ダイコンモザイク病|ダイコン黒斑細菌病|ダイコン軟腐病|ダイコン白さび病
ダイコンバーティシリウム黒点病|ヤマノイモモザイク病|ヤマノイモ炭疽病
ヤマノイモ葉渋病|エンドウうどんこ病|エンドウ萎凋病
ダイコンモザイク病
- 病 原
- ウイルス(主に、カブモザイクウイルスとキュウリモザイクウイルス)
- 多発時期
- 秋作の生育初期〜中期
- 病 徴
- はじめ葉の一部または全体が萎縮し、典型的なものでは濃緑色の地に黄白色の斑入りがモザイク状に入り、ちりめん状となる。著しい生育不良となる。
- 伝 染
- 虫媒(アブラムシ類)
- 防 除
-
- 作付け前に周辺雑草を除去する。
- 陸稲やキビを間作あるいは障壁作物として植え付け、保毒アブラムシの無毒化を図る。
- 銀白色のシルバーポリフィルムをマルチし、またシルバーテープをはって媒介虫の飛来を少なくする。
- 発生しやすい作型(播種期が夏〜初秋)では播種または定植時に粒剤を施用し、媒介虫の密度を低下させる。
- アブラムシ類の飛来があれば、系統の異なる2〜3種類の殺虫剤をローテーションを組んで散布する。
ダイコン黒斑細菌病
- 病 原
- 細菌(アブラナ科作物に寄生)
- 多発時期
- 5〜7月、10〜11月
- 病 徴
- 通常葉に発生するが、根にも発生する。
- 伝 染
- 土壌や被害残渣中の病原細菌が水媒伝染により気孔、水孔、傷口から侵入。種子伝染も行われる。
- 防 除
-
- アブラナ科作物の連作を避ける。
- 排水を良好にし、地下水位の高いほ場では高うねとする。
- 窒素肥料の過剰施用、肥料切れに注意する。
- 汚染のおそれのある種子は50℃の温湯に10分間浸漬する。
- 不良天候が続くときや、発病を見たときは登録のある農薬を散布する。
- 害虫防除を徹底し、傷口を少なくする。
ダイコン軟腐病
- 病 原
- 細菌(ユリ科、セリ科、サトイモ科、アブラナ科、ナス科、キク科などの多数の植物に寄生)。
- 多発時期
- 6月上旬〜10月中旬
- 病 徴
- 幼苗期から発病すると地際部が水浸状に、葉柄はゆでたように軟化し、葉は生気なく萎凋してやがて枯死する。生育が進んでからの発病は、春夏作では地下部に多く、秋冬作では根頭部から腐り始め、根部が軟化、腐敗して、最後には空洞になる。
- 伝 染
- 病原細菌は土壌中に生息し、水媒、虫媒、接触により傷口や水孔から侵入感染する。
- 防 除
-
- 地表面が乾きにくい場所では、うねを高くする。
- 前作に軟腐病の発生する作物を作らない。
- 1株でも発生を見たら、下葉の基部を中心に、登録のある農薬をかけむらのないように散布する。降雨が続くような気象状況が予想される場合には、発病前でも薬剤を散布しておく。
- キスジノミハムシなどの害虫の食害痕も侵入門戸となるので、害虫を防除する。
ダイコン白さび病
- 病 原
- 原生生物(卵菌類に属するかびで、アブラナ科植物に寄生するが、寄生性により3つの系統に分かれ、ダイコンにはダイコン系統が寄生する)
- 多発時期
- 晩秋から早春
- 病 徴
- 葉では降雨が続いたあと、下葉などにはじめ水浸状の小斑点が生じる。やがて斑点はやや大きくなり、表から見ると黄白色となり、葉裏をめくると白色粉状の塊が観察される(写真左)。茎、花茎にも発生する。根部表皮に淡黒色のリング状病斑を形成することがあり、わっか症などと呼ばれる(写真右)。
- 伝 染
- 病原菌は卵胞子や菌糸の状態で被害残渣で生存し伝染源となる。分生子(胞子のう)は風で飛散し、水を得ると遊走子が放出される。遊走子は水滴中を遊泳し、定着後再び発芽して気孔から侵入する。潜伏期間は最適条件下で5〜7日であるが、わっか症は20日程度である。
- 防 除
-
- 被害茎葉はほ場外へ搬出して処分し、ほ場を天地返しする。
- 連作を避け、アブラナ科以外の作物と輪作する。
- 排水を良好にする。地下水位の高い所では高うねとする。
- 播種時に登録のある農薬(粒剤)を土壌混和する。
- 発生初期に登録のある農薬を散布する。冷涼で降雨が続くときには、さらに7〜10日ごとに数回散布する。
ダイコンバーティシリウム黒点病
- 病 原
- 糸状菌(トマト、ピーマン、ジャガイモ、ホウレンソウ、ハクサイ、ダイコン、キャベツ、カブ、キュウリ等を侵す多犯性の不完全菌類に属するかびであるが、いくつかの系統に分かれ、寄生性に分化がみられる。)
- 多発時期
- 春まき、秋まきの栽培全期間
- 病 徴
- 発病部位は株全体に及ぶが、根で顕著。下葉がしおれ、退色、黄化して枯れ、葉脈に茶褐色の条斑を生ずる。また、中肋脈を境に葉の半分がしおれて、ついには枯れることもある。葉の発病は下葉に限られるので、気づかないこともある。根では導管が褐変(外周はリング状、内部はごま塩状)しているが、外観からは異常がみられない。病徴の似た病気に、黒点輪腐病、萎黄病がある。
- 伝 染
- 被害残渣とともに微小菌核が土壌中に残り、土壌伝染する。微小菌核は土壌中で10年以上生存するとされている。
- 防 除
-
- 連作を避ける。
- 罹病残渣をほ場外に搬出し、処分する。
- 登録のある土壌くん蒸剤で土壌消毒を行う。
ヤマノイモモザイク病
- 病 原
- ウイルス(数種のウイルスが報告されているが、主要な病原ウイルスはヤマノイモのみに感染する。)
- 多発時期
- 幼苗期〜初夏
- 病 徴
- 葉のモザイク、葉脈緑帯、葉脈透過、葉幅の狭小、湾曲、ねじれ、いもの肥大不良など
- 伝 染
- アブラムシ伝搬、種いも伝染
- 防 除
-
- 無病のいもを種いもとする。
- 発病株は早期に抜き取り処分する。
- 5〜8月を重点にアブラムシを防除する。
ヤマノイモ炭疽病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、ヤマノイモのみに寄生)
- 多発時期
- 8〜9月
- 病 徴
- 下位葉にはじめ褐色の小斑点、のちに黒色の大きな不定形病斑、やや古くなると中心部が灰白色に変わり黒色小粒点を多数形成する。雨が続くと急速に上位の茎葉に伝染し、激しく落葉する。
- 伝 染
- 被害茎葉や支柱などの資材で菌糸の状態で越冬し、降雨の際に分生子を飛散させ伝染する。
- 防 除
-
- 梅雨期に入る前から、登録のある農薬を用いた定期的な薬剤散布を行い、予防する。特に茎葉が繁茂する盛夏期から秋雨期は薬量を増やし、かかりむらのないようにする。
- 急激な肥料切れを起こさないよう適度に追肥を行う。
- 収穫時には茎葉を焼却処分する。
ヤマノイモ葉渋病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、ヤマノイモのみに寄生)
- 多発時期
- 梅雨期と8月中旬〜収穫期
- 病 徴
- 葉身、葉柄、茎に発生し、葉身では葉脈に囲まれた多角形の病斑を多数生じ、病斑中央部表皮下に黄褐色の小粒点(胞子堆)を産生、これが破れて白い粉を生じる。病斑は暗褐色となり病勢が激しいときは全体が枯死し、落葉する。葉柄、茎にも白い粉を生じる。
- 伝 染
- 胞子堆や菌糸が被害部に付着して越冬し、ここから分生子を形成して、風媒伝染する。
- 防 除
-
- 被害茎葉は集めて焼却処分し、支柱等の資材は消毒する。
- 6月上中旬から、登録農薬を用いた定期的な薬剤散布を行う。8月中旬からも、降雨が続くようなら定期的な薬剤散布を行う。
エンドウうどんこ病
- 病 原
- 糸状菌(子のう菌類に属するかびで、エンドウのほかスイートピー、インゲンマメ、アズキ等のマメ科作物を侵す。)
- 多発時期
- 秋まき栽培:露地;5〜6月、ハウス;3〜4月、夏まき栽培:10〜11月
- 病 徴
- はじめ葉表のちには葉裏にも白粉を生じ、激しく発病するとさやにも発生する。結莢後草勢が衰えると、病斑上に小黒粒(子のう殻)を生じ、葉は黄化する。
- 伝 染
- 被害植物上で子のう殻の形で越冬、越夏し、子のう胞子の飛散により風媒伝染、発病する。病斑部には分生子が形成され、二次伝染する。
- 防 除
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- 日照不足、軟弱徒長、通風不良にならないよう、こまめな整枝と適正な施肥に努める。
- 下葉の発病に注意し、発病初期から登録農薬を散布する。
- 収穫残渣はほ場外に持ち出し処分する。
エンドウ萎凋病
- 病 原
- 糸状菌(不完全菌類に属するかびで、エンドウのみを侵す。)
- 多発時期
- 2〜3月(施設栽培)
- 病 徴
- 下葉から黄化、萎凋し、次第に全身が萎凋、枯死する。黄化、萎凋は半身に現れることもある。根や茎の導管は褐変する。症状の似た病害に根腐病があるが、萎凋病では根腐病のように地際部の茎の皮層が激しく腐敗したり、側根がほとんど腐敗してしまうようなことはない。
- 伝 染
- 厚膜胞子の形で土壌中に残り、根から侵入感染する。種子伝染も行われる。
- 防 除
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- エンドウの連作を避ける。
- 健全な種子を用いる。
- 発病地で使用した農機具等はよく洗浄、消毒する。
- 発病地は還元土壌消毒や登録のある土壌くん蒸剤により土壌消毒を行う。