最新の病害虫情報

新着情報

※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(5/22更新)

気になる作物をクリック!

 
イネ コムギ ウンシュウミカン ナシ
モモ ブドウ カキ果樹共通
キャベツ タマネギトマト(施設)ナス(施設)
キュウリ(施設)
                       
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イネ
苗いもち
イネミズゾウムシ やや多い
スクミリンゴガイ やや多い
コムギ
赤かび病 やや多い
うどんこ病
赤ざび病
ウンシュウミカン
そうか病 やや多い
ミカンハダニ
ナシ
黒星病
アブラムシ類 やや多い
モモ
黒星病
せん孔細菌病 やや少ない
ナシヒメシンクイ 多い
モモハモグリガ
ブドウ
黒とう病
べと病
カキ
炭疽病
うどんこ病 やや少ない
果樹共通 カメムシ類 やや多い
キャベツ コナガ
タマネギ べと病
トマト(施設) 黄化葉巻病
コナジラミ類 多い
ナス(施設) うどんこ病 やや少ない
灰色かび病 やや多い
ハダニ類
アザミウマ類 多い
キュウリ(施設) べと病
灰色かび病
アザミウマ類 やや多い

イネ


  • いもち病
     愛知県の奨励品種は穂いもちに強い系統の導入が進み、ミネアサヒでは穂いもちだけでなく葉いもちにも強い系統(ミネアサヒSBL)に置き換えられています。しかし、「あきたこまち」や「コシヒカリ」「恵糯」「若水」など本病にやや弱い又は弱い品種もあります。昨年、発病が見られたほ場では病原菌が被害わらなどで越年して今作の感染源となり、今年も発生する可能性があります。
    【対策】
     育苗期間中に苗いもちが発生した場合は発生した箱を除去し、周辺の箱をビームゾル【16.1】(緑化始期、灌注)などで防除します。また、本田で本病が発生しやすい地域や品種では、いもち病にも適用がある育苗箱処理剤を使用して葉いもちの発生を予防してください。本田内の捕植用の置き苗は本病が発生しやすく移植苗への伝染源になりますので、補植後は速やかに処分しましょう。
  • イネミズゾウムシ
     近年、成虫による葉の白線状の食害が目立つ地域があり、発生量はやや多い予想です。本虫の重要な被害は成虫の食害よりも、次世代の幼虫が土中で稲の根を食害して稲の生育が遅れたり枯死する場合です。
    【対策】
     昨年、成虫が多発して食害が目立った地域では、本虫にも適用がある育苗箱処理剤を使用しましょう。本田で成虫が多発した場合にはトレボン粒剤【3A】などを散布し、その後の幼虫による被害を防ぎましょう。
  • スクミリンゴガイ
     貝が活動を始めるのは水温が15℃以上であり、5月中旬以降になれば貝は入水後から活動を始めます。稲の葉が柔らかい5葉期頃まで(稚苗移植では移植後3週間頃まで)は、貝の食害に注意が必要です。
    【対策】
     被害が発生する前の移植期頃に、スクミノンやジャンボたにしくん、スクミンベイト3などの薬剤を湛水状態に保った水田に散布します。田植同時散布機の利用は適期処理とともに省力にもなり効果的です。水深の深い場所や取水口周辺など、貝が多発しやすい地点に重点的に散布する方法もあります。他の薬剤と同様に、散布後7日間は落水やかけ流しをしないでください。
     薬剤以外の防除手法として、水深4cm以下の浅水管理を行うと貝が苗を摂食できなくなります。取水口に9mm目のネットを張り水路からの貝の侵入を防ぐことも有効です。なお、この時期は入水して3〜4日後には貝が活動を始めるため、多発する水田では入水後に農薬の適用がある石灰窒素20〜30kg/10aを散布し、3〜4日湛水した後に代かきを行うと高い殺貝効果があることが実証されています。ただし、石灰窒素は窒素分を含むため基肥を減らしたり、薬害防止のため散布後7日以上経過してから移植する必要があることに注意してください。これらの対策を組み合わせて被害を防止しましょう。総合的な対策の詳細は農林水産省の被害防止対策資料をご覧ください。
    スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について(農林水産省HP)

コムギ


  • 赤かび病
     本病は穂に桃色のカビを生じて減収や品質低下を起こす直接的な被害だけでなく、本病原菌が産生するDON(デオキシニバレノール)などのかび毒が問題となります。農産物検査規格では赤かび病被害粒の混入が0.0%を超える(2000粒に被害粒1粒以上)と規格外とされ、また厚生労働省の基準値(DON:1.0ppm)を超えると食用として販売できなくなります。
     本病の胞子の飛散は降雨で促進されるため、出穂期以降に曇雨天など湿度の高い気象条件が続くと多発する可能性があります。昨年は本病の発生がやや多かったため越冬病原菌量は多いと予想され、さらに本病が感染しやすい開花期頃に感染に好適な気温と降雨があった時期があり、県では4月25日に注意報を発表し防除を呼びかけています。
    【対策】
     すでに防除は実施されていると思いますが、発病穂が多数見られるなら追加防除を行い、本病の感染拡大と病原菌によるかび毒の産生を防止します。薬剤はDMI系【3】のワークアップフロアブルやシルバキュアフロアブルの防除効果が高く、かび毒の産生防止にもなります。DMI系を連用している場合はトップジンM水和剤【1】ミラビスフロアブル【7】も適用があります。散布薬剤は、使用回数の上限及び収穫前日数に注意して選択してください。
  • うどんこ病
     繁茂した一部のほ場で下葉が発病した事例があります。この白いうどんこ状のカビが上位に進展すると上位葉が枯死し、千粒重の低下等による品質や収量の低下につながります。現在の主力品種の一つである「きぬあかり」は、過去に広く栽培されていた「農林61号」と比較して本病にやや弱く注意が必要です。
    【対策】
     発生が止まらず上位葉に進展する場合は、遅くとも上から2枚目の葉の発病初期までに薬剤を散布します。赤かび病で記載したDMI系【3】の薬剤やトップジンM水和剤【1】ミラビスフロアブル【7】は同時防除が可能です。


ウンシュウミカン


  • そうか病
     病原菌は葉や枝の病斑で越冬します。県の調査では今作の越年発病葉率がやや高く、昨年同様に発生量はやや多いと予想されます。越冬した病原菌の胞子は雨により飛散し、若い葉や幼果に付着して発病します。
    【対策】
     感染から発病まで果実では10日程度かかるため、発病前の落弁期における幼果への感染予防対策が効果的であり、黒点病の防除時期にも重なります。5月中旬以降は落弁期を過ぎた園地が多いと思われますので、まだ防除していない場合は至急散布し、その後も梅雨期までは定期的にフルーツセイバー【7】ファンタジスタ顆粒水和剤【11】ナティーボフロアブル【3+11】などを黒点病防除と兼ねて散布します。なお、発病葉があれば枝ごと除去します。
  • ミカンハダニ
     発生量は平年並の予想ですが、気象予報では今後の気温はやや高く推移する予想から、発生が平年よりやや早くなる可能性があります。
    【対策】
     例年発生しやすい場所の発生状況を観察し、早期発見により多発する前に初期防除を行います。適用薬剤はコロマイト水和剤【6】やカネマイトフロアブル【20B】、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニゲッターフロアブル【23】など多いのですが薬剤感受性が低下しやすいため、各薬剤の使用回数は年1回に止め、系統の異なる薬剤をローテーション散布します。感受性低下の可能性が低いアタックオイルなどのマシン油を成分とする薬剤の利用が効果的ですが、薬害防止のため高温時や樹勢が弱い場合の使用は避けるとともに、殺菌剤のデランフロアブル【M09】とは30日以上間隔を空けて散布してください。なお、アザミウマ類や昨年多発したカメムシ類等の害虫防除に有機リン系【1B】やピレスロイド系【3A】の薬剤の使用は土着天敵が減少し本種が増加しやすいので、これらの系統を連用した場合は発生状況に特に注意しましょう。

ナシ


  • 黒星病
     降雨のたびに病斑上や昨年罹病した落葉にできた胞子が周囲に飛散し、健全な果実や葉に感染します。果実への感染時期は一般的に開花期頃から6月上旬頃までですが、被害を受けやすい「幸水」では満開75〜90日後頃も感染しやすくなります。なお、今年は生育がやや遅れている園地もあり、例年よりやや遅く初発が確認される可能性もあるので注意してください。
    【対策】
     発病葉や発病果を見つけたら除去します。薬剤はアンビルフロアブル【3】やカナメフロアブル【7】、ファンタジスタ顆粒水和剤【11】、ミギワ20フロアブル【52】などがあります。本病は耐性菌が発生しやすいので、系統ごとのローテーション散布を行いましょう。また、耐性菌が発生しにくい予防主体の保護殺菌剤であるトレノックスフロアブル【M03】やベルクートフロアブル【M07】も利用しましょう。
  • アブラムシ類
     4月下旬には発生したほ場が見られました。今後はやや高温になるとの気象予報から、発生量がやや多くなる可能性があります。
    【対策】
     薬剤散布では他の害虫との同時防除も考慮し、シンクイムシ類やカイガラムシ類との同時防除ができるオリオン水和剤40【1A】やモスピラン顆粒水溶剤【4A】、カイガラムシ類との同時防除ができるトランスフォームフロアブル【4C】やコルト顆粒水和剤【9B】などを選択するなど、殺虫剤の散布回数が過剰にならないよう配慮してください。


モモ


  • せん孔細菌病
     本病の病原は細菌であり、風を伴った降雨があると枝の病斑から飛散し、気孔や傷口から感染が進みます。今年の発生量は昨年同様にやや少ない予想ですが、4月下旬には発病枝が確認された園地もあり定期的な降雨も予想されていますので、例年発生する園地を中心に発病の早期発見に努めてください。
    【対策】
     摘果作業時などで見つけた発病枝や発病葉は除去し、園外に持ち出して伝染源を減らしましょう。特に上方にある枝の病斑から感染が拡大しやすいので、発見と除去に努めましょう。発生園では果実への伝染防止のため早めに袋かけを行いましょう。細菌病のため治療効果のある薬剤は少ないため防除は枝病斑からの伝染予防に重点を置き、トレノックスフロアブル【M03】やデランフロアブル【M09】などを10〜14日間隔で散布します。降雨前のタイミングで散布すると効果的です。発生が多い園地では、治療効果があるスターナ水和剤【31】やバリダシン液剤5【U18】などを散布します。なお、適用のある薬剤には収穫前日数が長い薬剤も多いため、ラベルの使用方法を必ず確認してください。
  • ナシヒメシンクイ
     越冬世代の成虫がモモやウメの新梢などに産卵し、その幼虫が新梢先端に移動して食入し芯折れを起こします。県の情報によれば、フェロモントラップへの成虫の誘殺数は4月上中旬頃に平年より多い地域があり、芯折れの多発に注意しましょう。また、その後はナシにも飛来し果実を加害しますので、ナシ園でも今後の多発に注意しましょう。
    【対策】
     芯折れした枝は、食害されていない部分を含め切除しましょう。今後は世代が進むにつれ成虫が途切れなく発生しますので、芯折れの発生が多かったり毎年被害がある園地では、定期的な薬剤散布を行い果実への食入を防止しましょう。モモの主な適用薬剤として、オリオン水和剤40【1A】やモスピラン顆粒水溶剤・ダントツ水溶剤【4A】、テッパン液剤【28】などがあります。

ブドウ


  • 黒とう病
     発生量は平年並の予想ですが、2〜3年前には5月に被害が急増した園地があり、本病に弱いとされるシャインマスカットなど欧州系品種や昨年発生した園地では、新梢や新葉での発病に留意してください。本病原菌は降雨が続くと胞子を形成し、雨水とともに飛散して伸長中の新梢に感染します。その後は梅雨期をピークに二次感染を繰り返して葉や果実に感染します。若い組織が侵されやすく、最初は黒褐色の斑点を生じ、やがて拡大して中が灰白色で周辺が鮮紅色〜紫黒色の陥没病斑となります。
    【対策】
     病斑を早期発見して発病部位を除去します。薬剤防除は梅雨明けや袋かけまで晩腐病やべと病の防除を兼ねた定期的な散布が必要であり、特に降雨前の予防散布が効果的です。適用薬剤は、べと病及び晩腐病との同時防除剤としてデランフロアブル(落弁期まで)【M09】やペンコゼブ水和剤【M03】、オーソサイド水和剤80【M04】、ドーシャスフロアブル【M05+2】などの保護殺菌剤があります。他に治療効果もあるオンリーワンフロアブル【3】やカナメフロアブル【7】、スクレアフロアブル【11】、ミギワ20フロアブル【52】等がありますが、これらの系統は耐性菌が発生する可能性があり、必ずローテーション散布を行ってください。散布の際には、園地周囲や新梢や徒長枝などの感染しやすい軟らかい枝葉にも十分かかるよう、手散布などで補完することも大切です。
  • べと病
     発生量は平年並の予想ですが、黒とう病と同様に雨水で胞子が移動・飛散し、特に開花期から幼果期に降雨が連続すると短期間でも感染が広がります。葉では不明瞭な淡黄色斑点が現れ、裏面に白色のかびが生じます。幼果では表面が鉛色に硬くなり生育が止まり、白色のかびが生じます。窒素過多による柔らかい葉や遅く伸びた新梢に多く発生します。
    【対策】
     降雨の合間の薬剤散布による感染予防が重要であり、黒とう病と同様に他の病害も対象とした定期的な防除が効果的です。保護殺菌剤では黒とう病の欄に記載した薬剤はべと病にも適用があります。発生した場合は被害葉や被害果を除去し二次感染を防ぐとともに、ランマンフロアブル【21】やレーバスフロアブル【40】など本病に治療効果がある薬剤を、新梢にも十分かかるよう散布します。

カキ


  • 炭疽病
     発生量は平年並の予想ですが、病原菌は主に雨水により胞子が飛散して感染が広がりますので、降雨が続くと発病しやすくなります。最初は新梢に円形から楕円形のややへこんだ病斑が形成され、新梢に発病が多いと果実の発病も多くなります。「富有」は発生が比較的多い傾向があります。
    【対策】
     発病した枝や果実があれば除去して二次感染を防ぐとともに、不要な徒長枝を切除しましょう。薬剤防除はデランフロアブル【M09】やペンコゼブ水和剤【M03】、オンリーワンフロアブル【3】、ナリアWDG【7+11】などを発生初期までに散布し、幼果への感染拡大を防ぎましょう。なお、耐性菌が確認された事例がありますので、同一系統の農薬の連用は避けましょう。
  • うどんこ病
     本病は若い葉の裏に小黒点の病斑が発生し、病斑上の胞子が風で飛散し二次感染を起こします。発病葉は早期に落葉します。
    【対策】
     発生が見られ始めると急激にまん延しやすいので、初発時を逃さずに防除を行います。この時期に発生が見られれば、オンリーワンフロアブル・スコア顆粒水和剤【3】やナリアWDG【7+11】など、炭疽病にも適用のある薬剤で同時防除する方法があります。なお、耐性菌発生を防ぐため同一系統の薬剤は連用は避けましょう。

果樹共通


  • 果樹カメムシ類
     昨年秋には全国的に多発し本県でも注意報が発表され、カキやナシ、ミカン園などに多数飛来して果実などに吸汁害を起こしました。多発したカメムシの主な種は、落葉などの下で越冬するチャバネアオカメムシと、主に常緑樹などの樹冠内で越冬するツヤアオカメムシです。県の情報では、チャバネアオカメムシの越冬成虫密度が高かった地点があり、また4月のフェロモントラップへの誘殺数が過去10年と比べ最も多い地点があり、今後の果樹園での多発には注意が必要です。今後は平年よりやや高い気温となる気象予報のため、果樹園への飛来が早くなる可能性があり、ウメ、モモ、ナシだけでなくカンキツやブドウでも園内への早期飛来に注意してください。
    【対策】
     薬剤による飛来前の予防は困難なため、園地で飛来を確認したらアクタラ顆粒水溶剤・スタークル顆粒水溶剤【4A】などを速やかに散布します。産地内で発生状況を情報交換して早期飛来がないか確認すると良いでしょう。なお、品目ごとに適用薬剤は違いますので、農薬のラベルを確認してください。
  • チャノキイロアザミウマ
     ブドウやカキなど多くの果樹に寄生し、果実を長期にわたり加害します。果樹園の防風用のイヌマキやサンゴジュは発生源になりますので、これらの発生状況にも注意しましょう。
    【対策】
     防除適期は成虫発生のピーク時です。県のWebサイト「あいち病害虫情報」で地域別の防除適期が発表されているので参考にしてください。5月2日発表の予察情報では、県内平坦地域における防除適期(第1世代成虫)は前年より5〜7日遅い5月14日(名古屋)〜21日(南知多)頃であり、次の適期(第2世代成虫)はその概ね1か月後の6月10日(名古屋、大府)〜18日(南知多)頃と予想されています。適用薬剤はブドウとカキではコルト顆粒水和剤【9B】やモベントフロアブル【23】を始め作物ごとに多くの薬剤がありますので、薬剤の感受性が低下しないよう異なる系統によるローテーション防除を行ってください。

キャベツ


  • コナガ
     発生量は平年並の予想ですが、今後の気温はやや高い気象予報から収穫期が遅い作型では注意が必要です。
    【対策】
     発生があれば収穫前日数に注意して薬剤を選択し、薬液が葉裏にも十分かかるよう散布しましょう。コナガは薬剤感受性が低下しやすく、秋に効果があった薬剤が効かなくなる場合もあり注意してください。IGR系【15】やジアミド系【28】などの一部の薬剤では効果が低下した事例があります。効果が比較的低下していない薬剤の例として、ディアナSC【5】、アニキ乳剤【6】、ゼンターリ顆粒水和剤【11A(BT剤)】、トルネードエースフロアブル【22A】、グレーシア乳剤【30】、ファインセーブフロアブル【34】などがありますが、これら薬剤も一部地域では感受性が低下した事例があります。効果が低ければ別系統の薬剤を用いてください。また、昨年に多発したヨトウ類防除のため殺虫剤を多用したほ場では、各薬剤の使用回数制限に十分注意してください。

タマネギ


  • べと病
     前年に感染した越年罹病株が2〜3月頃から発病し、この発病株に形成される胞子が二次伝染源となり周辺の健全株が感染して多発を招きます。発病株は草丈が低く葉が黄化して外に湾曲し、降雨の後には全身にカビが生じる場合もあります。  今年は3月に平年よりやや多く発生が見られたほ場があり、降雨により感染が拡大している可能性があります。
    【対策】
     収穫が遅い品種では発生があれば直ちに発病株を抜き取って処分し、オロンディスウルトラSC【40+49】やピシロックフロアブル【U17】など治療効果もある薬剤で感染の拡大を防ぎます。収穫期が近いので、ラベルの収穫前日数を必ず確認してください。多発ほ場では病原菌がほ場に残存しないよう収穫後の残渣をほ場の外へ持ち出して処分するとともに、次作では排水対策や発病が見られる前からの定期的な予防防除に努めましょう。

施設野菜


  • アザミウマ類
     主要な種はミナミキイロアザミウマです。コナジラミ類に比べ目立ちませんが、果実を加害してキズをつけ商品価値を下げるため少発生でも重要な害虫です。また、キュウリでは黄化えそ病の病原ウイルスを媒介します。今年は平年より発生が多く、特スでは県の調査では過去10年と比べ最も多い発生量であり、キュウリでも多発施設があります。
    【対策】
     青色粘着板などで発生量の把握に心がけ、発生があったり本虫による果実の被害が増えるようなら早めに防除しましょう。ナス及びキュウリに適用のある薬剤はアファーム乳剤・アグリメック【6】、コテツフロアブル【13*】、モベントフロアブル【23】、グレーシア乳剤【30】、プレオフロアブル【UN*】など多くありますが、薬剤感受性が低下しやすいので同一系統の薬剤を連用しないよう注意してください。なお、コナジラミ類にも適用のある薬剤が多いので、両種の発生がある場合には同時防除も考慮して薬剤を選択し、殺虫剤の使用回数を必要最小限にしましょう。薬剤が効きにくい施設では、天敵農薬であるスワルスキーカブリダニ剤(スワルバンカーロングなど)をコナジラミ類防除と兼ねて定植後から導入する方法もありますので、次作ではご検討ください。
  • 灰色かび病
     気温20℃前後かつ多湿条件下で発生しやすくなります。今作も一部の施設で発生が見られます。本病は空気伝染性であり、病斑から飛散した胞子は害虫の食害等による傷や古い花弁が付着した部分、枯死した部分から植物体内へ侵入し、感染が拡大します。この時期は昼間の気温が上昇し一日の気温格差が大きくなり、換気が不十分な場合は本病の発生に好適な多湿条件となりやすく注意が必要です。
    【対策】
     施設内の湿度を生育に影響しない程度に低く保つとともに、朝夕の急激な温度変化を防ぐよう換気、送風を含めた環境制御に留意してください。下葉の摘葉、発病果や発病葉の除去、古い花弁の摘み取りも効果的です。薬剤防除は、本病は急激にまん延するため発病初期までの予防散布に重点を置きましょう。本病に適用のある薬剤は各作物ともに多いのですが、本病原菌は薬剤の感受性低下が起きやすいため異なる系統の薬剤によるローテーション防除を行い、同一系統薬剤の連用や多用を避けましょう。QoI系【11】やSDHI系【7】の薬剤は治療効果が高いのですが県内で薬剤耐性菌の発生が確認されていますので、特に連用は避け使用回数も必要最小限にとどめてください。耐性菌が発生しにくく使用回数の制限がない炭酸水素カリウム剤(カリグリーン【NC】)や微生物農薬(エコショット・ボトキラー【BM02】)を、発病初期に散布する方法もあります。


施設トマト


  • コナジラミ類
     コナジラミ類は今作も各地域で春先から増加し、多発した施設が見られます。本県で主に発生しているのは、すす病の発生だけでなく黄化葉巻病及び黄化病の病原ウイルスを媒介するタバココナジラミのバイオタイプQであり、黄化葉巻病が多発した施設も見られます。本虫は施設内でしか越冬できませんが、この時期は換気や収穫終了により施設から屋外に飛散します。ウイルスを保毒した本虫は屋外で露地トマトにウイルスを感染させながら増殖し、感染したトマトを吸汁した保毒虫が次作の施設トマトに飛来します。
    【対策】
     本虫の多発による果実の収量や品質の低下だけでなく、施設とその周辺作物における病原ウイルスの伝染環を断ち切るためにも施設内の防除を徹底しましょう。タバココナジラミのバイオタイプQ幼虫に比較的効果が高いのは、ベストガード水溶剤【4A】、トランスフォームフロアブル【4C】、ディアナSC【5】、アグリメック(ミニトマトには適用なし)・アニキ乳剤【6】、コルト顆粒水和剤【9B】、ベネビアOD【28】などです。ただし、これら薬剤を含め多くの薬剤で感受性が低下した事例があり、防除効果が低い場合は別系統の薬剤に切り替えてください。なお、トマトとミニトマト(果径3cm以下)では適用薬剤やその使用方法が違いますので、ラベルの表示事項を遵守して使用してください。
     収穫終了後は茎を株元で切ったのち施設の密閉による蒸し込みを行い、保毒虫を施設内から飛散させず全滅させましょう。なお、黄化葉巻病耐病性品種の導入施設ではウイルスに感染しても病徴は出にくいのですが、感染した場合はコナジラミの媒介により他のトマトへの感染源になりますので、産地内のウイルス伝染環を断つために防除は同様に実施しましょう。

施設ナス


  • うどんこ病
     本病原菌の適温は25℃前後で他の病害に比べ比較的高温かつやや乾燥した環境条件ですので、この時期の発病の増加に注意が必要です。
    【対策】
     まん延してからの防除は困難ですので、発生があれば速やかに防除しましょう。適用薬剤はトリフミン水和剤【3】、ケンジャフロアブル・パレード20フロアブル【7】、フルピカフロアブル【9】、クロスアウトフロアブル【50】、パンチョTF顆粒水和剤【U06+3】など多くありますが、本病も薬剤感受性の低下を起こしやすく、系統ごとにローテーション防除を行いましょう。発生初期であれば、カリグリーン【NC】、ジーファイン水和剤【NC+M01】など使用回数制限がなく感受性低下が起きにくい薬剤を、概ね1週間間隔で葉裏までムラのないように散布する方法もあります。
  • ハダニ類
     発生がない施設が多い一方で、発生が見られる施設もあります。今後は平年よりやや高い気温が予想されていますので、発生施設では急激な増加に注意が必要です。
    【対策】
     葉のかすり状の被害など、スポット的に発生する初期段階を管理時に早期発見して防除します。ダニサラバフロアブル【25A】やダニオーテフロアブル【33】など、タバコカスミカメやカブリダニ類などの天敵導入施設でも利用できる薬剤もあります。ただし、ハダニ類は薬剤感受性が低下しやすいため、同一系統の薬剤は1作で1回までの使用としましょう。サフオイル乳剤やエコピタ液剤などの気門封鎖型農薬【未】は薬剤感受性が低下しにくいので、概ね5〜7日間隔で虫体に直接かかるよう葉裏にも十分に散布すると良いでしょう。ただし、気門封鎖剤はこの時期は高温時など環境条件により薬害が発生する場合がありますので、ラベルの注意事項を確認し必要に応じて数株で試行してください。

施設キュウリ


  • べと病
     本病は葉脈に区切られた角型の病斑ができ、葉裏には薄いビロード上のカビが見られます。発生量は平年並と予想されますが、本病が発生しやすい環境は気温20〜24℃かつ多湿条件であり、樹勢が低下すると多発しやすくなります。
    【対策】
     送風や天窓の開閉等により、過湿にならない環境管理に努めましょう。また、適度な追肥や摘果で樹勢を維持しましょう。防除薬剤はジマンダイセン水和剤【M03】、ダコニール1000【M05】など予防主体の保護殺菌剤や、アリエッティC水和剤【P07+M04】、フェスティバルC水和剤【40+M01】、プロポーズ顆粒水和剤【40+M05】、ベジセイバー【7+M05】等の予防と治療を兼ねた薬剤などがありますが、多発すると病勢が止まりにくいため予防に重点を置いた定期的なローテーション防除が大切です。病勢が進展するなら発病葉は除去して施設外で処分し、4〜5日間隔の連続散布で防除しましょう。

☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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