最新の病害虫情報

新着情報

※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(9/29更新)

気になる作物をクリック!

 
イネ ダイズウンシュウミカン モモ
ブドウ カキ 果樹共通 キャベツ
イチゴ 野菜共通 キク(露地)
                       
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イネ
いもち病(穂いもち)
紋枯病
トビイロウンカ
ツマグロヨコバイ やや少ない
ニカメイガ やや多い
コブノメイガ
フタオビコヤガ
斑点米カメムシ類
ダイズ
ハスモンヨトウ やや多い
シロイチモジヨトウ やや多い
オオタバコガ やや多い
吸実性カメムシ類
ウンシュウミカン
黒点病 やや少ない
ミカンハダニ やや多い
チャノキイロアザミウマ
モモ
せん孔細菌病 少ない
モモハモグリガ
カキ
炭疽病
うどんこ病
果樹共通
果樹カメムシ類 やや多い
キャベツ
黒腐病
黒すす病 やや多い
ブロッコリー
黒すす病 多い
キャベツ、ダイコン、ハクサイ
コナガ
ハイマダラノメイガ やや多い
イチゴ
炭疽病 やや多い
ハダニ類 やや多い
トマト(施設) コナジラミ類 やや多い
野菜共通
ハスモンヨトウ やや多い
シロイチモジヨトウ やや多い
オオタバコガ やや多い
キク(露地)
白さび病 やや少ない
アブラムシ類
ハダニ類 やや多い
アザミウマ類 やや多い
ハスモンヨトウ やや多い
オオタバコガ やや多い

イネ


  • 紋枯病
     気温が高すぎたためか8月下旬の発生量はやや少ない状況ですが、今後、気温がやや低下して降雨があると本病が発生しやすい条件となり、あいちのかおりなどの普通期栽培では上位葉鞘に進展する可能性もあります。発生ほ場では発病株や畦畔沿いの雑草で病原菌の菌核が形成され、翌年の第一次伝染源になります。
    【対策】
     多数の稲株で病斑が上位葉鞘に進展し始めたが収穫まで日数がある場合は、バリダシン液剤5【U18】(収穫14日前まで)などで至急防除しましょう。また、畦畔際から見て多くの株元に病斑がある多発水田では、次年度対策として冬季に病原菌の越冬場所となるイネ科等の畦畔雑草を除去するとともに、次作では本病に適用がある薬剤による種子塗抹または育苗箱施用を行いましょう。
  • ニカメイガ
     昔からの稲の大害虫ですが、近年、発生が増加傾向にあります。麦あとの水稲など収穫期が遅い水田で多発すると、収穫期までに水田全体に被害が広がる場合もあります。今年も7月から8月にかけて第一世代幼虫による心枯れにより坪状に生育が劣る被害が散見される地域がありました。被害が大きくなるのは第二世代幼虫による茎への食入で、穂の出すくみや不稔による白穂の発生を起こします。この幼虫は収穫期まで隣接株に次々に移動し食害を続けますので、放置すると被害が拡大します。海部地域では8月に成虫が多数誘殺された地域があり、遅い作型では特に注意が必要です。なお、白穂はバッタ類による茎の加害や穂首いもちなどでも発生しますが、本虫による被害は茎の株元に近いところに幼虫が侵入した穴があり、茎を引くと抜けやすいので見分けられます。
    【対策】
     収穫まで日数がある水田で幼虫による白穂の被害が増加している場合は、早急にパダンSG水溶剤【14】やディアナSC【5】などを散布して被害の拡大を防ぎます。薬剤を使用する場合はラベルに記載された収穫前日数の制限を遵守してください。なお、多発ほ場では、秋冬期に幼虫の越冬場所となる刈取り後の稲株のすき込みや畦畔のイネ科雑草を株元まで除去するとともに、次作では本虫に適用がある箱施薬剤を利用しましょう。
  • コブノメイガ
     国内では越冬できないとされ、トビイロウンカと同様に梅雨期に大陸からの気流に乗って飛来しますが、発生量は平年並です。幼虫は主に止葉を縦に綴ってその中で表皮を残し食害するため、多発すると水田が白っぽく見えます。
    【対策】
     葉は食害しますが穂は食害せず、また越冬できず次年度には影響しないため、多発しなければ防除は不要と思われます。多発しているならば、収穫前日数に注意しパダンSG水溶剤【14】やディアナSC【5】などで防除します。
  • 斑点米カメムシ類
     近年、イネカメムシが県内各地で多発し、不稔籾や未熟粒、斑点米の発生で収量や品質を大きく低下させています。県からは今年も注意報が発表されましたが、昨年や一昨年に比べやや少ない地域が多い状況であり、適期防除と薬剤選定が的確に実施された成果と思われます。
     ただし、これまでイネカメムシの被害が少なかった地域で増加していたり、斑点米を引き起こす能力が高い大型カメムシ(ミナミアオカメムシやクモヘリカメムシ)が畦畔で多発している事例があります。
    【対策】
     9月中旬以降はほとんどの作型で出穂期は過ぎていますが、もし収穫期まで期間があるがイネカメムシなど大型カメムシ類が水田内で散見されるなら、収穫前日数に留意して早急に追加防除を実施してください。スタークル(液剤10、顆粒水溶剤)【4A】やエクシードフロアブル【4C】、キラップフロアブル【2B】、トレボン乳剤【3A】などを散布します。なお、薬剤感受性低下を防ぐため、追加防除では前回とは薬剤系統の違う薬剤を使用してください。キラップ剤はイネカメムシの感受性が低下した地域がありますので、効果が低いとの情報があれば他剤を使用してください。
  • スクミリンゴガイ
     今年春は平年より多く発生し、発生地域も拡大しています。今年が暖冬であれば次年度の発生数はさらに増加する可能性もあります。被害が多発した水田では、秋から冬に越冬貝を減らす対策を実施し、次年度の被害減少につなげましょう。
    【対策】
     収穫期が9月末頃までで秋の取水が可能な水田では、秋期の石灰窒素散布は高い殺貝効果があり県の試験でも実証されています。概ね17℃以上の水温の時に3~4日間湛水して土に潜っていた貝を再び活動させた後で、農薬として適用のある石灰窒素を10アール当たり20~30kg(使用基準のとおり)散布すると、殺貝効果が発揮されます。気温と水温では若干の差はありますが、県内の平坦地域で平均気温が17℃を下回るのは10月下旬頃ですので、収穫後に早めに実施するとよいでしょう。
     多発田では、冬期には水田を浅くゆっくり耕うんして、浅い土中で越冬する貝を破壊したり寒さに当てて殺貝しましょう。

ダイズ


  • ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ
     各地域で被害が見られ、混在して発生している場合もあります。県は両種とも8月1日に県内全域で発生がやや多いとする注意報を発表しています。9月5日に大雨はありましたが、今後も平年より高温かつ少雨とする1か月予報(9月4日時点)が発表され両種の増殖に適した気象が続きますので、成熟期まで昨年以上に注意してください。
     なお、両種の主な見分け方として、幼虫ではハスモンヨトウは頭の後ろに一対の黒い紋があります。シロイチモジヨトウは同じ齢期のハスモンヨトウより一回り小さく、側面に白っぽい線があり気門周辺にはピンク色の紋があります。体色は両種とも多様です。いずれも葉に毛に覆われた卵塊を産み付けますが、ハスモンヨトウは黄褐色、シロイチモジヨトウは白っぽく比較的小さな卵塊です。いずれも孵化した幼虫はしばらく集団で葉を食害し、ダイズでは白変葉となり目立ちます。
    【対策】
     両種とも卵塊を見つけ次第除去するとともに、若齢幼虫が食害した白変葉や網目状の葉を早めに見つけ、幼虫が分散する前に防除しましょう。ハスモンヨトウにはトレボン乳剤【3A】、トルネードエースDF【22A】、プレバソンフロアブル5【28】、プレオフロアブル【UN*】など多くの適用薬剤があります。多発する場合はグレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】が効果的ですが、一部の薬剤では薬剤感受性の低下が報告されていますので同系統の薬剤を連用しないよう薬剤を選択しましょう。
     シロイチモジヨトウでは、ダイズに適用がある散布薬剤は8月末時点で微生物農薬であるBT剤【11A】の一部とプレオフロアブル、ブロフレアSCのみですので、ハスモンヨトウと混発している場合はハスモンヨトウの防除を主にして薬剤を選択すると良いでしょう。ただし、シロイチモジヨトウはジアミド系薬剤【28】の一部の薬剤などで感受性が低下しており、シロイチモジヨトウが防除後も残存するなら他系統の薬剤に切り替えてください。
  • オオタバコガ
     本虫は、発生が早い年は世代を重ねながら多発する傾向があります。今年は発生が早く、7月2日には発生は多いと予想する注意報が発表されています。
     卵は1卵ずつ産みつけ幼虫は単独で活動し、開花頃までの新芽付近に潜って食害します。集団にならず白変葉は発生せず、ヨトウ類に比べ発見が遅れがちです。幼虫は、ヨトウ類と異なり長い毛がまばらに生えています。開花期を過ぎると新たな発生は少なくなりますが、それまでに発生した幼虫は花や幼莢、莢の内部を食害し、見た目の発生が少なくても収量に直接影響します。
    【対策】
     は種時期が遅く開花期が遅い作型では、被害が多発しやすいので注意してください。また、莢への食入後や老齢幼虫は薬剤の効果が低くなるため、若齢幼虫を早期に発見して防除を徹底することが大切です。ダイズに適用がある散布薬剤はBT剤【11】の他にプレバソンフロアブル5【28】、グレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】、プレオフロアブル【UN*】などがありますが、いずれもハスモンヨトウにも適用がありますのでヨトウ類が併発する場合は同時防除による効率的な薬剤使用を検討してください。
  • 吸実性カメムシ類
     ダイズの子実を吸汁するカメムシにはミナミアオカメムシやイチモンジカメムシ、ホソヘリカメムシなど多くの種類がありますが、特に重要なのは広食性で水稲や果菜類などから飛来するミナミアオカメムシです。県が設置する予察灯への誘殺数はやや多く、また水稲畦畔で多発している地点があり、水稲収穫後に大豆ほ場に飛来する可能性があります。子実肥大終期まで加害が続き1株当たり1頭の発生密度でも20~50%の被害粒率になる場合があります。子実への被害が大きいと、茎葉が黄化せず青立ち状態になります。
    【対策】
     開花から概ね30~40日後の子実肥大初期の防除が効果的ですが、莢伸長期でも吸汁による落莢や板莢(不稔粒)を生じます。今年は例年より生育が進んだほ場も多く、早めから飛来に注意し確認すれば早急に防除しましょう。ほ場内で幼虫が確認されるなど発生が続けば、再度防除します。ミナミアオカメムシを対象とする防除ではピレスロイド系薬剤【3A】は効果が低い事例があるので、スタークル顆粒水溶剤・ダントツ水溶剤【4A】、キラップフロアブル【2B】等を使用すると良いでしょう。

ウンシュウミカン


  • 黒点病
     感染した枯れ枝から降雨のたびに胞子が飛散し、果実への感染源になります。発生量は一部の園地を除きやや少ない状況ですが、9月5日の大雨で果実への感染が起きている可能性はあります。
    【対策】
     枯れ枝は除去するとともに、常発園や枯れ枝が多い園は、感染を防ぐため降雨後にジマンダイセン(ペンコゼブ)水和剤【M03】、ナティーボフロアブル【3+11】などを散布します。なお、かんきつの種類によって薬剤の収穫前日数は違います。また、収穫前日数が長い薬剤もありますので、必ずラベルの表示事項を確認してください。
  • ミカンハダニ
     盛夏期はあまり増えませんが、気温が低下してくると再び急増し冬まで発生が続くので、この時期の防除は重要です。秋期には、葉より果実に寄生が多くなる傾向があります。
    【対策】
     発生時には、カネマイトフロアブル【20B】、ダニエモンフロアブル【23】、マイトコーネフロアブル【20D】などを散布します。ただし、ハダニ類は薬剤感受性が低下しやすいので、各系統ともに年1回の使用にとどめましょう。
  • チャノキイロアザミウマ
     果実への被害が見られ始めます。この時期の被害は果頂部が多くなり、灰白色から茶褐色の雲状の傷ができます。
    【対策】
     発生があればモスピラン顆粒水溶剤【4A】やディアナWDG【5】、コルト顆粒水和剤【9B】、コテツフロアブル【13*】などで防除します。ピレスロイド系薬剤【3A】も効果はありますが、在来天敵に影響してハダニ類が増加しやすいので注意しましょう。


モモ


  • せん孔細菌病
     この時期からは夏型枝病斑から病原細菌が風雨により飛散し、落葉痕などから樹体内に侵入し越冬します。今年の発生量は少ないのですが9月5日の風雨で感染が拡大していたり、今後の降雨で越冬伝染源量が多くなる可能性があります。
    【対策】
     発生が見られる園地では、9月中旬頃から10月にかけてICボルドー412などを2週間おきに2~3回程度散布し、越冬伝染源を減少させましょう。今後、台風等の風雨があり落葉すると、その落葉痕に病原細菌が感染して伝染源となりやすいので、防風ネットの補修などの防風対策を行うとともに、台風の接近前や前線に伴う降雨前にも予防散布を実施しましょう。

ブドウ


  • べと病
     8月の発生量は平年よりやや少なかったのですが、今後、気温が20~22℃に下がり降雨があると再び発生しやすくなります。発病葉は早期落葉し樹勢低下につながるとともに、次年度の伝染源になります。
    【対策】
     発生園では早期落葉と越冬伝染源量を減らすために、収穫後にICボルドー48Qなどの銅剤を定期的に散布しましょう。また、落葉は集めて園外で処分しましょう。

カキ


  • 炭疽病
     枝や果実の病斑上の胞子が降雨により飛散し、健全な果実や枝に感染します。25℃前後が適温であり9月から10月に降雨が多いと多発します。また、夏秋梢に形成された枝病斑は翌春の重要な伝染源になります。「早秋」や「富有」は発病しやすく注意してください。
    【対策】
     発病枝や発病果があれば早急に除去するとともに、オンリーワンフロアブル・スコア顆粒水和剤【3】、ナリアWDG【7+11】などで防除しましょう。台風が接近するなら事前に散布します。なお、他県ではQoI系薬剤【11】などで耐性菌が確認されていますので同一系統の薬剤の連用は避け、効果が低ければ他系統薬剤を使用してください。

果樹共通


  • 果樹カメムシ類
     昨年秋は多発し、カキやミカンなどで多くの被害がありました。今年も一部の果樹園では春に飛来があり被害が発生しました。夏以降はスギやヒノキ林などで育った新世代成虫が新たに林から離脱し、果樹園に飛来して加害します。県が設置したトラップへの成虫誘殺数は一部地域で8月に急増した事例があり、県内各地で飛来は始まっていると思われます。
    【対策】
     飛来前の予防散布の効果は低いので、園地及びその周辺における飛来の早期発見が重要です。予察灯の利用も効果的です。飛来を確認したら、カンキツ、カキ、ナシではモスピラン顆粒水溶剤・ダントツ水溶剤【4A】、アグロスリン水和剤【3A】などで防除しましょう。ナシでナシヒメシンクイの発生が見られる園地では、テッパン液剤【28】による同時防除が可能です。なお、果樹の種類により適用農薬やその使用方法は違うので、ラベルの表示事項を遵守してください。また、散布する場合は収穫前日数に注意するとともに、養蜂や養魚池など周辺環境に影響がないよう配慮してください。

キャベツ


  • 黒腐病
     台風や秋雨前線等による強い風雨があると、土壌中の病原細菌が雨滴で跳ね上げられて傷口や葉のヘリの水孔から侵入し、葉に外側に広がるV字型の黄色病斑が多発します。昨年秋の発生はやや多く、今年は9月5日に大雨があったため発生に注意してください。
    【対策】
     強風を伴う降雨が予想されれば、排水対策とともに降雨前後にクプロシールドやキノンドーフロアブル等の銅剤【M01】などを下葉にもかかるよう予防的に散布するとともに、発生があれば速やかにカスミンボルドー【M01+24】やバリダシン液剤5【U18】、カセット水和剤【24+31】など、抗生物質を含み治療効果がある薬剤を散布します。
  • 黒すす病
     最近、発生が多くなっています。葉では黒色小斑点を生じ、拡大して黒褐色斑点から輪紋となります。ブロッコリーの花蕾では小斑点を生じ腐敗し商品価値を落とします。病原菌は糸状菌で葉などの病斑に胞子ができ、空気伝染して被害が拡大します。発生ほ場では土壌に残った被害残渣で病原菌が残存し、降雨があると胞子が飛散して次作に感染します。
    【対策】
     下葉での発生初期に適用のある予防剤を散布し、その後は定期的に防除します。ただし、多くの薬剤で感受性低下が確認されている地域もあり、薬剤の選択は県普及課など指導機関や産地のJA等にご確認ください。作の終了後は残渣を持ち出すか地表面に出ないようにていねいにすき込んでください。

ブロッコリー


  • 黒すす病
     最近、発生が多くなっています。葉では黒色小斑点を生じ、拡大して黒褐色斑点から輪紋となります。ブロッコリーの花蕾では小斑点を生じ腐敗し商品価値を落とします。病原菌は糸状菌で葉などの病斑に胞子ができ、空気伝染して被害が拡大します。発生ほ場では土壌に残った被害残渣で病原菌が残存し、降雨があると胞子が飛散して次作に感染します。
    【対策】
     下葉での発生初期に適用のある予防剤を散布し、その後は定期的に防除します。ただし、多くの薬剤で感受性低下が確認されている地域もあり、薬剤の選択は県普及課など指導機関や産地のJA等にご確認ください。作の終了後は残渣を持ち出すか地表面に出ないようにていねいにすき込んでください。

野菜共通


  • ハイマダラノメイガ
     平年より早くから発生が見られます。今後も高温・少雨が続く予想から多発する可能性があります。幼虫は主に生長点付近を食害しますので、育苗期や定植後初期に加害を受けると甚大な被害になります。また芯部に潜ると発見がしにくく、手遅れになりがちです。
    【対策】
     キャベツ、ハクサイでは、育苗期から定植時までの予防対策としてベリマークSC【28】などの灌注、ダントツ粒剤【4A】やミネクトデュオ粒剤【4A+28】などの散布により防除しましょう。ダイコンでは、は種時にプリロッソ粒剤オメガ【28】などを処理しましょう。その後に発生があれば、フィールドマストフロアブル【4E】やプレバソンフロアブル5【28】などで1週間おきに2回程度防除します。他のチョウ目害虫との同時防除も考慮して薬剤を選択すると良いでしょう。なお、例示した薬剤を含め各作物ごとに適用農薬やその使用時期など使用方法は違いますので、ラベルの記載事項を遵守してください。

イチゴ


  • 炭疽病
     育苗ほ場の一部ですでに発生が見られ、9月は高温が予想されるため感染が拡大する可能性があります。病原菌の分生胞子は、水滴の飛散とともに周囲に広がり伝染します。葉の黒色病斑や萎凋症状だけでなく、ランナーや葉柄にわずかな黒色の楕円形病斑があればその株は感染しています。
    【対策】
     薬剤による発病後の治療は困難なため、発病が疑われる株及びその周辺の株は除去し、親株で発生した場合はランナーや子株も処分するなど、感染株を本ぽへ持ち込まない対策を徹底しましょう。病原菌は水滴で飛散しますので、かん水は水滴が葉面に跳ね上がらないよう水圧に注意します。規定量を超える薬液の過剰散布も避けます。地床では排水の徹底、高設では不要な下位葉・古葉を摘除し湿度を下げましょう。摘葉作業は晴天時に行います。育苗期の薬剤防除は、耐性菌が発生するリスクが少ない保護殺菌剤を主体としたローテーションによる予防散布に努めます。保護殺菌剤はベルクートフロアブル【M7】やオーソサイド水和剤80【M4】、ジマンダイセン水和剤【M3】などがあり、他の適用薬剤としてニマイバー水和剤【1+10】などがあります。なお、QoI系薬剤【11】は耐性菌が発生しており使用を控えるとともに、保護殺菌剤以外の薬剤は連用を避けてください。。
  • ハダニ類
     ほ場間で発生量に差が大きく、すでに多発したほ場も見られます。苗とともにハダニ類を本ぽに持ち込むと、定植後から多発し翌春まで続く場合もあります。9月は高温が続く予報から発生量はやや多くなると予想され、早めの対策が必要です。
    【対策】
     適用薬剤は多いので、同一系統薬剤は年1回の使用にとどめて感受性低下を防ぐとともに、感受性が低下しにくいピタイチやエコピタ液剤、サフオイル乳剤などの気門封鎖型薬剤を活用しましょう。特に、定植前後には苗の防除を徹底し、本ぽにハダニ類を持ち込まないようにしましょう。
     定植前の農薬登録のある炭酸ガスによる定植前のくん蒸処理や、サフオイル乳剤などによる苗浸漬処理は感受性低下の可能性が低い防除方法ですが、処理後はハダニ類に再び寄生されないよう育苗ほに戻さず速やかに定植しましょう。また、苗浸漬処理は薬害が発生しやすいため薬剤の使用方法や注意事項を遵守し、高温時は避け浸漬処理時間の厳守や薬剤の撹拌などに十分注意してください。薬剤の防除効果が低く毎年発生する場合は、本ぽにおけるミヤコバンカー等の天敵農薬の利用もご検討ください。

施設トマト


  • コナジラミ類
     近年、コナジラミ類が再び多発しています。今年も前作終盤で多発し、また高温が続いたことから屋外での発生は多く、トマトを始めとする施設野菜への飛び込みは気温の低下とともに増加すると予想されます。
     多くの作物でコナジラミ類の多発により排せつ物によるすす病が発生しますが、トマトでは黄化葉巻病や黄化病の病原ウイルスを保毒した少数のコナジラミが多くの株にウイルスを感染させるため、他作物以上に防除の徹底が必要です。黄化葉巻病はタバココナジラミがウイルスを媒介しますが、本虫は多くの薬剤に対し抵抗性を獲得したバイオタイプQ(バイオタイプとは、外観は同じだが遺伝子型や生物学的特性が異なる系統)が優占しています。また、黄化病はタバココナジラミとオンシツコナジラミが媒介します。
    【対策】
     この時期は、施設への侵入防止対策(入れない対策)と侵入後の初期防除(増やさない対策)を徹底しましょう。バイオタイプQは多くの薬剤で感受性が低下しているため、薬剤のみに依存しない総合的な対策が重要です。黄色粘着フィルム、光反射シート、天窓や出入口を含む開口部の防虫ネットの展張(網目0.4mm以内)などの物理的防除、施設周囲の雑草を含むコナジラミ寄生植物すべての除去やトマト残渣の施設外での埋設、黄化葉巻病耐病性品種の利用などの耕種的防除を実施します。
     薬剤防除は、効果が比較的高いベストガード水溶剤【4A】、アグリメック(ミニトマトは適用なし)【6】、ディアナSC【5】、アニキ乳剤【6】、コルト顆粒水和剤【9B】、ベネビアOD【28】などをローテーション散布しましょう。ただし、これら薬剤も成虫には防除効果が低下した事例が多くあり、効果が低い場合は別系統の薬剤に切り替えてください。サフオイル乳剤【未】などの気門封鎖剤は感受性低下の可能性は低く、少発生時に虫体に十分かかるよう7日間隔で2~3回程度散布すると効果的でしょう。なお、黄化葉巻病耐病性品種は感染しても病徴は出にくいのですがウイルスは保毒するため、コナジラミ防除は実施して地域内でのウイルスの密度を低下させましょう。訪花昆虫を導入している場合は影響日数が長い薬剤もありますので、ハチの購入元や農薬販売店、指導機関等に確認して薬剤を選定してください。また、トマトの適用がある薬剤でもミニトマトには適用がない場合がありますので、必ず薬剤のラベルを確認してください。

露地ギク


  • アザミウマ類
     一部の産地において、クロゲハナアザミウマが優占して被害が発生した事例があります。本虫の雌成虫は体長1.2~1.3mmでミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマよりやや小さくミナミキイロアザミウマとほぼ同じです。体色は黄色で胸部背板に黒褐色の斑模様があります。多くの作物に寄生し成虫で越冬します。従来は既存の適用薬剤で防除が可能でさほど問題にならなかったのですが、最近、複数の薬剤で感受性が低下したとの情報があります。
    【対策】
     薬剤散布では、株の内部まで届くように丁寧に散布してください。適用薬剤はトクチオン乳剤【1B】、アファーム乳剤【6】、コテツフロアブル【13*】など多いのですが感受性低下防止のためローテーション防除を行うとともに、散布しても効果が低い場合は、違う系統の薬剤に変更してください。
  • ハダニ類
     一部で多発ほ場が見られます。今後も高温が続く予想のため、発生量が少ないほ場でも急増する可能性があり注意してください。
    【対策】
     コロマイト水和剤【6】やカネマイトフロアブル【20B】など適用のある薬剤は多いのですが、薬剤の感受性低下が懸念されますので、年間の使用回数はなるべく各薬剤1回程度に止めるとともに薬剤系統間のローテーションに努めましょう。また、エコピタ液剤など感受性低下を起こしにくい気門封鎖型薬剤を活用しましょう。

野菜・花き


  • ハスモンヨトウ
     昨年も多発し露地野菜などで被害が増加しましたが、今年もすでに発生量が多く8月1日に注意報が発表されています。今後も高温少雨傾向が続く予報から、昨年同様に多発する可能性があります。本虫の生態等はダイズの項を参考にしてください。
    【対策】
     定植前であれば薬剤の潅注や散布による予防が効果的です。キャベツでは、プレバソンフロアブル5・ベリマークSC【28】などの灌注、ミネクトデュオ粒剤【4A+28】・プリロッソ粒剤オメガ【28】などを処理します。本ぽでは中齢以降の幼虫は薬剤の効果が低下するので、卵塊を除去し若齢幼虫が集団で加害しているうちに防除しましょう。防除薬剤はキャベツではアニキ乳剤【6】やコテツフロアブル【13】、トルネードエースDF【22A】、グレーシア乳剤・ブロフレアSC【30】など多くありますが、各作物で適用農薬や使用方法は違いますのでラベルの表示事項を遵守してください。また、本虫は薬剤感受性が低下しやすいので、作物ごとの適用薬剤をローテーションで使用するとともに、若齢幼虫でも効果が低ければ他系統に変更してください。効果の高い薬剤は多発予想時などの切り札剤として効果的に使用してください。なお、オオタバコガやシロイチモジヨトウなど他のチョウ目害虫が混在する場合もあるので、個別の害虫ごとに薬剤を使用するのではなく、同時防除を考慮して薬剤を選定し、薬剤使用回数を必要最少限に抑えましょう。
  • シロイチモジヨトウ
     主にネギの重要害虫でしたが、近年では多くの作物で被害が報告されています。今年も県内各地で平年より多く発生しており、県ではハスモンヨトウと同様に8月1日に注意報を発表しています。今後も高温傾向が続く予報から多発する可能性もあります。生態等はダイズの項を参考にしてください。
    【対策】
     ハスモンヨトウと同様に卵塊を除去したり、若齢幼虫が集団で加害しているときに防除しましょう。本虫に適用のある薬剤はネギ以外はまだ少なく、また作物によって適用薬剤がかなり違いますので留意してください。ハスモンヨトウが同時に発生している場合も多いので、ハスモンヨトウとの同時防除による薬剤の効率的な使用も検討しましょう。なお、一部のジアミド系薬剤【28】などで感受性が低下した事例があり、ハスモンヨトウ対象に防除しても類似した幼虫が残る場合はシロイチモジヨトウの可能性があり、その場合は別系統の薬剤を使用してください。
  • オオタバコガ
     今年も発生時期は早く、世代を重ねるごとに増加しやすいため、県からは7月2日に早期発見と防除を呼び掛ける注意報が発表されています。本虫はヨトウ類と違い単独で行動し花蕾や結球内などに潜る性質があり、発見が遅れやすく薬剤も効きにくくなります。
    【対策】
     幼虫は集団で加害することはありませんので、数頭でも発生を確認すればほ場全体で発生している可能性があります。早期発見に努めて早期防除を徹底しましょう。特にキャベツ、レタスなど結球作物では内部に潜ると防除が困難になりますので、結球初期までに予防散布を行いましょう。キクでは着蕾後に加害されやすいので、着蕾以降は早期発見と予防散布に努めましょう。なお、被害部位に卵や幼虫が付着している可能性があるため、残渣は放置せずほ場外へ持ち出し処分してください。各作物の適用薬剤はハスモンヨトウに比べ少ないのでラベルの表示事項で確認するとともに、同時に発生しやすいハスモンヨトウとの同時防除も検討して薬剤を選定してください。


☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

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