をかん注する。
※農薬の登録は不変ではなく、変更・失効する場合があります。
農薬の使用前には必ずラベル等で登録内容を確認してから使用してください。
イチゴうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかびで、イチゴのみを侵す。)
- 多発時期
- 促成・半促成栽培の2〜4月ごろ、トンネル・露地栽培の3〜5月ごろ
- 病 徴
- 葉、果実、果梗に発生して、表面に白粉状の白色から灰白色のかびが密生する。小葉は上向きに葉巻きし、幼果は光沢を失って硬化する。つぼみが侵されると花弁が紫紅色に変わり、開花が不完全となり果実も肥大しない。
- 伝 染
- 分生子飛散による風媒伝染
- 防 除
-
- 定植直前までの育苗期に防除を徹底し、無病苗を定植する。
- 草勢が衰えると発病しやすいので、適正な肥培管理を行う。窒素過多にも注意する。
- 発生しやすい時期になったら葉裏をよく観察し、発病葉、発病果実を早く見つけ除去するとともに、登録のある農薬を輪番でかけむらのないよう散布する(ベンゾイミダゾール系剤、DMI剤、ストロビルリン系剤は耐性菌発生の事例あり)。
- 施設栽培の保温期間中にはくん煙剤による防除も省力的である。
- 微生物農薬は発生前から散布すると予防効果がある。
イチゴ炭疽病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかび。シクラメン、ソラマメ、エンドウ、ノゲシにも寄生。)
- 多発時期
- 採苗床期:5月下旬〜7月、仮植床:7〜9月、本ぽ:11〜1月、3〜4月
- 病 徴
- 葉、葉柄、托葉、花弁、がく、果実を侵す。ランナーに発生しやすく、黒色でくぼみのある紡錘形や楕円形の病斑を生じ、拡大するとその先端部は枯れる。多湿時には病斑状に鮮肉色の胞子塊が形成される。クラウン部分が侵され、株全身が萎ちょうする場合もある。
- 伝 染
- 水滴とともに分生子が飛散し伝染する。
- 防 除
-
- 健全な親株を用い無病地で苗を養成する。
- 苗床で雨よけを行う。頭上灌水をしない。
- 排水及び換気を良好にする。
- 急激な肥料切れをさせない。
- 不要な側枝や下葉はかき取り、通風をよくする。作業は晴天時に行うことが望ましい。
- 発病株があれば、その隣接株とともに早期に除去して処分する。
- 床土、本ぽの土壌消毒を行う。
- 親株床、仮植床での防除を主体として、登録のある農薬を輪番で散布する。育苗期に発生が多いなど、本ぽでも防除が必要な場合は、定植後にも使用できる農薬を散布する。
- 仮植前の根部の薬剤浸漬、仮植後または本ぽ定植後の薬剤かん注も有効である。
イチゴ灰色かび病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属する宿主範囲の広いかびで、多くの野菜、花き、果樹類を侵す。)
- 多発時期
- 促成、半促成栽培の12〜4月ごろ、トンネル、露地栽培の3〜5月ごろ
- 病 徴
- 果実、花弁、がく、花梗、葉、葉柄が侵される。果実では油浸状で淡褐色の小型の斑点から、急速に拡大して全体が軟化し灰色で粉状のかびを密生する。未熟果では淡褐色の病斑を生じ乾腐する。花弁が侵されると黄褐色に変色し、花梗、葉柄では暗褐色の細長い病斑を生じる。葉には大型で褐色の病斑を形成する。
- 伝 染
- 土中または地表面の被害残渣で残存した菌糸、分生子、菌核が第一次伝染源となり、分生子の飛散により風媒伝染する。第二次伝染も風媒。
- 防 除
-
- 密植を避ける、マルチを行う、換気・灌水量に注意することにより、過湿を防ぐ。
- 病果は早期に除去し、伝染源を少なくする。また、老化葉、枯死葉は2か月に1回程度除去する。
- 発病期には、登録のある農薬を予防主体で散布する。薬剤耐性菌が発生しやすいので、系統の異なる数種薬剤を輪用する。
イチゴ萎黄病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびでイチゴのみを侵す。)
- 多発時期
- 育苗期:6〜9月、促成栽培:9〜12月
- 病 徴
- 新葉が黄緑色から黄色に変わり、小葉は小さくなり葉が巻いて舟形に奇形化する。この症状は株の一方に偏ることが多い。株は次第に萎縮し、下葉から紫紅色に変わり、萎ちょうして株全体が枯れる。急性症状では、葉に黄化や奇形を呈すことなく萎凋し、枯死する。地際部、葉柄、果梗の維管束が褐色から黒褐色に変色し根が腐敗する。
- 伝 染
- 土壌、苗伝染
- 防 除
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- 健全な親株を用い無病地で苗を養成する。
- 輪作を行う。
- 山土、もみがら、おがくずなどを利用してポット育苗をする。
- 7月中下旬〜8月上旬の高温時に太陽熱消毒をする。
- 親株床、仮植床予定地を土壌くん蒸剤で消毒する。
- 仮植前に根部を薬剤浸漬する。
- 仮植床で発病が予想される場合は、登録のある農薬をかん注する。