展示結果

令和3〜4年度 ASC場内展示課題

                                                                                                        
品 目 展 示 課 題 名 概    要
輪ギク NEW
8月開花作型における新系統展示

1月開花作型における新系統展示
<展示結果>
 8月開花作型については夏秋系9品種の展示を行い、JA愛知みなみ輪菊部会役員による評価調査を実施した。

 1月開花作型については秋系9品種の展示を行い、JA愛知みなみ輪菊部会役員による評価調査を実施した。
輪ギク
9月開花作型における新系統展示

2月開花作型における新系統展示
<展示結果>
 9月開花作型については夏秋系9品種の展示を行い、JA愛知みなみ輪菊部会役員による評価調査を実施した。

 2月開花作型については秋系9品種の展示を行い、JA愛知みなみ輪菊部会役員による評価調査を実施した。
トマト
トマト年2作型体系におけるクロス栽培の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 長期作型栽培でのトマト黄化病・黄化葉巻病による収量低下リスク軽減対策として、高軒高ハウスの年2作型栽培(促成作型+半促成作型)で、促成作型の収穫中に株元に半促成作型を植える「クロス栽培」を実施し、出荷できない期間の短縮化を目的に実証を行った。
 その結果、@トマト黄化病・黄化葉巻病による欠株率は促成作型で3%(42株)、半促成作型では0%(0株)であったこと、A作型の切り替えにおいて第1果房が出蕾した苗を使用することで、出荷できない期間が3日間となりほぼ連続して収穫できたこと、B長期1作型で見られる草勢低下が見られなかったことから、可販果収量は長期1作型と同等の36.2t/10aとなった。
 このことから、トマト黄化病・黄化葉巻病による収量低下リスク軽減対策に有効であることが実証できた。
ナス
高軒高ハウスにおける摘心後のナス給液方法の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 R2年度作の実証では、ナス「とげなし輝楽」を用い、摘芯まで給液ECを設定値まで徐々に上げていき、摘芯後はECを一定値で管理しながら、給液ECの違いによる収量性について検討した。その結果、摘芯までは給液EC高めの2.5dS/m(以下EC2.5)、摘芯後は給液EC低めの1.3dS/m(以下EC1.3)の管理が良いと考えられた。そこで、令和3年度作は摘心後の給液EC2.5から下げ方を変え、収量性を比較することで、時期ごとの給液管理を検討した。
 その結果、給液EC2.5からEC1.3へ急速に下げた区(QD区)と、EC2.5からEC1.3へ段階的に(EC0.3dS/m/週のペース)下げた区(SD区)で、収量に大きな差は見られなかった(QD区15.8kg/株、SD区15.1kg/株)。
キュウリ
キュウリ養液栽培における周年栽培確立に向けた実証 年2作型の実証(秋冬作10〜3月・春夏作4〜9月)
<展示結果>
 秋冬作:令和3年10月6日に苗を定植し、令和4年3月25日に収穫終了した。10a当たりの換算収量は「S40」18.4t、「グリーンウェイ」17.0t、「まりん」18.4tであった。
 春夏作:令和4年4月6日に苗を定植し、令和4年9月30日に収穫終了した。10a当たりの換算収量は「S40」24.2t、「ニーナZ」23.9t、「まりん」28.8tであった。
 年2作で最大47.2t/10aとなった。
イチゴ
@イチゴ新品種「愛経4号」における、未分化苗(9月上旬)定植が収量に及ぼす影響の調査
Aイチゴ新品種「愛経4号」における、日長延長の電照時間帯が生育・収量に及ぼす影響の調査
<展示結果>
 @「愛経4号」の早生性を生かし、令和3年9月上旬に定植を行い、育苗期間の短縮と管理の省力化を目的とし、花芽分化の遅延が発生するかを確認した。結果として、9月2日定植が8.3t/10a、9月14日定植が7.4t/10aと収量は多くなった。9月上旬に花芽分化が可能な早生性を確認したが、未分化苗定植への適正に関してはさらに検討が必要である。
 A厳寒期の草高が低くなる事例が見られるため、草勢維持により効果的な電照方法を確認した。早朝電照、夕方電照を比較し、草高、可販果収量に試験区差は見られず、電照時間帯による影響は見られなかった。
イチジク
イチジク養液ポット栽培の実証
<展示結果>
 1年目株でポット当たり結果枝本数を1本と2本で栽培を行い、収量性の検討、2年目株での収量性の向上、着色の改善を目的とした誘引方法の検討を実施した結果、10月末まで収穫を実施し、1年目株での収量は1本だし区3.48t/10a、2本だし区で4.47t/10aであった。2年目株での収量はV字誘引区の収量は5.64t/10a、U字誘引区では6.25t/10aであった。

令和2年度 ASC場内展示課題

                                                                                   
品 目 展 示 課 題 名 概    要
輪ギク
8月開花作型における新系統展示

1月開花作型における新系統展示
<展示結果>
  8月開花作型では夏秋系9系統を展示し、1月開花作型では秋系9系統の展示を行い、JA愛知みなみ輪菊部会栽培委員による評価調査を実施した。
輪ギク
9月開花作型における頭上散水を利用した安定生産技術の確立

2月開花作型のCO2局所施用下におけるLED補光 時間帯の検討
<展示結果>
 頭上散水処理区は対照区より1〜2℃低い温度で推移し、奇形花発生率は対照区より低くなった。 シェードカーテンの利用と頭上散水の併用は、葉温及び生長点付近の高温対策として効果があると思われた。

 1日4時間のLED補光を行う場合、午前中の補光がより効果が高いと思われる。一方、光源から1m以内での効果は認められるものの、それより遠い位置での効果は小さいことがわかった。現在のLED価格での施設全体への導入は高コストとなるため、費用対効果は期待出来ないと考えられる。
トマト
トマト黄化葉巻病耐病性品種「麗妃」における窒素日施用による給液管理方法の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 トマト黄化葉巻耐病性品種「麗妃」を用いて、ヤシガラ培地に応じた窒素日施用管理方法を検討したところ、日施用区(窒素日施用管理)は対照区(EC管理)と比べて可販果収量が僅かに多い結果となった(日施用区:27.8t/10a、対照区:26.2t/10a)。

 日施用区は対照区と比べ初期の草勢コントロールをおこなえるため、2次育苗をおこなわなくても生育コントロールが可能であると思われる。また、栽培期間中の日施用区の窒素施用量は、対照区と比べ約35%削減できることがわかった。
ナス
高軒高ハウスにおけるナスの整枝管理に適した給液方法の検討

※本実証は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 高軒高ハウスのハイワイヤー摘芯栽培で、給液管理の違いが収量に及ぼす影響を調査し、時期ごとの最適な給液管理の検討を行った。その結果、長期一作の可販果収量は、給液EC1.3区が他の区よりも多くなった(給液EC2.5区16.0kg/株、給液EC1.9区18.0kg/株、給液EC1.3区22.2kg/株)。

 時期別の可販果収量は、年内は給液EC2.5区が他の区よりも多く、年明け以降は給液EC1.3 区が多い結果となった。そのため、給液ECは年内高く年明け以降低い管理が良いと思われる。
キュウリ
キュウリ養液栽培におけるロックウール培地の違いによる収量比較試験
<展示結果>
 ロックウール培地(Classic、Prestige、Prestigeラッピングなし2列)の組成や量の違いによる収量比較を行った結果、10aあたりの収量はPrestige2列培地が最も多くなった(Classic培地35.4t、Prestige培地33.9t、Prestige2列培地36.2t)。この結果は、ラッピングを剥がしたことによる定植本数の増加が要因と考えられる。  株あたり収量では、Prestige培地が最も多くなった(Classic培地35.4t/株、Prestige2列培地36.2t/株、Prestige培地37.6t/株)。

 培地耐久試験では、Classic、Prestige2列共に2年目の収量は変わらないため、問題なく使用できることがわかった。
イチゴ
イチゴ「章姫」「紅ほっぺ」における 摘果管理が収量へ与える 影響の検討

※本実証は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 摘果管理を行った結果、各果房の着果数および摘果後果数は「章姫」で※@29(18) A23(15) B24(15)、「紅ほっぺ」で@14(摘果なし) A15(摘果なし) B28(18)となった。
※@頂果房、A一次腋果房、B二次腋果房の着果数、()は摘果後果数、二次腋果房は株当たりの着果数および果数とした。

 5月末までの可販果収量は、「章姫」で摘果区1,191g/株、無摘果区1,089g/株となり、摘果区は無摘果区の109%となった。「紅ほっぺ」は摘果区で1,229g/株、無摘果区1,274g/株で、摘果区は無摘果区の96%となった。摘果区の3L品以上の階級発生率は無摘果区と比較して、「章姫」で24%増、「紅ほっぺ」で3%減となった。
 「章姫」においては着果数が25果以上の場合18果、16〜24果の場合15果を残して蕾や果実などを摘蕾・摘果すると、収量を損なわず上位階級発生率が増加する効果が確認された。
 「紅ほっぺ」は頂果房・一次腋果房とも果房当たり15果以下の着果数にとどまり、この程度の着果数であれば摘果は不要と考えられる。

令和元年度 ASC場内展示課題

                                                                                   
品 目 展 示 課 題 名 概    要
輪ギク
頭上散水処理による開花遅延抑制、奇形花発生率の低減に関する実証
【頭上散水を利用した安定生産技術の確立】
消灯日(7/25)〜消灯後5週間(8/28)の間10時〜15時まで30分に1回30秒散水処理を行った。
<結果>
 頭上散水処理有と無を比較した場合、到花日数に大きな差は見られなかった。
奇形花発生率は、頭上散水処理有の方が扁平花、露心花共にに低くなったが、草花重は散水処理無の方が1.3g重くなった。
頭上散水処理有では、30分毎の散水時に温度の低下が見られ、10:30〜15:30までの日射が強い時間帯は、頭上散水無よりも1〜2℃低く、相対湿度は5%程高く推移した。
 葉温は散水直後〜15分間程度1〜3℃低下した。
【開花遅延抑制効果について】
<展示結果>
 到花日数は「精の一世」で無処理区と比較して頭上散水処理区の方が1日短くなり、「精の光彩」では差が見られなかった。
【奇形花発生率について】
<展示結果>
無処理区と散水処理区で差が見られなかった。
輪ギク
CO2局所施用下におけるLED補光による上位階級発生率の向上実証
【CO2局所施用下におけるLED補光による上位階級発生率の向上】
ランニングコストを低減する方法として補光時間を短縮し、光合成に効果の大きい時間帯の検討を行った
<展示結果>
 1日4時間の時間帯別補光について、2L発生率の向上を調査した結果、8:00〜12:00の時間帯で補光した場合が最も多くなったことから、午前中が光合成に効果の大きい時間帯と推測される。また、LEDからの水平距離1m地点でも2L率の向上は見られたが、1.5m地点効果が見られなかった。
トマト
トマト黄化葉巻病耐病性品種「麗妃」における窒素日施用による給液管理方法の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 トマト黄化葉巻耐病性品種「麗妃」を用いて、ヤシガラ培地に応じた窒素日施用管理方法を検討したところ、日施用区(窒素日施用管理)は対照区(EC管理)と比べて可販果収量が僅かに多い結果となった(日施用区:26.5t/10a、対照区:25.1t/10a)。日施用区は対照区と比べて、初期の草勢を抑えることができたが、一方で、開花段数などの生育スピードがやや遅れる結果となり、生育初期の窒素日施用量を増やした管理が必要と考えられた。また、栽培期間中の日施用区の窒素施用量は対照区と比べて60%程度削減された結果となった。
ナス
ナス高軒高ハウスにおける整枝管理の違いによる多収性・省力性に関する検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
<展示結果>
 高軒高ハウスでのナスの整枝管理の違いにおける収量性、作業性(作業時間/可販果収量)を検証しました。その結果、着果枝2芽切り戻しによる整枝管理が対照区の着果枝1芽切り戻しと比べて、可販果収量(2芽切り戻し区:23.3t/10a、1芽切り戻し区:23.1t/10a)と作業性(2芽切り戻し区:87時間/t、1芽切り戻し区:101時間/t)の点から良い結果となりました。
キュウリ
キュウリ養液栽培におおける作期延長に向けた実証

 (養液栽培キュウリの年2作体系による周年栽培の実証)
 <展示結果>
1.令和元年度冬春長期作(R1.10月〜R2.6月)
 キュウリ養液栽培において、冬春長期作に適した給液EC条件の試験検討を行った。生育初期から給液ECを2.1ds/mとした区(EC2.1維持区)、給液ECを2週間かけて2.1ds/mまで上昇させた区(EC前期上昇区)、給液ECを4週間かけて2.1ds/mまで上昇させた区(EC後期上昇区)の3試験区で実証を行った。収量はEC前期上昇区が最も高く、32.3t/10aであった。
2.令和2年度夏作(R2.7月〜9月)
 キュウリ養液栽培において夏作に適した品種の選定を行った。「勇翔」「ニーナ」「はやか」「まりん」の4品種について栽培実証を行った結果、最も収量が高かったのは「はやか」であり、収量は11.3t/10aであった。
3.まとめ
令和元年度冬春長期作〜令和2年度夏作までの実証で、冬春長期作(10月〜6月上旬)+夏作(6月下旬〜9月)の2作体系で、年間収量43.6t/10a(冬春長期作 32.3t/10a、夏作 11.3t/10a)を達成した。
イチゴ
イチゴ「章姫」「紅ほっぺ」における摘果処理が生育・収量に与える効果の検討

※本実証は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
 「章姫」「紅ほっぺ」における摘果処理の違いが生育、収量に与える効果を検討した。
夜冷処理は行わず、令和元年9月20日に高設栽培ベンチへ定植し、摘果区は頂果房から二次腋果房を自然着花数の6割を残して摘果した。対照として摘果処理をしない無摘果区を設けた。
<展示結果>
 各果房の自然着花数および摘果後果数は「章姫」は※@17.8(10.7)A15.6(9.3)B12.2(7.3)、「紅ほっぺ」は@12.7(7.5)A11.9(6.5)B8.0(4.6)であった。
※@頂果房、A一次腋果房、B二次腋果房の自然着花数、()は摘果後果数

両品種とも頂果房から二次腋果房の自然着花数、花房間葉数、開花株率の推移、展開葉数、展開第3葉の葉身長は両区でほとんど差がなかった。草高は、「章姫」については3月以降に摘果区で、「紅ほっぺ」については2月中旬以降に無摘果区で大きくなった。
 5月末までの可販果収量は、「章姫」は摘果区で1,065.8g/株、無摘果区1,108.8g/株で、摘果区は無摘果区の96%であった。「紅ほっぺ」は摘果区で961.4g/株、無摘果区1,061.6g/株で、摘果区は無摘果区の91%であった。1月から3月の平均果重は両品種とも摘果区の方が大きく、5月末までの摘果区の3L品以上の階級発生率は、無摘果区と比較して、「章姫」で19%増、「紅ほっぺ」で5%減であった。
以上の結果から、今作「章姫」では摘果により3L品以上の階級発生率が増加したが、「紅ほっぺ」では上位階級発生率の向上が確認できず、「紅ほっぺ」において自然着花数13花/果房以下の場合、今回の摘果は不適と考えられた。

平成30年度 ASC場内展示課題

                                                                                   
品 目 展 示 課 題 名 概    要
輪ギク
頭上散水処理による開花遅延抑制、奇形花発生率の低減に関する実証
【頭上散水処理による環境改善】
 消灯(7/25)〜消灯後5週間(8/28)の間10時〜15時まで30分に1回30秒散水処理を行った。
その結果、10時〜15時の間無処理区と比較して頭上散水処理区の温度が1℃〜2℃低く、相対湿度については約5%高く推移した。
葉温は散水直後〜15分間程度1〜3℃低下した。
【開花遅延抑制効果について】
 到花日数は「精の一世」で無処理区と比較して頭上散水処理区の方が1日短くなり、「精の光彩」では差が見られなかった。
【奇形花発生率について】
無処理区と散水処理区で差が見られなかった。
輪ギク
CO2局所施用下におけるLED補光による上位階級発生率の向上実証

<展示結果>
令和元年度作では、30年度作試験で成績の良かった生長点周辺部へのCO2局所施用を行いつつ、LEDによる補光を9:00〜15:00の間行い、上位階級(2L以上)発生率の向上効果の実証を行った。
その結果、畝に対してLED2列で補光した区(光源から160cm下での光強度:34.7W/m2)で2L以上の発生率が最も高く、次いでLED1列で補光した区(光源から160cm下での光強度:17.3W/m2)、補光無しの区で最も低くなる傾向がみられ、補光により上位階級発生率が向上することが示唆された。
現在、LEDによる補光はハウスの谷下等の日照条件が悪い場所の補助として導入されているが、今回の実証では日照条件が良好な場所にLED補光を追加することで上位階級の発生率を更に高めることが出来た。
今後の課題としては、効果的な補光時間帯や補光時間を検討して、コスト試算も含めた費用対効果の検討が必要になると思われる。
トマト
黄化葉巻病耐病性品種「麗旬」における多収給液管理の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
【技術ノウハウを駆使した多収技術の確立】
「麗旬」における収量性の確認と春先以降に増加する尻腐れ果の発生軽減対策を行った。
<展示結果>
「麗旬」の収量性について検証した結果、年内での落果が株当たり平均2果程度みられ、年明け後は小玉傾向で推移し、春からは尻腐れ果も多いことから10a換算で30.7tとなった。
「麗旬」における目標の36tに対し85.3%に止まった。
収量性は「りんか409」よりも劣ると思われる。

尻腐れ果の軽減対策として、1月上旬より強摘葉処理を行い、葉からの蒸散を抑えて尻腐れ果対策を行った。また、2月1日から給液ECの設定を変え培地内ECを下げることで尻腐れ果の発生が抑えられた。
尻腐れ果の発生は処理によって軽減したが、3月以降草勢が弱くなり収量が低下した。
ナス
栽植密度の検討
作業省力化のための仕立て方法の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
【栽植密度の検討】
高軒高ハウスに更新したことによりハウス内の採光性が向上すると考えられるため、更なる多収生産のために栽植密度を高くした(慣行区:株間42p、密植区:株間38p、高密植区:株間33p 畝間は全試験区200p)際の収量性・作業性の検討を行った。
<展示結果>
 総収量・可販果収量ともに栽植密度が最も高い高密植区が多かった(慣行区:総収量31.4t/10a、可販果27.4t/10a、密植区:29.9t/10a、26t/10a、高密植区:34.2t/10a、30.1t/10a)。日射量の少ない厳寒期では、採光性の良好な慣行区と高密植区では大きな差はみられなかったが、4月以降日射量が多くなるにつれて、高密植区のほうが収量が多くなり収量差が大きくなった。栽植密度の違いによる可販果率には差がみられなかったことから栽植密度を33pまで高めても問題ないことが確認された。
 ただし作業時間については、栽植密度が大きくなるにしたがって増加し、労働生産性(作業時間当たりの収量 単位:kg/時間)は高密植区が最も低かった。これらの結果から生産性向上のためには安定した収量の確保と同時に省力化の栽培方法の確立が必要だと考えられた。

【作業省力化のための仕立て方法の検討】
高軒高ハウスでは主枝摘芯以降、収穫などの作業を株上部・下部に分けてしなければならず作業性が悪いことが大きな課題となっている。そのためトマトやキュウリのように、主枝を伸ばして下ろしてを繰り返すつる下ろし仕立てにすることで、作業位置が安定し作業省力化につながるか・安定した収量の確保は可能なのか検討を行った。
<展示結果>
つる下ろし仕立てにすることにより慣行のV字2本仕立てと比較して、作業時間が20%短縮することが可能であることが確認できた。しかし、つる下ろし仕立てでは、主枝を下ろした際に摘葉を強く行うことで、草勢が低下し、総収量・可販果収量ともに慣行のV字仕立てよりも大幅に減収した。(総収量:22.6t/10a、可販果17.7t/10a)。
キュウリ
キュウリ養液栽培におおける作期延長に向けた実証

定植時期の違いおよび仕立て方法の違いによる収量への影響について

<展示区詳細>
早植え区:9月11日定植 10月11日収穫開始 4本仕立て 栽植密度1,000株/10a
二本仕立て区:10月3日定植 10月30日収穫開始 2本仕立て 栽植密度2,000株/10a
慣行区:10月3日定植 10月30日収穫開始 4本仕立て 栽植密度1,000株/10a
各区とも6月24日収穫終了

<展示結果>
定植時期を1カ月早めた結果、慣行区の定植時点で3.0t/10a 程度差があったが、2月から5月までの 週当たりの収量は二本仕立て区、慣行区、早植え区の順で推移し、総収量は早植え区が最も少なくなった。二本仕立てと慣行区の総収量は、それぞれ4月中旬、5月上旬に早植え区の総収量に追いついた。早植え区では12月以降節間が細く、短くなっており、草勢低下の可能性が考えられた。
日射や気温が増大し始めた3月以降はどの区も枯死する側枝が目立ち始めたが、作終了時点での枯死した側枝の数は早植え区で最も多く、次いで慣行区であり、二本仕立て区では最も枯死した側枝が少なかった。二本仕立て区で最も枯死した側枝が少なかった理由として、側枝1本あたりの根量が多く、根から吸い上げられる水の量が多かったために、他の2試験区より樹勢が良い状態を維持できたためであると考えられる。
最終的な収量は、慣行区32.5t/10a、早植え区30.2t/10a、二本仕立て区34.3t/10aであった。
イチゴ
イチゴ「章姫」の摘果処理が生育・収量に与える効果の検討

※本実証は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
「章姫」における摘果処理の違いが生育、収量に与える効果を検討した。
夜冷処理は行わず、平成30年9月20日に高設栽培ベンチへ定植し、摘果区は頂果房7果、一次腋果房5果に摘果した。対照として頂果房、一次腋果房の摘果処理をしない無摘果区を設けた。
<展示結果>
5月末までの可販果収量は、無摘果区で1,127.8g/株、摘果区で950.1g/株(無摘果区の84.2%)であった。平均一果重は、無摘果区で12.9g/果、摘果区で16.2g/果であった。
頂花房の出蕾期(注1)は、無摘果区と摘果区ともに10月26日で同じとなったが、一次腋果房の出蕾期は無摘果区で12月28日、摘果区で12月21日となり、摘果区の方が早くなった。 草高は、1月以降に摘果区で無摘果区より高くなったが、同時期の展開葉数に処理による差はみられなかった。
以上の結果から、「章姫」における摘果処理は平均一果重の増大と腋果房の出蕾期を早めること、1月以降の草高の向上に有効と考えられた。しかし、今回の摘果処理では、無摘果の場合に比べて可販果収量が減ったため、収量向上には摘果数の再検討が必要と判断した。
注1:調査株の50%が出蕾した日を出蕾期とした。

平成29年度 ASC場内展示課題

                                                                                                        
品 目 展 示 課 題 名 概    要
輪ギク
頭上散水処理による開花遅延抑制、奇形花発生率の低減に関する実証
【CO2局所施用による等階級発生率の向上】
<展示結果>
H30年度作ではCO2局所施用位置・ダクトチューブ(色およびダクトチューブ吐出口からの吐出速度の違い)を検討し、栽植密度135本/坪で階級2L以上発生率33%以上を目標とした。
@CO2局所施用位置については、CO2局所施用ダクトを畝上に設置した畝上施用区、フラワーネット上に設置し生長点付近に施用するネット上施用区の2つの方法で検討を行った。
その結果、品種によって多少異なる結果はあったものの、ネット上に施用したほうが上位階級発生率が高くなり有効であると考えられた。光環境がよく光合成が活発な上位葉に局所的にCO2を施用することで光合成産物が増加し上位階級発生率が向上すると考えられた。
Aダクトチューブについては、吐出速度が異なるものの畝上施用区では差がなかった。
ただしネット上施用では、黒色のダクトチューブでは畝中央が影になってしまい、上位階級発生率が低くなったため、透明もしくは白色のものが有効ではないかと推測された。
輪ギク
頭上散水処理による開花遅延抑制、奇形花発生率の低減に関する実証
【頭上散水処理による環境改善】
<展示結果>
消灯(7/24)〜消灯後4週間(8/21)の間10時〜15時まで60分に1回30秒散水処理を行った。
その結果、日中平均温度は(29.9℃→28.7℃)1℃低下し、相対湿度については、5〜10%程度一時的に上昇した。
葉温は散水直後〜15分間程度2〜3℃低下した。
【開花遅延抑制効果について】
<展示結果>
「精の一世」では、散水処理しない高温処理区と比較して4日、「精の光彩」では3日短かった。
【奇形花発生率について】
<展示結果>
「精の一世」では高温処理区25%、散水処理区10%となり、奇形花が少なくなった。また、散水処理による芽焼けは両品種ともに確認されなかった。
トマト
2次育苗の生育コントロール
高EC給液管理
摘葉による時期別LAI管理の実証

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
【技術ノウハウを駆使した多収技術の確立】
 生産量40t/10a、平均1果重135g、Brix5%、可販果率95%を下回らないことを目標とした。
<展示結果>
 最終収量は、36t/10aとなり目標よりも
1割減収となった。
 摘葉管理による時期別LAIの違いによる平均1果重の違いについては優位な差がみられなかった。
 糖度は厳寒期でBrix5%を下回る期間があったが、概ね5~6%で推移した。可販果率は95%であった。
ナス
ナスの養液栽培に適した台木の検討
ハイワイヤー栽培に適した仕立て
方法の検討

※本課題は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
【台木の検討】
 H27・H28年度作の実証で生育・収量が安定していた台木「台太郎」とオランダで強勢台木として利用されている「アーノルド」を使用し、生育・収量への影響を調査した。
<展示結果>
 最終収量は、「アーノルド」が17.9t/10a、「台太郎」が17.2t/10aとアーノルド区のほうが多収であった。
 「アーノルド」のほうが芽吹きがよく収量性がよかったが、4月上旬以降では、「台太郎」のほうが芽吹きがよく多収であった。
 厳寒期の収量性・販売単価を考慮するとアーノルドのほうが優位性があると考えられる。

【ハイワイヤー栽培に適した仕立て方法の検討】
 ハイワイヤー栽培に適した仕立て方法の検討として、「V字」、「垣根」、「つるおろし」の3つの試験区を設けて実証を行った。
<展示結果>
 最終収量は、「つるおろし区」18.1t/10a、「V字区」17.9t/10a、「垣根区」18.0t/10aと差はほとんどなかった。
 「つるおろし区」については栽植密度が高く、10a換算で2484株/10aであり、株数が多いため、このような結果となったと考えられる。
 枝1本当たりの収量を比較すると3月以降では「V字区」、「垣根区」のほうが多収であり、栽植密度が同じであれば「V字区」、「垣根区」のほうが多収となる可能性が考えられた。
キュウリ
キュウリの養液栽培における給液管理指針作りに向けた実証について
【養液栽培における給液管理指針作成】
 H28年作のキュウリ養液栽培をもとに給液管理指針案を作成し、養液栽培における給液管理指針の作成に向けて試験を行った。
 H28年作からの改善点は@側枝伸長時期の給液ECを上げたこと、A春先の排液EC>給液EC時に給液ECを下げたことの2点である。
<展示結果>
 側枝伸長時期の改善、春先の給液ECの改善が生育に影響を与えたとは言い難かった。
 最終収量は、給液管理変更区24.1t/10a
給液管理対照区23.8t/10a(6/7時点)
 今年度作は管理の変更の有無にかかわらず排液ECが給液ECを上回ることがなく、どちらの試験区もストレスが少なかったためではないかと考えられる。
イチゴ
イチゴ高設栽培における多収技術、及び総合防除(IPM)の実証

※課題名【クラウン加温】は愛知県農業総合試験場およびトヨタネ株式会社との共同研究として取り組みました。
【クラウン加温】
 クラウン部分を電熱線によって加温し増収効果を確かめた。H28年作ではクラウン部分が15℃以下になった場合に加温を行っていたが、H29年作ではランニングコスト削減の目的で加温時間は午前4時から8時の4時間のみとした。
<展示結果>
 最終収量は、紅ほっぺ...加温:6.4t/10a、無加温:5.1t/10a、章姫...加温:7.3t/10a、無加温:6.8t/10aであった。
 H28年作同様にクラウン加温により紅ほっぺでは大きく収量が増加した(無加温比25%増)。一方で章姫ではH28作同様にクラウン加温による収量増加効果が小さかった(無加温比7%増)。

【移動式ベンチ】
 移動式ベンチによって栽植密度を1.6倍に増加させ、10a当たり11,000本の栽植密度とした。
<展示結果>
 最終収量は、移動式ベンチ:7.0t/10a、慣行:5.9t/10a であった。
 光線量が増加する2月以降では移動式ベンチの収量が増加傾向にあった。
 一方で日照が少ないと移動式ベンチによる密植の増収効果は薄かった。
 4月以降では灰色かび病と不受精が多発しており、収量が減少していた。
 春先以降で葉が混み合い、重なりが増えたことで群落内の高湿度条件およびハチが入りにくい状態が出来ていたことが考えられる。
 過繁茂を抑えることが重要であると考えられる。

【IPM】
 ASCでは苗の炭酸ガス燻蒸とミヤコバンカーの組み合わせによるハダニの防除、
 赤色防虫ネットとハウス外タイベックシート設置によるアザミウマの防除、
 ミスト使用によるうどんこ病の防除を行った。
<展示結果>
 ハダニは生育期間を通してみられなかった。
 アザミウマは4月中旬以降で発生がみられたが、発生個所がハウス入口付近であった。そのため外部からの飛び込みよりもむしろ人が持ち込んだものと思われた。
 うどんこ病は、生育期間を通してみられなかった。
 今作はハウスの更新が行われたためにハダニやアザミウマの持越しがなかったことも結果につながったと考えられる。次作以降も継続して調査し、IPM技術の有効性を確かめていく。
輪ギク
キク類の2月開花作型における
CO2株元局所施用について
【CO2局所施用による等階級発生率の向上】
 キク類の2月開花作型において、CO2株元局所施用効果、施用効果を高めるための栽植方法の検討を行い、栽植密度135本以上で、階級2L発生率33%以上を目標に実証を行った。
<展示結果>
 「早世神馬」の階級2L以上の発生率は、6条植え(116本/坪)63%、7条植え(135本/坪)56%、8条植え(155本/坪)30%であった。
 「精興の誠」の階級2Lの発生率は、6条植えは42%と高かったが、7,8条植えでは25%前後となった。
CO2の施用により2L以上の階級発生率は高くなる結果は得られたが、CO2の施用位置による濃度差はほとんどみられなかったため、局所施用の効果によるものかは定かではなかった。 

平成28年度 ASC場内展示課題

                                                              
品 目 展 示 課 題 名 概    要
大玉トマト
@既存施設での30t/10aを超える
多収栽培実証
A環境制御装置「ミテルン」の
実用性について
@平成28年7月2日に定植し、翌年3月31日に施設更新のため展示を途中で終了しており、長期1作型の収量結果は出ていないが、3月末までの収量は、10a換算(面積比率による計算)では‘麗旬'の方が多かった。
また、食味調査では‘TYみそら'のほうが高評価であった。
多収を実現させるには品種選定も大きな要因となり、今作の結果では‘麗旬’のほうが多収の可能性が高いと考えられる。。
3月末実績(収穫段数14段)
        収量  可販果収量
‘TYみそら' 16.9t     16.5t
‘麗旬'    19.0t     18.3t
※面積比率による10a換算収量
Aまた、同ほ場で試験に使用している環境制御装置「ミテルン」については、改良点はあるものの、現在販売されている統合制御機器の中で、制御機能も多く、コストも安価であるため、営農支援センターの新施設に導入予定である。
ミニトマト
既存施設での多収栽培実証
平成28年9月2日に定植し、翌年3月31日に施設更新のため展示を途中終了したので、長期1作型の収量についての結果は出せないが、3月末までの可販果収量は、10a換算(面積比率による計算)で6.08tであった。
収量と同時に、糖度を安定させ、高食味を実現するためには、培地内ECを高く管理することで可能であるが、培地内ECを高め過ぎると小玉、尻腐れ果の発生につながるため、極端なEC管理はさける必要がある。
多収を実現させるためには、摘果により1果重を大きくすることで、1果房の着果数を抑えて大玉にする栽培手法が考えられる。
3月末実績
        収量  可販果収量  可販果率
‘アイコ'   6.27t    6.08t      97%
※面積比率による10a換算収量
キュウリ
環境制御下における
養液栽培の検討について
平成28年度作ではキュウリ生育指標作成のため、給液管理と収量との関係を調査した。
@給液管理について
⇒吸水量は側枝の伸長に合わせて増加し、つるを下した状態になると1.0L/株/日で安定した。定植後13週以降(1月上旬)には、給液管理の大きな変更はないが、吸水量が増加したためか、排液ECが高まる結果となった。そのためこの時期の給液管理はECを下げ、量を多くすることが必要だと考えられる。
⇒2月末時点収穫量は7.75kg/10a
 吸水量が増加した際に収量が増加する傾向がみられた。
ナス
‘PC千両'の特性・品質確認
【‘PC千両'の特徴】
@‘千両'よりも草勢がおとなしい
⇒ 若苗定植、密植、CO2施用にて対応する。
Aがく枯れ果が発生する(特に谷下)
⇒ 急激な温湿度変化により発生が助長される。
 換気時は内張りを緩衝として利用する。
B厳寒期は‘千両'よりもツヤがない
⇒ 夜温を12℃以上確保することで軽減される。
イチゴ
タイマー制御による
クラウン加温の実証※
「※愛知農総試、トヨタネ(株)との
共同研究「環境制御による施設野菜の高収益生産技術の開発」において
実施した研究成果を含む。」
平成28年9月21日に定植し、翌年3月20日に施設更新のため栽培を終了した。供試品種として‘章姫'、‘紅ほっぺ'を用い、温湯でタイマー制御(早朝4時間)によるクラウン加温を実施した。
加温区においては、両品種とも無加温区に比べ、1〜3割の増収が確認され、加温時間を早朝の4時間に限っても(前作比4時間短縮)増収効果が得られることがわかった。

愛知県とのイチゴ共同育種
(三次選抜)
大果多収性で炭疽病抵抗性を備えたイチゴ促成栽培用品種の開発に愛知県と共同で取り組んでいる。
平成27年度の二次選抜で選出した6系統について、栽培特性などの評価に基づき三次選抜の実証展示を行った。
‘15-38'は、早生性、多収性、秀品率が、‘15-41'は、早生性、秀品率、糖度が標準品種より優れていた。
輪ギク 2月開花作型の輪ギクにおける
炭酸ガス施用(500ppm)に適した
栽植・かん水方法の検討
‘早生神馬'において、多かん水区を設け、地表から20cmの深さのpF値が1.4〜2.2になるように管理したが、慣行かん水区(pF値:1.8〜2.6)との生育・収量差はみられなかった。
‘精興の誠'において、ネット目の大きさを9cmから10cmに変更することで、上位階級(2L・L)発生率が20〜30%向上した。
炭酸ガス施用のランニングコストは、600ppm施用と比較して23%、800ppm施用と比較して37%減少した。今作のランニングコストは51千円(200坪換算)であった。
秋系輪ギク有望品種の選定
(JA愛知みなみオリジナル品種含む)
愛知県4系統、種苗メーカー5品種、神馬4系統、JA愛知みなみ三次選抜1系統、二次選抜28系統を2作型にて展示した。登録に至る系統はなかったが、JA愛知みなみの白1系統を三次選抜とし、評価の高かった神馬系統を拡大展示することとなった。
夏秋系輪ギク有望品種の選定
(JA愛知みなみオリジナル品種含む)
8月開花・9月開花作型において、愛知県3系統、種苗メーカー9品種6系統、JA愛知みなみ三次選抜1系統、二次選抜17系統を実証展示した。愛知県、JA愛知みなみの系統は登録に至らなかったが、消灯から収穫までの日数が短く、葉数が多いJA愛知みなみの二次選抜2系統を平成28年度の三次選抜とした。
スプレーマム 1月開花新品種展示 平成28年11月1日に81品種を定植。開花調査は1月11日から順次行い、1月19日に専門会議を開催した。評価上位4品種は、デリフロールジャパンの‘DB58124’、‘DB55519’、ジャパンアグリバイオの‘ドリア’、‘フェリーイエロー’であった。
9月開花新品種展示 平成28年7月7日に73品種を定植。開花調査は9月15日から順次行い、9月29日に専門会議を開催した。評価上位6品種は、イノチオ精興園の‘セイルーゴ’、‘セイリポル’、‘セイリポルホットピンク’、愛知県の‘13SS6-7’、イノチオ精興園の‘セイリポルペールオレンジ’、デリフロールジャパンの‘DB85011’であった。

平成27年度 ASC場内展示課題

品 目 展 示 課 題 名 概    要
トマト 施設トマト周年安定多収生産
における品質向上技術の開発
(愛知県、トヨタネ鰍ニの
共同研究)
高EC給液により培地内ECを高めることで、Brix糖度5%を維持することができたが、高ECの2区が慣行区に比べ、平均1果重が小玉傾向となり可販果率も劣った。
小玉傾向については、収穫段数増加や摘果抑制による着果数増加も影響したが、草勢が強かった定植直後と1月下旬において、生殖生長に傾ける目的で著しく培地内ECを高めたことが、大きく影響したと考えられる。
可販果率の低下については、尻腐れ果が多発したことが要因であった。これは、草勢が強い時期に高EC給液や給液量を控えたことで培地内ECが上昇したためと考えられた。
糖度を維持しながら果実の大きさを保ち、尻腐れ果発生を回避するためには、草勢を安定させ、排液ECを適正範囲内で推移できる栽培管理が重要と考えられた。特に、吸肥力が大きい生育初期に高EC給液を行うと、過繁茂となり、その後の草勢コントロールが難しくなるため、生育初期はある程度給液ECを抑えることが必要と考えられた。また、二次育苗・高EC区が直接定植・高EC区に比べ初期生育が抑えられたことから、初期の草勢過剰に対して有効な手段と考えられた。
ミニトマト 既存施設での多収栽培実証 高EC給液により培地内ECを高めることで、草勢を抑え、年明けの果実の糖度を高く維持することができた。また、培地内ECを高くし過ぎるとミニトマト(アイコ)も尻腐れ果の発生が見られた。
収量はCO2施用により、現地平均よりも多くなったが、摘果などの1果重を大きくする管理をしないと全体収穫重は増えない。
台木をアーノルドにすると、草勢が強いためか、年内の糖度が低く、食味も良くない。しかし、春の草勢は、着果負担がかかってもスムーズに回復する。
ナス 単為結果性千両の特性・品質確認 「千両」と比較し、以下のような特徴がみられた。@ 草勢がおとなしく、葉がやや小さい。A トゲやヘタが柔らかいが、ヘタの先端が枯れやすい。B 曲がり果や石ナス果の発生が少なく、果色が濃い。C 厳寒期は側枝の発生が弱く、果実のツヤが鈍る。
隔離栽培システムに適した
給液管理の検討
穂木「千両」を、台木「トナシム」と「赤ナス」に接ぎ木した苗を平成27年8月24日に定植し、翌年7月1日に栽培終了した。給液ECの違いによる生育・収量への影響を調査した。
生育については、花数・果実数の差はみられなかったが、果実の肥大速度は12月末までは低EC区、4月以降は高EC区で早かった。
株あたりの平均総収量は、高EC区が15.4kg、低EC区が16.7kgであり、低EC区が多かった。しかし、可販果率(収量ベース)は、高EC区が87.4%、低EC区が84.7%であり、低EC区では4月以降に曲がり果や石ナスが多発した。
以上の結果から、厳寒期は給液ECを上げず、日射量の増加に合わせて給液ECを高めていく管理が良いと考えられた。
イチゴ 炭酸ガスくん蒸(殺虫処理)と
バンカーシート(天敵増殖資材)を
組み合わせたIPM防除の実証
苗を定植前に炭酸ガスくん蒸し、定植直後にバンカーシートを設置したことにより、2月末までハダニの発生を抑えることができた。
定植(9月18日)から2月末までの殺ダニ剤の散布回数は1回であった(気門封鎖型薬剤を除く)。
局所温度制御方式の
低温期における
イチゴ生育への影響検討
温湯を用いてクラウン部周辺を加温(クラウン部が15℃以下の時、通水チューブ内を30℃の温水が循環)したところ、加温しない場合に比べて増収効果がみられ、特に厳寒期の効果が大きかった。
作付終了時(5月末)の収量は、‘章姫’は株元加温区(以下、加温区)が5.83t/10a、株元無加温区(以下、無加温区)が5.70t/10a、‘紅ほっぺ’は加温区が6.09t/10a、無加温区が5.25t/10aとなり、両品種とも加温区が増収し、特に‘紅ほっぺ’で顕著であった。また、2月上旬〜3月中旬の加温区の収量が、‘章姫’で28.6%、‘紅ほっぺ’で30.5%増収した。
輪ギク 輪ギク有望品種の選定
(JA愛知みなみオリジナル品種含む)
夏秋系:
愛知県6系統、種苗メーカー15品種、JA愛知みなみ三次選抜1系統、二次選抜40系統を3作型にて展示した。登録に至る系統はなかったが、評価の高かったJA愛知みなみの白1系統を次年度の三次選抜とした。
秋系:
愛知県5系統、種苗メーカー9品種3系統、JA愛知みなみ三次選抜1系統、二次選抜47系統を2作型にて展示した。登録に至る系統はなかったが、評価の高かったJA愛知みなみの白1系統を三次選抜とし、愛知県の黄1系統を拡大展示することとなった。
炭酸ガスの高濃度施用(800ppm)
による生育・品質への影響調査
 「早生神馬」、「精興の誠」を標準品種とし、2月開花作型で実証した。炭酸ガス施用による効果(無施用と比較)は以下のとおりであった。
・草丈の伸びが良くなった。特に消灯までの差が大きかった。
・開花までの日数が1日長くなった(濃度による差はみられなかった)。
・上位階級(2L・L)の発生率が向上した(約20% → 35〜45%)。
・600ppm施用と比較し、ランニングコストは約10%増加した。
・栽植密度を高くすることで、上位階級発生率は低下したが、収穫本数が増えることによって、販売収入が増加した。
スプレーマム 5月開花新品種展示 平成28年3月10日に82品種を定植。開花調査は5月18日から順次行い、5月26日に専門会議を開催した。上位3品種は、イノチオ精興園の‘セイヨーク’、ジャパンアグリバイオの‘クラシコ’、デリフロールジャパンの‘DB56936’であった。
1月開花新品種展示 平成27年11月5日に100品種を定植。開花調査は1月17日から順次行い、1月28日に専門会議を開催した。上位6品種は、イノチオ精興園の‘セイヒラリー’、‘セイプリンス’、‘セイヨーク’、ジャパンアグリバイオのイネッサ、デリフロールジャパンの‘サルデナ’、‘DB45700(S)’であった。
9月開花新品種展示 平成27年7月2日に68品種を定植。開花調査は9月12日から順次行い、9月24日に専門会議を開催した。上位7品種は、精興園の‘セイリムー’、‘セイアドリア’、‘セイリポル’、‘セイイズミル’、‘セイリポルペールオレンジ’、‘セイリポルホットピンク’、‘セイマニサ’であった。

平成26年度 ASC場内展示課題

品 目 展 示 課 題 名 概    要
トマト 黄化葉巻耐病性品種の
現地適応性(収量性確認)試験
平成26年8月20日に定植し、翌年3月31日に収穫終了。‘りんか409’を慣行品種とし、‘りんか409’に合わせた栽培条件で、耐病性3品種の収量性を確認した。収量(調査12株を2,400株/10aで換算)、上位等級(A・B)発生率は以下の通りであった。
‘TYみそら86’:9.3t/10a、86.6%
‘桃太郎ピース’:9.2t/10a、53.3%
‘麗旬’:7.8t/10a、79.9%
‘りんか409’:9.3t/10a、81.4%(慣行品種)
‘TYみそら86’は収量が多く、上位等級発生率が高かった。今作の結果からは、‘TYみそら86’の収量性は‘りんか409’と比べても遜色ないと考えられた。黄化葉巻病は‘りんか409’で僅かに発生したが、耐病性3品種では発生がみられなかった。
施設トマトの多収生産技術の開発
(愛知県、トヨハシ種苗(株)との
共同研究)
高軒高ハウスに平成26年8月6日に定植し、翌年7月23日に収穫終了。11月、4月の曇雨天、梅雨時期の長雨による日照不足から、総収穫重は19,860kg/500u/1,480株(38.9t/10a:10a2,900株換算)で、前作を5%ほど下回った。
可販果率は96.7%と前作より7%ほど高く、可販果重は37.6t/10aで前作比3%増となった。また、上位等級(A・B)発生率は前作より1.9%高かった。今作は前作より排液率を低く抑えたこと、4月以降の遮光を控えたこと等により、可販果率や等級が向上したと考えられた。
階級発生率は、前作と比べ3L・2Lは大差なかったが、L・Mは6.8%高く、Sが5.5%低かった。摘果で1果房の着果数を抑えたことにより、全体として前作よりも大玉傾向になったと考えられた。
ナス 隔離培地(ココバッグ)栽培に
適した台木の選定
‘千両’を穂木とし、4種類の台木(‘トルバム’、‘トナシム’、‘台太郎’、‘赤ナス’)に接ぎ木した苗を平成26年8月28日に定植し、翌年7月10日に収穫終了。
炭酸ガスを11月23日から600ppm(閉切時)で施用したが、樹勢が強く、石ナスが多発したため、翌年3月23日から400ppmへ変更した。栽培終了時の収量は、‘赤ナス’が17.8kg/株となり、‘赤ナス’>‘トナシム’≧‘トルバム’≧‘台太郎’であった。‘赤ナス’はどの時期も収量が多かったが、果形が細長い傾向がみられた。‘トルバム’は根張りが強く、ココバッグを傷める可能性があった。今作の結果からは、果形に課題があるものの収量性の面では‘赤ナス’、‘トナシム’の2種類の台木が適していると考えられた。
イチゴ 愛知県とのイチゴ共同育種 ‘系統A28’において、定植直後の給液管理の違いが収量および果実肥大性に及ぼす影響について調査した。
定植後1か月間の施肥量を20%増やした多肥区において、作付終了時の収量は6.0t/10aとなり、標準施肥区と比較して約26%増収した。特に冬期の収量が増える傾向がみられた。また、可販果一果重については13.5gで標準施肥区と変わらず、多肥による果実肥大の改善はみられなかった。
電熱線利用型局所(株元)
加温技術の効果確認
電熱線を用いてクラウン周辺部の培地を加温(15℃以下で加熱)したが、加温しない場合に比べて明らかな増収効果がみられた。
‘章姫’において、作付終了時の収量は、株元加温区(以下、加温区)が5.8t/10aとなり、株元無加温区(以下、無加温区)よりも約23%の増収となった。可販果一果重は、加温区が18.7g/果であり、無加温区よりも約1.7g増加し、果実肥大がみられた。また、秀品率は、加温区で91.8%であり、無加温区よりも約1.6%低下した。
‘紅ほっぺ’でも同様の傾向がみられた。‘とちおとめ’は他品種よりも草勢が弱く、増収効果はあまりみられなかった。
スプレーマム 9月開花新品種展示 平成26年7月3日に66品種を定植。開花調査は9月11日から順次行い、9月25日に専門会議を開催した。上位4品種は、精興園の‘セイマニサ’、‘セイマヨール’、‘セイムーラ’、‘セイリムー’であった。
1月開花新品種展示 平成26年10月30日に77品種を定植。開花調査は1月9日から順次行い、1月15日に専門会議を開催した。上位4品種は、ジャパンアグリバイオの‘シュプール’、‘マカロン’、デリフロールジャパンの‘シルビア’、‘DB32502’であった。
5月開花新品種展示 平成27年3月12日に85品種を定植。開花調査は5月23日から順次行い、5月28日に専門会議を開催した。シングル咲きの上位品5種は、愛知県の‘スプレー愛知秋1号(あいむルーラ)’‘11-SF-13-7’‘11-SF-21-6’、デリフロールジャパンの‘シルビア’、精興園の‘セイヒラリー’であった。他の花型の上位5品種はデリフロールジャパンの‘マティス’‘オリサバ’‘DB47319’、ジャパンアグリバイオの‘ドリア’‘マカロン’であった。
輪ギク 輪ギク有望品種の選定
(JA愛知みなみオリジナル品種含む)
8月開花・9月開花の作型で、愛知県2系統、種苗メーカー7品種13系統、JA愛知みなみ三次1系統、二次50系統を実証展示した。愛知県、JA愛知みなみの系統は登録に至らなかったが、愛知県の1系統は来年度も試作を継続し、JA愛知みなみの1系統を平成27年度の三次選抜とした。
秋系輪ギク有望品種の選定
(JA愛知みなみオリジナル品種含む)
1月開花・2月開花の作型で、愛知県4系統、種苗メーカー7品種9系統、JA愛知みなみ1品種、二次選抜48系統を実証展示した。愛知県、JA愛知みなみの系統は登録に至らなかったが、愛知県の1系統は来年度も試作を継続し、JA愛知みなみの3系統を平成27年度の三次選抜とした。
炭酸ガス施用効果の確認 2月開花作型において、‘精興の誠’、‘早生神馬’を標準品種とし、炭酸ガス施用(施用濃度:550〜600ppm)の有無による生育・品質への影響を調査した。結果として、平均草丈が‘精興の誠’+9cm、‘早生神馬’+16cmとなり、開花までの日数が1〜3日長くなったが、消灯までの日数を短くすることで対応できると考えられる。また、品質調査結果として、階級L以上の発生率が増加する傾向がみられた。
エコマム効率生産・流通体系の実証
(共同研究:「実用化技術」)
同一ほ場年4作(秋彼岸→年末→春彼岸→6月)栽培は、課題は残されているが可能であり、気象条件に左右されやすい春彼岸、年末作型においては、一定以上の管理温度を保つことや、低温開花性品種、高伸長性品種を導入することにより、切り花長、出荷期間内採花率を高めることが可能。
秋彼岸作型においては、生産の安定性、草丈、品質の確保等を考慮し、発根苗を使用することが望ましい。また、高温による開花遅延が問題となることが多く、耐暑性品種の導入や、施設の遮光、高温対策が不可欠となる。