4月の防除ポイント概要

(4/15更新)    

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イネ コムギ ウンシュウミカン ナシ
モモ ブドウ 果樹共通 タマネギ
野菜共通 トマト(施設) ナス(施設) キュウリ(施設)
イチゴ(施設)
                       
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イネ
いもち病(苗いもち)
スクミリンゴガイ 並(早い)
コムギ
赤さび病
うどんこ病 やや多い
赤かび病 やや多い
ウンシュウミカン
そうか病 やや多い
ナシ
赤星病 やや多い
黒星病 やや多い
モモ
せん孔細菌病
ナシヒメシンクイ 並(やや早い)
モモハモグリガ
ブドウ
黒とう病 やや多い
果樹共通
カメムシ類 やや多い
タマネギ べと病 やや多い
トマト(施設) 灰色かび病 多い
コナジラミ類 多い
ナス(施設)
うどんこ病 やや多い
灰色かび病 やや多い
すすかび病
ハダニ類
ミナミキイロアザミウマ
キュウリ(施設) べと病
うどんこ病
灰色かび病
ミナミキイロアザミウマ
イチゴ(施設) 灰色かび病 やや多い
うどんこ病
ハダニ類

水稲


  • いもち病
     苗いもちの発生は平年並の予想です。しかし、前作ではコシヒカリなどで葉いもちや穂いもちが発生したほ場があり、病原菌が罹病種もみや被害わら、イネ科雑草で越年して感染源となり今作も発生する可能性があります。本県の奨励品種の多くは穂いもちに対する抵抗性がありますが、「あきたこまち」や「コシヒカリ」「恵糯」「若水」など、いもち病にやや弱い又は弱い品種もありますので、これらの品種では対策を怠らないようにしてください。なお、「ミネアサヒ」は穂いもちと葉いもちの両方にごく強い抵抗性がある系統(ミネアサヒSBL)に置き換えられています。
    【対策】
     購入種もみなど健全な種もみを利用するとともに、塩水選や種もみ消毒の実施、厚播きにしないことなど基本的な予防対策を行います。この時期に浸漬による種もみ消毒を行う場合、夜温が大きく下がる日もありますので、水温が低くなり薬剤の効果が低下しないよう消毒時期や実施場所に注意します。特に微生物農薬のエコホープDJ【BM02】は、水温が10℃以下での使用は避けてください。いもち病が発生しやすい地域や品種では、いもち病にも適用がある薬剤による育苗箱処理を行いましょう。

  • スクミリンゴガイ
     3月こそ平年より低い気温でしたが厳冬期は比較的気温が高く、気象1か月予報では今後は平年より高い気温になるとされています。貝が活動を始めるのは水温15℃以上ですが、4月中下旬の気温は平年より高いと予想されているため、本貝が毎年発生する地域では例年より早い時期からの活動を始める可能性があり、早期栽培の「コシヒカリ」など昨年は被害がなかった場合でも、入水後すぐに貝が活動し始めて移植直後から食害が発生する危険があります。また、直播栽培でも出芽が平年より早くなると予想されており、出芽時までに貝が活動していないか注意してください。
    【対策】
     貝は苗が柔らかい時期に加害するので、苗の5葉期頃(移植栽培では移植後概ね3週間)までの対策が重要です。移植栽培では移植当日など被害発生前にスクミノンジャンボたにしくんスクミンベイト3などの薬剤を湛水状態で散布します。水田では環境保全を含め農薬散布後7日間は落水やかけ流しをしないでください。田植同時散布機の利用は適期散布とともに省力にもなり効果的です。水深の深い場所や取水口周辺など、多発しやすい地点を重点的にスポット散布する方法もあります。また、移植後に水深4cm以下の浅水管理を行うと貝が苗を摂食できなくなります。取水口に9mm目のネットを張り水路からの貝の侵入を防ぐことも有効です。発生が多い地域ではこれらの対策を組み合わせましょう。なお、「あいちのかおり」などの普通期栽培では貝は入水後すぐに活動を始めますので、代かき前に石灰窒素を散布すると高い殺貝効果があることが実証されています。ただし、石灰窒素は窒素分を含むため基肥の減肥が必要なことや、薬害防止のため石灰窒素散布後は7日以上経ってから移植する必要がありますので注意してください。対策の詳細は農林水産省の被害防止対策資料をご覧ください。

小麦


  • 赤かび病
     本病は穂に桃色のカビを生じる直接的な被害とともに、本病原菌が産生したかび毒が一定基準値以上になると食用として販売ができなくなることからムギの重要病害です。前作や前々作では発生が多いほ場があり、越冬病原菌量が多いと推測されます。本病の病原菌は小麦や稲わら、イネ科雑草等の植物残さで越冬して春になると胞子が飛散します。また、病原菌の胞子の飛散は降雨で促進されるため、出穂期以降に曇雨天など湿度の高い気象条件が続くと多発しやすくなります。4月は平年より高い気温と定期的な降雨が予想されているため、適期防除を必ず実施してください。
    【対策】
     薬剤による防除適期は開花始期から開花期(1穂につき数花開花をしているものが全穂数の40〜50%に達した日)までの間です。概ね出穂期の7〜10日後である開花状況を確認し、うどんこ病も兼ねた防除に努めましょう。なお、今作は播種時期により出穂時期がかなり違うと思われ、開花期を逃さず防除します。降雨等により開花期防除を逃した場合でも、雨間に至急散布してください。開花期頃から曇天や小雨が続くような本病が多発しやすい気象条件になれば、開花期防除から7〜10日後に再度防除します。その後に穂に桃色のカビが見られるなど本病の発生があれば、病原菌によるかび毒の産生を防止するために再度防除します。薬剤はDMI系【3】のワークアップフロアブルシルバキュアフロアブルの防除効果は高く、かび毒の産生防止にも効果的ですが、同一系統薬剤の連用による耐性菌発生を防ぐため、複数回の防除を行う場合はMBC系のトップジンMゾル又は水和剤【1】やSDHI系のミラビスフロアブル【7】等の他系統の薬剤の組み合わせを検討してください。

  • うどんこ病
     本県では、発生が多くなると予想する注意報が3月に発表されています。繁茂した一部のほ場では4月初旬には下葉に発生が見られ、今後は気温が高く定期的な降雨が予想されているため上位葉に進展する可能性があります。葉色の濃いほ場で発生しやすく、上位葉まで進展すると葉が枯れて収量や品質の低下につながります。主力品種である「きぬあかり」は、本病にやや弱いため特に注意が必要です。
    【対策】
     開花期は赤かび病の防除適期ですが、この時期に本病にも適用があり同時防除できる薬剤を散布して予防します。赤かび病で記載したように開花期防除を逃した場合でも、雨間に至急散布してください。ワークアップフロアブルシルバキュアフロアブル【3】の効果は高く赤かび病との同時防除も可能ですが、多発した場合はDMI系【3】の連用を避けるために別系統のトップジンM水和剤【1】やうどんこ病専用剤のプロパティフロアブル【50】等の使用も検討してください。なお、QoI系【11】のアミスター20フロアブルストロビーフロアブルは薬剤感受性が低下した事例があります。

ウンシュウミカン


  • そうか病
     葉や枝の病斑部で越年した病原菌の胞子が雨により飛散し、若い葉や果実に付着して発病します。県の情報では3月上旬の越年発病葉率は過去10年で3番目に多かったため、今年は昨年同様に発生量がやや多いと予想されます。発芽期から4月中旬頃まで雨が多いと多発しやすく、感染から発病まで葉は5日程度、果実は10日程度かかるため、発病前の発芽期から落弁期における感染予防対策が重要になります。
    【対策】
     越年発病葉が見られる園地では発病葉を枝ごと除去します。薬剤防除は最初の防除適期である発芽期が過ぎていれば、次は幼果への感染予防のため落弁期の防除が重要になります。多発する園では開花期頃の防除を追加してください。薬剤はフルーツセイバー【7】やファンタジスタ顆粒水和剤【11】、ナティーボフロアブル【3+11】などがあります。なお、ベンレート水和剤トップジンM水和剤【1】は感受性が低下した事例があります。

ナシ


  • 黒星病
     開花初期頃から、降雨のたびに芽基部の病斑上にできた胞子が周囲に飛散して幼果に感染します。また、罹病した落葉が園地に残っていると、そこから胞子が飛散して感染につながります。果実への感染時期は開花期頃から6月上旬頃までですが、被害を受けやすい「幸水」では満開75〜90日後頃も感染しやすくなります。
    【対策】
     開花期から満開20日後頃までが一次感染防止のために重要な防除時期であり、定期的な予防散布を行いましょう。薬剤は赤星病との同時防除として予防主体の保護殺菌剤であるトレノックスフロアブル【M03】や、治療を兼ねたスコア顆粒水和剤【3】、カナメフロアブルネクスターフロアブルパレード15フロアブルフルーツセイバー【7】などがあります。耐性菌の発生を防ぐため、耐性菌が発生しにくい保護殺菌剤を除き同一系統の薬剤の連用は避けましょう。
  • 赤星病
     昨年は多発した園地があり4月の降雨はやや多いと予想されていることから、今年の発生もやや多いと予想されます。伝染源となるカイヅカイブキなどビャクシン類の枝葉上にある本病原菌の冬胞子層からは、すでに胞子が風雨で飛散しています。
    【対策】
     5月上旬頃までは黒星病の防除を兼ねて定期的な薬剤散布を行いましょう。特に前作で発生が見られた園地では、この時期の予防散布は必ず行いましょう。

モモ


  • せん孔細菌病
     病原細菌は新梢の皮部組織内で越冬し、4月頃から表皮が紫黒色になって広がる春型枝病斑を形成し、病斑で増殖した細菌が風雨により周囲に飛散し感染します。前年の発生量はやや少なかったのですが4月は降雨がやや多い予想ですので、前作で被害があった園地を中心に発生には注意が必要です。
    【対策】
     本病の病原は細菌のため効果のある薬剤はごく少なく、発生が見られる園地ではこの時期は耕種的防除をまず実施し、その上で薬剤の予防散布を組み合わせることが重要です。春型枝病斑や感染が疑われる発芽不良や葉の短い枝は見つけ次第切り取り、園外に持ち出して伝染源を減らしましょう。特に上方にある枝の病斑から感染が拡大しやすいので、発見に努めましょう。風の強い場所や毎年被害がある園地では防風ネットを展張して傷の発生を防ぎ、本病が感染しにくい環境を作りましょう。薬剤による防除は、開花期以降から10〜14日間隔で散布して枝病斑からの伝染を予防します。特に、前線の通過など風を伴った降雨により病原細菌が分散し感染が進むので、降雨前のタイミングで保護殺菌剤であるペンコゼブ水和剤トレノックスフロアブル【M03】などで予防散布に努めましょう。なお、適用のある薬剤の中には収穫前日数が長い場合があるので注意してください。
  • ナシヒメシンクイ
     3月下旬から4月頃に羽化した越冬世代成虫はモモやウメの新梢などに産卵し、幼虫が新梢先端に移動して食入し芯折れを起こします。県の情報では、今年は越冬世代成虫のフェロモントラップへの誘殺数が平年よりやや早い地域があります。
    【対策】
     被害部位は食害されていない部分を含め切除しましょう。薬剤による防除適期は卵から幼虫が孵化し食入するまでの時期で、成虫誘殺ピークの2〜3週間後が防除適期です。今年は防除適期が平年よりやや早い可能性がありますので、県の発生予察情報や地域にフェロモントラップがあればその誘殺状況に留意してください。主な薬剤として、オリオン水和剤40【1A】やモスピラン顆粒水和剤ダントツ水溶剤【いずれも4A】、テッパン液剤【28】などがあります。

ブドウ


  • 黒とう病
     昨年は6月に注意報が発表され一部の園地で発生が多かったことから、結果母枝や巻きひげなどで越冬した病原菌量は多いと推測されます。この菌は降雨が続くと胞子を形成し、雨水とともに飛散して伸長中の新梢に感染します。その後は、梅雨期をピークに二次感染を繰り返して葉や果実に感染します。欧州系の品種は本病に弱い傾向がありますが、特にシャインマスカットは弱いので注意してください。
    【対策】
     発生園では、伝染源となる前作の巻きひげや収穫房の軸の切り残し等を取り除き、発病部位があれば除去します。薬剤防除は他の病害よりも早く、一次伝染が起きる頂芽2〜3葉展葉期の予防散布が最も重要ですが、その後は二次伝染も加わり新梢伸長中は感染が続きますので、袋かけまでは晩腐病等との同時防除も考慮した定期的な薬剤散布が必要です。特に、本病は雨水で感染するので降雨前の予防散布が効果的です。薬剤は予防主体の保護殺菌剤であるキノンドーフロアブル【M01】、ペンコゼブ水和剤【M03】などの他に、オンリーワンフロアブルマネージDF【3】、パレード15フロアブル【7】などがありますが、耐性菌の発生を防止するため保護殺菌剤を除き同一系統の薬剤は連用しないでください。スピードスプレーヤーでは薬剤が届かない場所もありますので、手散布で新梢や徒長枝などの感染しやすい軟らかい枝葉に十分かかるよう補完することも大切です。

果樹共通


  • 果樹カメムシ類
     本虫は1年ごとに発生の増減を繰り返しており、今年の春から初夏は多い年に当たります。また、県の情報では、主要種であるチャバネアオカメムシの越冬成虫密度は平年よりやや高い状況です。1か月予報では平年より高い気温が続く予想のため、山沿いなど例年被害があるモモ、ウメ、ナシなどを中心に、園内への早期飛来に注意してください。
    【対策】
     予防剤はありませんので、夜温が20℃を超えるようになれば園地を見回り、飛来を確認したらスタークル顆粒水溶剤ダントツ水溶剤【4A】、テッパン液剤【28】などを速やかに散布します。なお、品目ごとに適用がある薬剤は違いますので、必ず農薬のラベルで確認してください。

タマネギ


  • べと病
     本病はまず昨年に感染した越年罹病株が発病し、草丈が低くなり葉が黄化して外に湾曲します。降雨の後には全身にカビが生じる場合もあります。この発病株で形成された胞子が二次伝染源となり、周辺の健全株に感染して多発を招きます。今年は2月と3月末に感染に好適な気象条件が続いたこともあり、産地の一部ではすでに発生が見られ、今後の降雨はやや多いとする予想から感染が拡大する可能性があります。
    【対策】
     降雨が続くと予想されれば、その前にペンコゼブ水和剤【M03】、フロンサイドSC【29】等の予防剤を散布して感染を防ぎましょう。発生があれば直ちに発病株を抜き取って処分するとともに、オロンディスウルトラSC【40+49】やシグナムWDG【7+11】、ピシロックフロアブル【U17】、リドミルゴールドMZ【4+M03】、など治療効果もある薬剤を散布して感染の拡大を防ぎます。なお、薬剤を散布する前に収穫前日数を必ず確認してください。

施設野菜


  • 灰色かび病
     トマト、ナス、キュウリ、イチゴなど多くの施設野菜における重要な病害で、気温20℃前後かつ多湿条件下で発生しやすくなります。空気伝染性であり、病斑から飛散した胞子は害虫の食害などによる傷や古い花弁が付着した部分、枯死した部分から植物体内へ侵入して感染が急激に拡大します。今作では12月以降2月頃まで気温が平年よりやや高く、年末から各品目で本病が増加しており、県からは1月30日に予防対策を促す注意報が発表されています。今後は一日の気温格差が大きくなり、暖房機の停止や結露などで本病の多発に好適な湿潤条件が起きやすく、しばらくは注意が必要です。
    【対策】
     施設内の湿度を生育に影響しない程度に低く保つとともに、特にこの時期は朝夕の急激な温度変化を防ぐよう換気、送風などの環境制御に留意してください。下葉の摘葉、発病果や発病葉の除去、古い花弁の摘み取りも効果的です。
     本病は急激にまん延しやすいため、発病初期の予防散布に重点を置きましょう。適用のある薬剤は各作物ともに多いのですが、本病原菌は薬剤の感受性低下が起きやすいため異なる系統の薬剤によるローテーション防除を行い、同一系統薬剤の連用や多用を避けましょう。QoI系【11】やSDHI系【7】の薬剤は治療効果が高いのですが県内の各作物で薬剤感受性の低下が確認されていますので、使用する場合は栽培期間中に必要最小限の回数とし連用は避けてください。県の情報では薬剤感受性の低下は地域より作物の違いで異なる傾向があるため、部会内や産地で薬剤の効果について情報交換を行うと良いでしょう。感受性が低下しにくく使用回数の制限がない炭酸水素カリウム剤(カリグリーン【NC】)や微生物農薬(エコショットボトキラー【BM02】)を、発病初期から定期的に散布する方法もあります。
  • うどんこ病
     県の調査では3月下旬の発生量はナスでやや多くキュウリで平年並ですが、いずれも平年より早くから発生が増加した施設もあります。適温は25℃前後であり他の病害に比べ比較的高温かつやや乾燥した環境条件で発病しやすいので、今後の気温は高い予想から感染の増加に注意が必要です。
    【対策】
     まん延してからでは防除が困難になりますので、発生があれば速やかに防除しましょう。ナス、キュウリに適用がある薬剤はトリフミン水和剤【3】、パレード20フロアブルケンジャフロアブル【7】、フルピカフロアブル【9】、プロパティフロアブル【50】、パンチョTF顆粒水和剤【U06+3】など多くありますが、本病も薬剤感受性の低下を起こしやすいため、系統ごとにローテーション防除を行いましょう。発生初期であれば、カリグリーン【NC】、ジーファイン水和剤【NC+M01】など使用回数制限がなく感受性の低下が起きにくい薬剤を、概ね1週間間隔で葉裏までムラのないように散布する方法があります。
  • ミナミキイロアザミウマ
     発生量は平年並の施設が多いのですが、2月の気温が高かったために多発した施設もあります。現在の発生量が少なくても、今後の高温の予想から急増する可能性があります。キュウリでは黄化えそ病の病原ウイルス(MYSV)を媒介しますので、発生量が少なくても注意は必要です。
    【対策】
     防虫ネット(網目0.4mm程度が望ましい)が破損していないか点検しましょう。赤色系ネットは、従来のネットより本虫の侵入防止効果が高いとされています。また、青色粘着板などで発生量の早期把握に心がけ、発生があれば早めに防除しましょう。ナス及びキュウリに適用のある薬剤はアファーム乳剤アグリメック【6】、コテツフロアブル【13*】、モベントフロアブル【23】、グレーシア乳剤【30】、プレオフロアブル【UN*】など多くありますが、薬剤に対する感受性が低下しやすいので同一系統の薬剤を連用しないよう注意してください。なお、コナジラミ類にも適用のある薬剤が多いので、両種の発生があり防除を行う場合には各薬剤の使用回数の上限に注意するとともに、同時防除も考慮して薬剤を選択し使用回数を必要最小限にしましょう。薬剤が効きにくい施設では、天敵農薬であるスワルスキーカブリダニ剤(スワルバンカーロングなど)をコナジラミ類防除と兼ねて定植後から導入する方法もありますので、次作ではご検討ください。

施設トマト


  • 葉かび病、すすかび病
     いずれも下葉の葉裏からカビを生じる病徴が特徴ですが、すすかび病のほうが葉の表面にもかびが多く生じること、裏面のかびが盛り上がらないことから大まかに判別できます。また、葉かび病抵抗性品種に葉かび病に似た症状が発生したら、すすかび病が疑われます。すすかび病は葉かび病よりやや高温を好むという特徴もあります。
    【対策】
     いずれも灰色かび病対策と基本的には同様ですので、急激な温度の変化をなくし結露させないような温度管理に心がけるとともに、施設内の送風や換気を図るなど湿度を低下させるよう環境制御を行いましょう。下葉の摘葉やマルチも過湿防止に有効です。灰色かび病も含め適用がある主な薬剤は、ベルクートフロアブル【M07】、パレード20フロアブル【7】、ファンタジスタ顆粒水和剤【11】、ニマイバー水和剤【1+10】など多くありますが、感受性低下を防ぐため同一系統に偏らないローテーション防除に努めましょう。
  • コナジラミ類
     昨年と同様に気温の上昇に伴い増加傾向にあり、すでに多発した施設も見られ、本虫が病原ウイルスを媒介する黄化葉巻病や黄化病が発生した施設もあります。今後の気温は高いとする予想からコナジラミ類の増殖が早まる可能性があり、黄色粘着板を使うなど発生状況を把握し、増加傾向が見られたら早急に防除しましょう。また、タバココナジラミは低温に弱いため冬期は施設内のみで発生していますが、気温の上昇とともに施設外へ飛散して病原ウイルスを屋外の植物に感染させます。地域内の伝染源を断ち切るためにも、施設内で本虫の防除を徹底するとともに、網目0.4mm以内の防虫ネットにより施設外と遮断することも重要です。なお、黄化葉巻病耐病性品種が導入されている場合、ウイルスに感染しても病徴は出にくいのですが感染源にはなりますので、産地内のウイルス伝染環を断つために防除は同様に実施しましょう。
    【対策】
     優先種のタバココナジラミバイオタイプQの薬剤感受性をさらに低下させないために、収穫前日数に注意しながら薬剤のローテーション防除を実施します。比較的効果が高いのは、ベストガード水溶剤スタークル顆粒水溶剤【4A】、トランスフォームフロアブル【4C】、ディアナSC【5】、アグリメック(ミニトマトには適用なし)・アニキ乳剤【6】、コルト顆粒水和剤【9B】、ベネビアOD【28】などですが、これら薬剤でも特に成虫の感受性が低下した事例があり、防除効果が低い場合は別系統の薬剤に切り替えてください。サフオイル乳剤エコピタ液剤【未】などの気門封鎖剤は感受性が低下しにくく、虫体に直接かかるように散布すれば効果的です。なお、トマトとミニトマトで適用薬剤や使用方法が違う場合がありますので、必ず薬剤のラベルの表示事項を確認してください。収穫終了後は施設密閉による蒸し込みにより、保毒虫を施設内から飛散させず全滅させましょう。

キュウリ


  • べと病
     本病は葉に葉脈に区切られた角型の病斑ができ、葉裏には薄いビロード上のカビが見られます。発生量は平年並と予想されていますが、本病が発生しやすい環境は気温20〜24℃かつ多湿条件であり、樹勢が低下すると多発しやすくなります。このため、施設ではこれから多発しやすく注意が必要です。
    【対策】
     暖房機の送風運転、天窓の開閉等により結露させない環境管理に努めましょう。また、適度な追肥や摘果で樹勢を維持しましょう。防除薬剤はペンコゼブ水和剤【M03】、ダコニール1000【M05】など予防主体の保護殺菌剤や、アリエッティC水和剤【P07+M04】、ランマンフロアブル【21】、フェスティバルCフロアブル【40+M01】、プロポーズ顆粒水和剤【40+M05】、ベジセイバー【7+M05】等の予防と治療を兼ねた薬剤などがありますが多発すると病勢が止まりにくいため、まずは予防に重点を置いた定期的なローテーション防除が大切です。病勢が進展するなら、発病葉は除去して施設外で処分し4〜5日間隔の連続散布で防除しましょう。

イチゴ


  • ハダニ類
     発生がない施設がある一方で、昨年秋から発生が続いている施設も各産地で見られます。今後は平年より高い気温が予想されていますので、急激な増加に注意が必要です。
    【対策】
     下葉かきを徹底するとともに、葉のかすり状の被害などスポット的に発生する初期段階を管理時に早期発見し、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニコングフロアブル【25B】、ダニオーテフロアブル【33】などで防除します。薬剤感受性が低下しやすいため、同一系統の薬剤は1作で1回までの使用としましょう。ピタイチサフオイル乳剤エコピタ液剤【未】などの気門封鎖型農薬は薬剤感受性が低下しにくいので、概ね5〜7日間隔で虫体に直接かかるよう葉裏にも十分に散布すると良いでしょう。ただし、気門封鎖剤は高温時など環境条件により薬害が発生する場合がありますので、ラベルの注意事項を確認するとともに必要に応じて数株で試行してください。
     昨年秋から発生が続く施設では、次作に向けて定植前後の防除時期や薬剤等の見直しとともに、炭酸ガスくん蒸によるハダニ防除システムを利用した苗の防除、苗の薬剤浸漬、天敵農薬であるミヤコカブリダニ剤(ミヤコバンカー等)やチリカブリダニ剤(チリガブリ等)の導入などもご検討ください。

☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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