最新の病害虫情報

新着情報

※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(9/1更新)

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イネ ダイズウンシュウミカン ナシ
モモ カキ 果樹共通 キャベツ
イチゴ 野菜共通 キク(露地)
                       
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イネ
いもち病 やや少ない
紋枯病
白葉枯病
もみ枯細菌病
ニカメイガ やや多い
セジロウンカ やや多い
トビイロウンカ
斑点米カメムシ類 やや多い
ツマグロヨコバイ
イネツトムシ
イネアオムシ
コブノメイガ やや少ない
ダイズ
ハスモンヨトウ やや多い
シロイチモジヨトウ やや多い
オオタバコガ 多い
ウンシュウミカン
黒星病 やや少ない
ミカンハダニ
チャノキイロアザミウマ やや多い
ナシ
うどんこ病
ナシヒメシンクイ やや多い
ハダニ類 多い
モモ
モモハモグリガ
カキ
うどんこ病 やや多い
カキノヘタムシガ やや少ない
コナカイガラムシ類
果樹共通
果樹カメムシ類 やや多い
キャベツ
オオタバコガ 多い
シロイチモジヨトウ やや多い
イチゴ
炭疽病 やや多い
ハダニ類 やや多い
野菜共通 ハスモンヨトウ やや多い
キク(露地) オオタバコガ 多い
ハダニ類

イネ


  • いもち病
     葉いもちの発生量は、平年よりやや少なく推移しています。高温時は感染拡大が止まりますが、気温が低下し始め降雨が続くと上位葉にある病斑上の胞子が感染源となり枝梗や穂首などが褐変する穂いもちを発生させるため、葉いもちが発生したほ場では注意してください。
    【対策】
     上位葉に急性型病斑(褐色の壊死部がない病斑)が見られたり、穂いもちの発生を確認したならば、ブラシンフロアブル【U14+16.1】やダブルカットフロアブル【16.1+24】など治療効果のある薬剤で防除してください。
  • 紋枯病
     発生量は平年並ですが、普通期栽培では気温が低下し始める8月下旬以降に多湿条件が続くと、上位葉への垂直進展が起こりやすくなります。病斑が上位葉鞘まで進展すると、上位葉の枯死や倒伏を助長して減収につながります。発生ほ場では発病株や畦畔沿いの雑草で病原菌の菌核が形成され、翌年の第一次伝染源になります。
    【対策】
     病斑が株元から上位の葉鞘へ進展し始めたならば、穂揃い期頃までにバリダシン液剤5【U18】など速効性のある液剤を株元に届くよう散布してください。なお、多発したほ場では、次年度には紋枯病にも適用がある箱施薬剤を施用して初期感染を防止するとともに、本病に適用のある粒剤を幼穂形成期頃に散布して垂直進展を予防しましょう。
  • 白葉枯病
     今年は梅雨期間が短く平年並の発生ですが、近年では尾張地域だけでなく三河地域でも発生する地域が見られます。本病は、被害ワラや畦畔雑草で越冬した病原細菌が水を伝ってイネの葉の水孔や傷口から感染し発病します。大雨や強風で発生が助長され、特にイネが冠水するとまん延しやすくなります。コシヒカリやあいちのかおりSBLは比較的強い品種ですが、菌密度が高いと発病する可能性はあります。
    【対策】
     細菌病であり発生後の治療は難しいため、出穂3~4週間前のオリゼメート粒剤【P02】やブイゲット粒剤【P03】などによる予防散布が効果的です。常発ほ場で散布適期が過ぎている場合や浸冠水があった場合は、発病初期までに上記薬剤を早急に散布してください。
  • ニカメイガ
     かつてはイネの重要害虫でしたが、近年の発生量は減少していました。しかし、最近では再び発生が増加し、今年も7月には県内各地で第一世代幼虫による心枯れの被害が散見されました。被害が大きくなるのは第二世代幼虫による茎への食入で、穂の出すくみや不稔による白穂が発生します。この時期の幼虫は収穫されるまで隣接株に移動しながら食害しますので、放置するとトビイロウンカのように被害が拡大し、ほ場全面が加害された事例もあります。なお、白穂はバッタ類の加害や穂首いもちなどでも発生しますが、本虫による被害は茎の株元に近いところに幼虫が侵入した穴があり、茎を引くと抜けやすいので見分けられます。
    【対策】
     普通期栽培など収穫まで日数がある水田で白穂の被害が目立ち始めた場合は、早急にパダンSG水溶剤【14】やディアナSC【5】などを散布して被害の拡大を防ぎます。多発したほ場では次作の対策として、秋冬期に幼虫の越冬場所となる刈取り後の稲株のすき込みや畦畔のイネ科雑草の株元までの除去を行うとともに、育苗期には本虫に適用がある箱施薬剤を利用してください。
  • トビイロウンカ
     最近では2020年に県内各地で坪枯れを発生させ、大幅な減収をもたらした害虫です。日本では越冬できず、毎年、中国大陸から梅雨前線などの気流に乗って飛来します。今年は梅雨入り後の6月中旬頃に飛来に好適な気象条件が複数回出現しましたが、県の予察灯や本田調査では7月末時点で捕獲されていません。
     なお、トビイロウンカと同様にこの時期に大陸から飛来するセジロウンカは夏ウンカと呼ばれ、飛来が多く次世代が増殖したほ場では葉に褐変が発生する場合がありますが、出穂期を過ぎると稲から離脱するため坪枯れが生じることはありません。
    【対策】
     今後、県から注意報や防除を促す情報が発表された場合には、長期間残効がある成分(ゼクサロン、アレス、リディア)を含んだ育苗箱施薬剤を使用していない水田では、キラップフロアブル【2B】やトレボン乳剤【3A】、スタークル液剤10・スタークル豆つぶ【4A】、エクシードフロアブル【4C】、エミリアフロアブル【4F】、オーケストラフロアブル【UN* 幼虫に適用】などを株元に薬剤が届くよう散布しましょう。カメムシ類対策とは違い、粒剤でも液剤とほぼ同様の効果が期待できます。
     地域内で被害が発生したり株元で増殖を確認したならば、上記の箱施薬剤を利用したほ場でも追加防除が必要です。
  • 斑点米カメムシ類
     県では斑点米カメムシ全体の発生はやや多いとする注意報を発表し、適期防除を呼び掛けています。一昨年から県内各地で多発して収量や品質を大きく低下させたイネカメムシは、昨年まで多発した地域では発生量が減少していますが、これまで比較的発生が少なかった尾張北東部や中山間地域などでは増加傾向にあります。
     イネカメムシは、地域内で出穂が早い水田に出穂前から飛来し、出穂直後の穂を吸汁し不稔籾や未熟粒を発生させます。ここで育った次世代幼虫とその成虫は吸汁を続けて斑点米を発生させるとともに、収穫期になるとあいちのかおりなどの遅い作型の水田に移動しますので、遅い品種ではさらに多発し被害が増大しやすくなります。
     斑点米産生能力が高いミナミアオカメムシは、豆類や果実などからも吸汁する広食性であり、水稲では出穂後に飛来し成熟期近くまで吸汁します。
    【対策】
    イネカメムシの防除適期は、ミナミアオカメムシなど他の斑点米カメムシ類とは違います。まず不稔籾対策のため出穂期(穂の先端が顔を出した茎が全体の半数の時期)を逃さないように、スタークル(液剤10、顆粒水溶剤)【4A】やエクシードフロアブル【4C】、キラップフロアブル【2B】を散布します。また、散布後の概ね7〜14日後に再度散布して斑点米の発生も防ぎましょう。粒剤は液剤等に比べ効果は低いのですが、粒剤しか散布できない場合はスタークル粒剤なら出穂の3~5日前、キラップ粒剤なら出穂の7~10日前を目安に液剤より早めに散布します。薬剤散布後は、周辺環境への負荷を減らすためにも散布後1週間以上は止水してください。
     なお、キラップ剤はイネカメムシの感受性が低下した地域が確認されており、効果が低ければ他の剤に切り替えてください。また、他の薬剤も含めた感受性低下を防ぐため、同一系統薬剤の連用は避けましょう。
     耕種的な対策として出穂2週間前までを目安として畦畔など水田周辺の草刈りと本田内のヒエ類の除去を行い、カメムシ類の棲み家をなくします。ただし、イネカメムシは畦畔雑草を経由せず本田に直接飛来することが多いので注意してください。また、出穂間際の除草はカメムシ類を本田内に追い込みますので、やむを得ず除草する場合は本田防除を併せて行います。

ダイズ


  • ハスモンヨトウ
     秋にかけて気温が高く降水量が少ないと発生量が急増しやすく、多発すると作物が暴食されて大きな被害を及ぼします。今年は発生量がやや多いため、8月1日には県から注意報が発表されました。気象予報では今後も高温傾向が続く予想のため、昨年同様に多発する可能性があります。
    【対策】
     毛におおわれた卵塊や集団で食害する若齢幼虫は、発見次第除去します。
     幼虫は中齢以降になると薬剤の効果が低下しやすいため、早期発見による防除が重要です。若齢幼虫の食害による白変葉や網目の葉を早めに見つけ、幼虫の分散前にトレボン乳剤【3A】、ノーモルト乳剤【15】、トルネードエースDF【22A】、プレバソンフロアブル5【28】、プレオフロアブル【UN*】などで防除しましょう。多発する場合はグレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】が効果的ですが、薬剤感受性低下を防ぐため使用薬剤は偏重せず、系統間のローテーション防除を徹底してください。
  • シロイチモジヨトウ
     ハスモンヨトウよりやや小型で、幼虫はハスモンヨトウの特徴である頭部後方の一対の黒斑がありませんが、生態は類似し、卵塊を産み、若齢幼虫は集団で食害します。ハスモンヨトウと同様に発生がやや多く、県からは注意報が発表されています。
    【対策】
     ハスモンヨトウの対策に準じますが、適用のある薬剤は微生物農薬である各種BT剤【11A】とプレオフロアブル【UN*】、ブロフレアSC【30】のみです。ハスモンヨトウやオオタバコガが併発していれば、これら適用薬剤で同時防除も期待できます。ただし、本虫はジアミド系薬剤【28】の一部などで感受性の低下が確認されており、ハスモンヨトウ対象の防除でシロイチモジヨトウが残ることがあります。この場合は、他の薬剤に切り替えてください。
  • オオタバコガ
     卵は1卵ずつ産みつけ幼虫は単独で活動し、開花前には柔らかな新芽付近に潜って食害するため、白変葉は発生せずハスモンヨトウやシロイチモジヨトウに比べ発見が遅れがちです。また、莢の内部を食害すると収量に直接影響します。
     本虫は、発生が早い年は世代を重ねながら多発する傾向があります。今年は発生が早く、7月2日には発生は多いと予想する注意報がすでに発表されています。
    【対策】
     新葉が盛んに展開する開花期までの防除が効果的です。例年では播種期の遅れにより開花期が遅い作型で被害が多発するのですが、今年は播種がおおむね順調でダイズの生育がやや早い一方でオオタバコガの増加も早く、例年より早くから被害が生じる可能性がありますので注意してください。ダイズに適用がある散布薬剤はプレバソンフロアブル5【28】、グレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】、プレオフロアブル【UN*】などですが、いずれもハスモンヨトウにも適用があり、同時防除による効果的な薬剤の使用も検討してください。


ウンシュウミカン


  • ミカンハダニ
     梅雨明け後から各産地で発生した園が見られます。盛夏期はあまり増えませんが、気温が下がり始めると急増して冬まで発生が続くので、毎年発生がある園はこの時期の防除が重要です。
    【対策】
     発生初期にカネマイトフロアブル【20B】、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニエモンフロアブル【23】などを散布します。ハダニ類は薬剤感受性が低下しやすいので、各薬剤ともに年1回の使用にとどめましょう。なお、これらの剤はミカンサビダニにも適用があります。
  • チャノキイロアザミウマ
     発生量は平年並ですが、この時期に果実に寄生すると主に果頂部に灰白色から茶褐色のコルク状の傷ができ、商品価値が下がります。
    【対策】
     発生があればモスピラン顆粒水溶剤【4A】やディアナWDG【5】、コルト顆粒水和剤【9B】、コテツフロアブル【13*】などで防除します。ピレスロイド系薬剤【3A】も効果はありますが、ハダニ類が増加しやすいので注意しましょう。なお、成虫の発生ピークにおける園地全体の防除は効果が比較的高く、県の情報では次のピークは大府市は8月21日頃、蒲郡市は8月22日頃と予測されています。


ナシ


  • ナシヒメシンクイ
     県のフェロモントラップにおける誘殺数がやや多い地域があり、発生量はやや多い予想です。幼虫は果実に食入して商品価値を落とします。有袋栽培でも破れ目や果実との接触部から食入する場合があり、発生があれば袋掛け後も防除は必要です。
    【対策】
     この時期は幼虫が連続して発生しているため、収穫期まで期間がある園地では、概ね7~10日間隔でスタークル顆粒水溶剤【4A】、ディアナWDG【5】、フェニックス顆粒水和剤・テッパン液剤【28】などで、幼虫が果実に食入する前に防除します。ただし、薬剤の収穫前日数には十分注意してください。
  • ハダニ類
     梅雨明け後の発生量は園地間で差があるものの平年より多く、多発している園地も見られます。今後も高温予想により多発しやすい状況が続く見込みです。発生が多い場合、早期落葉による樹勢の低下につながります。
    【対策】
     園内での早期発見に努めるとともに、発生があれば同一系統の薬剤の連用にならないようコロマイト乳剤【6】、カネマイトフロアブル【20B】、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニコングフロアブル【25B】などで防除しましょう。収穫前であれば、散布薬剤の収穫前日数に注意してください。なお、例年発生が多かったり薬剤の効果が低下したりしている場合は、天敵農薬(ミヤコバンカー等)を次年度の発生初期までに導入することもご検討ください。

カキ


  • うどんこ病
     7月には一部の地域で発生が見られました。夏の高温期は感染拡大が抑制されますが、気温の低下とともに再び増加する場合があります。
    【対策】
     発生が多い園地では、オンリーワンフロアブル・スコア顆粒水和剤【3】やナリアWDG【7+11】などを散布します。これらは炭疽病にも効果があります。なお、同一系統の薬剤は連用しないよう注意しましょう。

果樹共通


  • 果樹カメムシ類
     越冬世代成虫が果樹園で産卵し、増殖することはありません。今後、果樹園で発生するのはスギやヒノキ林で球果を吸汁して育った新世代の成虫であり、球果を吸汁しつくすと飛来します。県の調査では、ヒノキ林において主要種であるチャバネアオカメムシとツヤアオカメムシの生息虫数は平年並、クサギカメムシはやや多、餌となるヒノキ球果の結実量は平年並であり、今後の発生量は平年並からやや多い予想です。また、今後の果樹園への飛来時期は早い地域(蒲郡市清田町)で8月上旬、遅い地域(岡崎市額田)で9月上旬と予測され、昨年に比べやや早くなっています。昨年多発した東三河地域や山沿いなど例年発生が多い園では、特に早期発見に努めてください。
    【対策】
     園内では増殖しないため、予防は困難です。地域及び園内への成虫の飛来状況に十分に注意し、飛来を確認した場合は防除を行いましょう。かんきつ、なし、かきではネオニコチノイド系【4A】のモスピラン顆粒水溶剤、ダントツ水溶剤ピレスロイド系【3A】のアグロスリン水和剤などが有効です。なお、園地周辺にミツバチの巣箱がある場合は、薬剤散布前に必ず所有者へ必ず連絡してください。

イチゴ


  • 炭疽病
     発生量は平年並ですが、すでに発病株が見られる育苗ほ場もあり、今後、感染が拡大する可能性があります。本病の病徴は株の萎凋枯死、ランナーや葉柄の黒色の楕円形病斑、葉の黒色円形病斑などです。病原は糸状菌であり、胞子が雨水やかん水の水滴に混じって飛散します。
    【対策】
     育苗終了まで予防対策に努めて感染株を本ぽへ持ち込まないようにしますが、薬剤による発病後の治療は困難なため、感染防止を主とした総合的な対策が重要です。
     感染防止対策として、典型的な病徴だけでなく発病が疑われる症状が見られた場合、その周辺の株を含め徹底的に除去することが重要です。親株で発生した場合はランナーや子株も処分しましょう。また、軟弱徒長や過繁茂を防ぎ、苗の間隔を広げるようにしましょう。頭上かん水は避け、かん水が葉面に跳ね上がらないよう注意します。過剰なかん水や規定量を超える薬液の散布も避けましょう。地床では排水の徹底、高設では不要な下位葉・古葉を摘除し湿度を下げましょう。摘葉作業は晴天時に行います。薬剤防除は耐性菌の発生リスクが少なく予防効果が高い保護殺菌剤を主体とした、ローテーションによる予防散布に努めます。保護殺菌剤はベルクートフロアブル【M7】やオーソサイド水和剤80【M4】、ジマンダイセン水和剤【M3】などがあり、他にもニマイバー水和剤【1+10】など多くの薬剤があります。なお、QoI系薬剤【11】は耐性菌が発生しており使用を控えるとともに、保護殺菌剤以外の薬剤は連用を避けてください。
  • ハダニ類
     育苗ほ場間で発生量に差が大きく、すでに多発したほ場も見られます。苗とともにハダニ類を本ぽに持ち込むと、定植後から多発しやすくなります。今後も高温が続く予想から、早めの対策が重要です。
    【対策】
     各地域で薬剤感受性の低下が問題となっていますので、薬剤を散布する場合は同一系統薬剤の連用は避けて感受性低下を防ぐとともに、感受性が低下しにくく連用ができるピタイチやエコピタ液剤、サフオイル乳剤などの気門封鎖型薬剤【未】を活用しましょう。特に、定植直前の防除を徹底して本ぽに持ち込まないようにしましょう。
     農薬登録のある炭酸ガスによる定植前のくん蒸処理や、サフオイル乳剤などによる苗浸漬処理は感受性低下の可能性が低い防除方法です。ただし、処理後はハダニ類に再び寄生されないよう育苗ほに戻さず速やかに定植しましょう。また、苗浸漬処理は薬害が発生しやすいため薬剤の使用方法や注意事項を遵守し、高温時は避け浸漬処理時間の厳守や薬剤を撹拌させることなどに十分注意してください。なお、薬剤の防除効果が低く毎年発生する場合やスポット的に発生した場合などは、天敵農薬であるミヤコカブリダニ剤(ミヤコバンカー等)やチリカブリダニ剤(チリガブリ等)の利用もご検討ください。

露地ギク


  • ハダニ類
     発生量は全体では平年よりやや少ない状況です。一方で、イチゴと同様にほ場間の差が大きく、多発したほ場も見られます。今後も高温が続く予想のため、発生量が少ないほ場でも急増する可能性があり注意してください。
    【対策】
     カネマイトフロアブル【20B】やコロマイト乳剤【6】など適用のある薬剤は多いのですが薬剤の感受性低下が懸念され、使用回数は各薬剤1回に止めるとともに薬剤系統間のローテーションに努めましょう。また、エコピタ液剤【未】など感受性低下を起こしにくい気門封鎖型薬剤を活用しましょう。

野菜・花き


  • ハスモンヨトウ
     成虫の誘殺数がすでに多い地域があり、県から昨年より約1か月早い8月1日に注意報が発表されました。今後も高温傾向が続く予報から、昨年のように多発する可能性があります。
    【対策】
     中齢以降の幼虫は薬剤の効果が低下するので、茶色の毛に覆われた卵塊を除去したり、若齢幼虫が集団で加害している時期に防除しましょう。防除薬剤は比較的多くありますが薬剤の感受性低下が懸念されるため、必ず各作物ごとの適用薬剤をローテーションで使用し、同じ薬剤を連用しないようにしてください。効果の高い薬剤は、多発予想時など切り札的に使用することが望ましいです。また、シロイチモジヨトウやオオタバコガなどのチョウ目害虫が同時に発生している場合、個別の害虫ごとに防除を実施するのではなく同時防除を考慮して薬剤を選定し、薬剤使用回数を必要最少限に抑えましょう。
  • シロイチモジヨトウ
     最近では多くの野菜類や花き類で被害が報告されています。今年も県内各地で成虫が平年より早くかつ多く発生し、高温が続く予報からもハスモンヨトウと同様に被害が多発する可能性があります。県からは8月1日に注意報が発表されています。本虫はハスモンヨトウに生態が類似していますがやや小さく、ハスモンヨトウ幼虫に見られる頭部の後方にある一対の黒斑がありません。
    【対策】
     ハスモンヨトウと同様に、毛に覆われた卵塊を除去したり、若齢幼虫が集団で加害している時期に防除しましょう。本虫に適用のある薬剤はネギ以外はまだ少なく、また作物によって適用薬剤はかなり違いますので留意してください。ハスモンヨトウの欄に記載したように、同時に発生するチョウ目害虫との同時防除による薬剤の効率的な使用も検討しましょう。なお、一部のジアミド系薬剤【28】などで感受性が低下した事例があり、ハスモンヨトウ対象に防除しても類似した幼虫が残る場合はシロイチモジヨトウかもしれません。その場合は別系統の薬剤を使用してください。
  • オオタバコガ
     発生が早くかつ多いため、県からは7月2日に早期発見と防除を呼び掛ける注意報が発表されています。世代を重ねるたびに増加しますので、育苗ほ場を含め今後の多発に注意してください。本虫はヨトウ類と違い単独で活動し、花蕾や結球内に潜る性質があり、ハスモンヨトウに比べ発見が遅れがちになります。
    【対策】
     若齢幼虫を含め集団では加害することはありませんので、幼虫を数頭でも確認すればほ場全体に発生している可能性があります。早期発見に努め防除を徹底しましょう。特にキャベツ、レタスなど結球作物では内部に潜ると防除が困難になりますので、結球初期までに予防散布しましょう。キクでは着蕾後に加害されやすいので、着蕾以降は予防散布に努めましょう。なお、被害部位に卵や幼虫が付着している可能性があるため、残渣は放置せずほ場外で処分しましょう。各作物の適用薬剤はまだ少ないのでラベルの表示事項に注意するとともに、同時に発生しやすいヨトウ類との同時防除も検討して薬剤を選定してください。


☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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