最新の病害虫情報

新着情報

※【愛知県発表】は愛知県が運営する「あいち病害虫情報」の情報を掲載しております。

今月の防除のポイント(7/31更新)

気になる作物をクリック!

         
イネ ダイズウンシュウミカン ナシ
モモ ブドウ カキ 果樹共通
イチゴ 野菜共通 キク(露地)
                       
緑下線部を押すと詳細に移動します。
※画面右下のPAGE TOPボタンでページ上部に移動できます。
イネ
いもち病
紋枯病
白葉枯病
トビイロウンカ
セジロウンカ
ツマグロヨコバイ
斑点米カメムシ類 やや多い
ニカメイガ やや多い
フタオビコヤガ やや多い
イチモンジセセリ
ダイズ
オオタバコガ 多い
ウンシュウミカン
そうか病 やや多い
黒点病 やや少ない
ミカンハダニ
チャノキイロアザミウマ やや多い
ナシ
黒星病
うどんこ病
ナシヒメシンクイ やや多い
ハダニ類 やや多い
モモ
せん孔細菌病 少ない
灰星病
ナシヒメシンクイ やや多い
ハダニ類 やや多い
ブドウ
べと病
黒とう病 やや多い
チャノキイロアザミウマ
カキ
落葉病類
うどんこ病 少ない
コナカイガラムシ類 やや多い
果樹共通 果樹カメムシ類 やや多い
イチゴ 炭疽病 やや多い
野菜共通 オオタバコガ やや多い
キク(露地) 白さび病
アブラムシ類
アザミウマ類 やや多い
ハダニ類 やや多い
オオタバコガ 多い

イネ


  • いもち病(葉いもち)
     葉いもちは湿潤条件が10時間以上続くと感染しやすく、感染すると1週間後頃から葉に紡錘型の病斑が生じ、急速に感染が進むと稲全体が燃えたように萎縮し枯れ上がる「ずりこみいもち」と呼ばれる被害になることもあります。「コシヒカリ」など抵抗性が弱い品種では、本病が上位葉に進展すると穂いもちの発生につながりますので注意してください。
     今年は感染に好適な気象条件(日本植物防疫協会提供のデータによる)が6月10日前後に県内各地で確認され一部地域では発病が見られましたが、今年は梅雨明けが早く30℃を超える高温時は胞子形成が抑えられるため、発生は平年並と予想されます。
    【対策】
     葉に紡錘形の病斑を確認し上位葉に進展した場合や、病斑の中央部が灰白色で周縁が紫黒色の急性型病斑が見られたら、ブラシンフロアブル【U14+16.1】ダブルカットフロアブル【16.1+24】、オリブライト250G【11】 などで直ちに防除しましょう。出穂後に葉いもちが穂いもちに移行すると収量低下に直接つながりますので、見つけ次第防除してください。
  • 紋枯病
     本病の生育適温は28〜32℃と他の主な病害より高いため、梅雨期以降に高温条件が続くと病斑が上位の茎葉に進展して減収につながります。前年発生した水田では土壌に病原菌の菌核が残っているため、昨年より多発する可能性があります。ただし、近年の真夏の高温は本病の適温も超えるため、盆過ぎに気温がやや低下してから上位に進展する傾向があります。
    【対策】
     あいちのかおりなど普通期栽培では、この時期に株元の発病株率が概ね10〜20%以上であれば、上位へ進展しないよう幼穂形成期から穂ばらみ期までにモンカット粒剤【7】やオリブライト250G【11】などで防除します。上位へ進展し始めたり上位葉鞘で病斑があれば、バリダシン液剤5【U18】など治療効果の高い薬剤を散布し、被害の拡大を防ぎましょう。
  • 白葉枯病
     本病の病原菌は細菌であり、畦畔雑草から水を伝って葉の水孔や傷口から感染し、葉脈に沿って細長い波形の黄色から白色の病斑を生じます。大雨や強風、冠水によってまん延しやすく、水田全体で葉が白く枯れ上がり減収につながります。尾張西部や海部地域では発生が多い地域がありますが、最近では三河地域でも見られるなど発生地域は拡大しています。コシヒカリやあいちのかおりSBLは比較的強い品種ですが、菌密度が高いと発病する可能性はあります。
    【対策】
     細菌病であり症状が発生した後の治療は難しいため、出穂3〜4週間前の予防散布が効果的です。早植栽培や普通期栽培で近年発生が多い地域や大雨で冠水したほ場があれば、オリゼメート粒剤【P02】などで被害が拡大する前に予防してください。
  • トビイロウンカ・セジロウンカ
     トビイロウンカ(秋ウンカ)は、2020年に県内各地で坪枯れを発生させ大幅な減収をもたらした害虫です。日本では越冬できず、梅雨前線など中国大陸からの気流に乗って毎年飛来します。今年の梅雨入りはほぼ平年並であり、梅雨入り後の6月中旬には本県への飛来に好適な気象条件(日本植物防疫協会提供のデータによる)が連続して出現しました。その後は梅雨明けが早く7月初旬まで飛来好適条件は確認されていませんが、6月中旬に多数飛来した可能性はあり、しばらくは県から発表されるウンカの予察情報に留意してください。
     セジロウンカ(夏ウンカ)は、トビイロウンカと同様に大陸から飛来します。トビイロウンカより多数飛来し、飛来が多かったほ場では出穂前に葉の褐変等が見られる場合がありますが、出穂期を過ぎると稲から離脱しますので坪枯れが生じることはありません。
    【対策】
     今後、県から発生が多いと予想する情報が発表されたならば、長期間残効がある成分(ゼクサロン、アレス、リディア)を含んだ育苗箱施薬剤を使用していない水田では、トレボン乳剤【3A】やスタークル液剤10・スタークル豆つぶ【4A】、エクシードフロアブル【4C】、エミリアフロアブル【4F】、オーケストラフロアブル【UN*】(ウンカ類幼虫)など を株元に薬剤が届くよう散布しましょう。さらに、県から注意報や防除を促す情報が発表されたり近隣を含むほ場の株元で増殖を確認したならば、箱施薬剤を利用したほ場でも上記薬剤などによる防除が必要になります。
     なお、セジロウンカが出穂前に多発しているほ場合があれば、上記薬剤を株元まで入るよう散布してください。なお、斑点米カメムシ類防除と共通する薬剤が多いので、同一系統薬剤の連用にならないよう、また使用回数制限に留意して薬剤を選択してください。
  • 斑点米カメムシ類
     斑点米カメムシ類のうちイネカメムシは、近年、県内各地で出穂期頃から水稲ほ場に多数飛来して籾を吸汁し、不稔籾や斑点米を生じさせて減収や等級低下の原因となっています。本虫は成虫がほ場周辺の土手や雑木林の枯葉の下などで越冬し、まず、地域内で出穂が早い品種に出穂期前から飛来して出穂後の籾を吸汁するとともに産卵し、次世代幼虫や成虫も籾を吸汁します。成虫はその後、次に出穂するほ場に移動するため、各作期で被害が発生します。
     イネカメムシ以外の斑点米カメムシ類には、大型のミナミアオカメムシやクモヘリカメムシ、小型のカスミカメ類などがあり、籾を吸汁して主に斑点米による被害を生じます。
    【対策】
     イネカメムシと他の斑点米カメムシ類では防除適期が違います。イネカメムシでは、まず不稔籾対策のため出穂期(穂の先端が顔を出した茎が全体の半数の時期。最近の品種は止葉の下で出穂するため見落としやすい。)を逃さないよう、スタークル(液剤10、顆粒水溶剤)【4A】やエクシードフロアブル【4C】、キラップフロアブル【2B】を散布します。また、散布後7〜10日後に再度散布して斑点米の発生も防ぎましょう。粒剤は液剤等に比べ効果は低いのですが、粒剤しか散布できない場合はスタークル粒剤なら出穂の3〜5日前、キラップ粒剤なら出穂の7〜10日前を目安に散布します。いずれも周辺環境への負荷を減らすためにも散布後1週間以上は止水してください。
     なお、キラップ剤はイネカメムシの感受性が低下した地域が確認されており、効果が低ければ他の剤に切り替えてください。また、薬剤感受性低下を防ぐため、同一系統薬剤の連用は避けましょう。
     イネカメムシの発生がなくミナミアオカメムシなど他の斑点米カメムシによる斑点米が問題となる地域では、薬剤防除は出穂7〜14日後頃を目安とし、上記の液剤等を散布しましょう。また、耕種的な対策として出穂2週間前までを目安として畦畔など水田周辺の草刈りと本田内のヒエ類の除去を行い、カメムシ類の棲み家をなくします。ただし、出穂間際の除草はカメムシ類を本田内に追い込みますので、やむを得ず除草する場合は本田防除を併せて行います。
  • ニカメイガ
     6月には平坦部の各地で、第1世代の幼虫(ニカメイチュウ)による心枯れや葉鞘褐変、流れ葉の被害が見られたほ場があります。発生が見られる地域では、今後、第2世代幼虫が茎に潜入し食害することによる白穂の多発につながる可能性があります。食入された茎は簡単に抜け、茎の下部には小さな穴が開いています。収穫されるまで近隣の茎に移動して加害を続けますので、遅い作型では被害が拡大しやすく、激発時はウンカと似た坪枯れにもなります。例年の発生が多い地域では、本虫に適用がある箱施薬剤を使用しなかった場合や茎が比較的太い品種の栽培(もち米や飼料用米を含む)、麦跡栽培など遅い作期で被害が大きくなりやすく注意が必要です。
    【対策】
    7月から8月にかけて第1世代成虫が発生し産卵します。県やJAが設置しているトラップにおける成虫(体長10〜12mmくらいでやや細長い灰白色の蛾)の発生ピークの数日〜7日後(粒剤はピーク時)が薬剤散布適期です。ピークが把握できない場合は、過去の発生消長やほ場で成虫の目立つ頃などを参考に成虫の増加時期を想定し、浸透移行や残効があるパダンSG水溶剤【14】 などを散布します。
  • フタオビコヤガ
     幼虫はイネアオムシと呼ばれ、シャクトリムシ状に歩行する2cmくらいの淡緑色のイモムシです。幼虫が葉を食害し、幼齢では表面にイネミズゾウムシに似た白いかすり状の食痕ができ、中齢以降は葉縁を階段状に食害します。今年は高温のため、平年より早くから発生したほ場があります。
    【対策】
     食害が多ければ、ディアナSC【5】やパダン粒剤4【14】などで防除します。
  • イチモンジセセリ
     幼虫はイネツトムシと呼ばれ、幼虫によりイネの葉をつと状に綴って食害する被害が生じます。今年は平年並の予想ですが、被害が発生する地域では早めの防除が大切です。
    【対策】
     葉を綴った後では防除しにくいため、若齢幼虫のうちに防除します。被害が大きいのは第2世代幼虫であり7月下旬〜8月上旬にかけて上位葉を加害しますので、この時期に食害と若齢幼虫を早く発見し、葉を綴る前にディアナSC【5】やパダンSG水溶剤【14】などで防除します。

ウンシュウミカン


  • そうか病、黒点病
     そうか病は感染時期が早いと葉や果実にいぼ型、それ以降は表面がかさかさしたそうか型の病斑になります。今年も発生が多い地域があり、防除が不十分な園地では多発事例もあります。病原菌は雨を介して若い葉や幼果に感染し、さらに他の葉や果実に二次感染しますので、降雨が多いと感染拡大に注意が必要です。   黒点病も枯れ枝や落ちているせん定枝上の胞子が伝染源となり、雨滴により胞子が果実や葉へ伝搬して感染が広がります。発生量はやや少ない予想ですが、そうか病と同様に降雨で果実へ感染しやすいため同時防除が効果的です。
    【対策】
     そうか病と黒点病の同時防除として、ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】(そうか病の適用はみかんのみ)やファンタジスタ顆粒水和剤【11】、フロンサイドSC【29】などを散布しましょう。なお、そうか病発生園は次作では春の発芽初期や落弁期の防除を徹底します。
  • ミカンハダニ
     各産地で発生園が見られます。盛夏期は増加が抑制されますが、その後に気温が下がり始めると急増して冬まで発生が続くので、この時期に発生があれば防除は効果的です。
    【対策】
     発生初期にカネマイトフロアブル【20B】、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニエモンフロアブル【23】などを散布します。ハダニ類は薬剤感受性が低下しやすいので、各薬剤ともに年1回の使用にとどめましょう。なお、これらの剤はミカンサビダニにも適用があります。
  • チャノキイロアザミウマ
     発生量は平年並の予想ですが、周囲の防風垣で多発している園地も見られます。この時期はみかんのがくと果皮の隙間で加害することが多く、果梗部にリング状の傷ができます。
    【対策】
     県の7月2日発表の予察情報によれば、防除適期とされる次の成虫の発生ピークは南知多で7月22日頃、蒲郡市で7月19日頃等と予測されていますが、高温により早くなる可能性があります。その後の防除適期については最新の県予察情報をご覧ください。 防除薬剤はモスピラン顆粒水溶剤【4A】やディアナWDG【5】、コルト顆粒水和剤【9B】、コテツフロアブル【13*】などがあります。ピレスロイド系の薬剤【3A】も効果はありますが、在来天敵を減少させハダニ類が増加する可能性があるので注意してください。



ナシ


  • 黒星病
     病原菌の胞子は降雨で水分を得て飛散し、葉や果実にススを塗ったような病斑を作り果実の商品価値を落とすため重要な病害です。今年の葉の被害はほぼ平年並ですが、まとまった降雨があると果実への感染が広がる場合もあります。
    【対策】
     発病葉や発病果は見つけ次第除去するとともに、昨年多発した園や発生した園では、カナメフロアブル・パレード15フロアブル【いずれも7】、ナリアWDG【7+11】、ミギワ20フロアブル【52】など治療効果もある薬剤で、かけ残しがないよう防除を継続しましょう。ただし、収穫時期が近いので収穫前日数に留意するとともに、耐性菌が発生しやすいため同一系統薬剤の連用は避けてください。
  • ナシヒメシンクイ
     県のフェロモントラップにおける誘殺数がやや多い地域があり、発生量はやや多い予想です。幼虫は果実に食入して商品価値を落とします。有袋栽培でも破れ目や果実との接触部から食入する場合があり、発生があれば袋掛け後も防除は必要です。
    【対策】
     この時期になると本虫の世代は混在し幼虫が連続して発生しているため、概ね7〜10日間隔でスタークル顆粒水溶剤【4A】、ディアナWDG【5】、フェニックス顆粒水和剤・テッパン液剤【28】などで、幼虫が果実に食入する前に防除します。
  • ハダニ類
     高温で降雨量が少ない気象条件で増殖しやすいため、梅雨明け後に急増する傾向があります。今作では梅雨明けが早く高温が続いているため、例年より早くから急増する可能性があります。発生が多いと葉の黄化や落葉により果実の品質が低下するとともに、収穫後も多発すると早期落葉により樹勢が低下し次作に影響します。
    【対策】
     発生しやすい地点があれば重点的に観察するなど園内での早期発見に努め、多発する前にコロマイト乳剤【6】、カネマイトフロアブル【20B】、マイトコーネフロアブル【20D】、ダニコングフロアブル【25B】等で防除します。感受性の低下を防ぐため、同一系統の薬剤を連用しないよう注意しましょう。薬剤を多用しても多発する園地では、次年度には天敵農薬(ミヤコバンカー)の活用もご検討ください。

ブドウ


  • べと病
     べと病菌は糸状菌ですが主に雨水で伝染し、降雨があると短期間で被害が広がります。果実の被害が重要ですが、葉の被害も早期落葉につながり樹勢が低下します。今年は梅雨明けが早く発生量は平年並ですが、例年発生しやすい園地や発生した園地では降雨による感染拡大に注意します。
    【対策】
    発病葉や発病果は園外に持ち出し処分します。また、感染すると発病まで7〜10日と短いため、無袋栽培やまだ袋かけ前であれば概ね10日以内の間隔で新梢にも十分かかるよう、収穫前日数が比較的短いランマンフロアブル【21】(収穫14日前まで)やレーバスフロアブル【40】(収穫7日前まで)などで防除します。ただし、本病は耐性菌が発生しやすいため同系統薬剤の連用は避けます。QoI系【11】のアミスター10フロアブル、ストロビードライフロアブルは耐性菌を確認しており、使用は控えましょう。適用薬剤には収穫前日数が長い薬剤が多いことや、袋かけ前の散布は果粉溶脱や薬害を生じる事例がありますので、使用する薬剤のラベルの記載事項は必ず確認してください。袋かけ後は、使用時期の制限がなく耐性菌も出にくいICボルドー48Qなどの無機銅剤で防除しましょう。
  • 黒とう病
     5月下旬には発病が見られた園地があるなど、新梢での発病はやや多い状況です。病原菌はべと病と同様に雨滴で分生胞子が飛散して二次感染しますので、降雨があると発病が増加します。シャインマスカット等の欧州系品種は、本病に 弱い傾向があります。
    【対策】
     苗木や若木、遅伸びした新梢や徒長枝は感染しやすいので注意し、発病部位は見つけ次第除去し園外へ持ち出し処分しましょう。袋かけまでは晩腐病との防除を兼ねた定期的な散布が望ましく、降雨前の予防散布は効果的です。袋かけがまだなら、直前までオンリーワンフロアブル【3】、フルーツセイバー【7】、スクレアフロアブル【11】、ホライズンドライフロアブル【11+27】(べと病にも適用あり)などで予防散布を行います。袋かけ前の薬剤使用時はべと病と同様に果粉溶脱等の薬害が発生しないよう、薬剤のラベルの注意事項を必ず確認してください。
  • チャノキイロアザミウマ
     発生量は平年並を予想していますが、一部で発生が多い園地も見られます。本虫の加害により葉や穂軸には淡褐色のかすり状の斑点、果実は灰白色の輪状や雲状のさびを生じ、商品価値が低下します
    【対策】
     防除適期は成虫の発生ピークです。県の7月2日発表の予察情報では、直近での防除適期は大府で7月18日頃、岡崎・豊橋で7月20日頃とされていますが高温で早まる可能性があります。その後の防除適期は最新の予察情報をご確認ください。なお、袋かけ前であれば直前に防除すると効果的です。袋かけは止め金を穂軸にしっかりつけて隙間をなくしますが、多発時は穂軸の加害や袋内への侵入も起きますので、袋かけ後も発生があれば、スタークル顆粒水溶剤・ダントツ水溶剤【いずれも4A】、コルト顆粒水和剤【9B】、コテツフロアブル【13*】等を散布します。

カキ


  • 落葉病類
     円星落葉病及び角斑落葉病ともに感染後の潜伏期間が長く、主な感染時期は盛夏前の梅雨などの降雨であり、例年発生する園地ではこの時期の感染防止対策が効果的です。秋に病斑に気付いてから防除しても効果は見込めません。
    【対策】
     例年の発生が多い園地では、ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】やオーソサイド水和剤80【M04】などで早めに予防散布を行いましょう。なお、うどんこ病や炭疽病が発生していれば、オンリーワンフロアブル、スコア顆粒水和剤【いずれも3】やナリアWDG【7+11】などで同時防除する方法もあります。なお、同一系統の薬剤は連用しないよう注意しましょう。

果樹全般


  • 果樹カメムシ類
     果樹を加害するカメムシ類(チャバネアオカメムシ及びツヤアオカメムシなど)は、昨年秋に各種果樹で多発しました。今年も県では5月22日に越冬世代成虫の発生量は多いとする注意報を発表しています。この時期までは越冬世代成虫が果樹園へ飛来して加害しますが果樹園で産卵・増殖することはなく、今後は、林地でヒノキなどの球果を吸汁して繁殖した次世代成虫が球果を食べつくすと、新たに果樹園に飛来します。今年は例年以上に高温が続いており、林地からの離脱が早くなる可能性もありますので、今後、県から発表される予察情報に留意してください。
    【対策】
     園内で発生を確認したら、比較的速効かつ残効性もあるネオニコチノイド系【4A】の薬剤 や、チョウ目害虫などと同時防除ができるテッパン液剤【28】(カンキツはカメムシ類の適用なし)等で防除しましょう。なお、作物ごとにカメムシ類に適用のある農薬は違いますので、薬剤使用時はラベルの表示事項などで確認してください。

イチゴ


  • 炭疽病
     6月下旬から9月下旬頃までの高温期に多く発生し、育苗ほ場における風雨や頭上かん水は病原菌の胞子を飛散させ感染拡大を助長します。主な病徴は局所的症状(葉柄やランナーの黒色陥没病斑や葉の汚斑状病斑)と全身症状(萎凋枯死)ですが、局所的症状でも株全体に感染が進んでいる可能性があります。本県では近年の被害が多く、育苗ほ場での対策をしっかり実施して感染した苗を本ぽへ持ち込まないことが重要です。
    【対策】
     薬剤だけでなく総合的な対策が必要です。典型的症状である株の萎凋枯死、ランナーや葉柄及び葉の黒色円形病斑だけでなく、発病が疑われる症状の場合も周辺の苗を含め除去しましょう。かん水は、水滴が跳ね上がらないように水圧に注意します。排水対策、不要な下位葉・古葉の摘除も予防になります。薬剤は定期的な予防散布、特に降雨前後の防除が効果的ですが、所定量以上に散布水量を多くする必要はありません。県農業総合試験場の試験では、降雨前の散布でも比較的効果が高い予防剤はセイビアーフロアブル20【12】、オーソサイド水和剤80【M04】、ペンコゼブ(ジマンダイセン)水和剤【M03】などであり、育苗ほ場ではこれらの薬剤を中心にローテーション散布を行います。

露地ギク


  • 白さび病
    平年並の発生ですが、降雨が多いとまん延しやすくなります。病徴は葉の裏側に白い小斑点やいぼ状の斑点ができ、がくや茎にも症状が見られます。
    【対策】
     まん延してからでは防除は困難ですので、発病初期までの予防散布が重要です。病斑のある葉があれば摘み取って処分した上で、薬剤が十分かかるように散布しましょう。潜伏期間は1週間程度ですので、散布1週間後に観察して病斑の発生している葉があれば摘み取りましょう。適用のある薬剤はカナメフロアブル【7】、アミスター20フロアブル【11】など多数ありますが、ローテーション防除を行い薬剤の感受性を低下させないよう注意してください。
  • アブラムシ類
     発生量は平年並ですが、気温が高く増加しやすい気象条件となっていますので、例年、発生が見られるほ場では今後の発生量に留意してください。
    【対策】
     短期間で多発しますので、初期発生を見逃さず防除します。適用のある薬剤はモスピラン顆粒水溶剤【4A】やコルト顆粒水和剤【9B】、ウララ50DF【29】など多数ありますが、同一系統に偏らないよう薬剤系統のローテーションに努めて感受性低下を防ぐとともに、エコピタ液剤【未】など 気門封鎖型の薬剤を活用しましょう。
  • アザミウマ類
     キクにはミナミキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマなど多くの種類が寄生しますが、露地では近年、クロゲハナアザミウマの発生が多くなっています。今年の発生量は平年並ですが各産地で多発ほ場もあり、高温により今後、発生量が増加する可能性があります。
    【対策】
    不要な株、花及びほ場内の雑草は除去するとともに、マルチにより土壌での蛹化を防ぎます。薬剤は発生初期にトランスフォームフロアブル【4C】やファインセーブフロアブル【34】等で防除しますが、感受性が低下しやすいのでローテーション防除を行います。
  • ハダニ類
     県内の一部ですでに多発ほ場があり、気象予報では今後も高温が続きハダニ類が増殖しやすい条件であることから、発生量はやや多い予想です。
    【対策】
     カネマイトフロアブル【20B】やコロマイト乳剤【6】 など 適用のある薬剤は多いのですがハダニ類に対する薬剤感受性の低下は特に問題となっていますので、栽培期間中の使用回数を各薬剤1回に止めるとともに薬剤系統のローテーションに努め、感受性低下を防ぎましょう。また、エコピタ液剤【未】 など感受性低下を起こしにくい気門封鎖型薬剤を活用しましょう。

ダイズ等


  • オオタバコガ
     本虫は広食性で、多くの作物を加害します。卵は葉に1卵ずつ産み付けられ、幼虫は集団になることなく単独で活動します。また、幼虫は展開前の葉や花蕾、果実、結球部に食入しやすく、若齢幼虫が集団で葉を加害するヨトウ類に比べて発見しにくい特徴があります。また、ハスモンヨトウと同様に老齢幼虫は防除効果が低下します。今年は平年より早くから発生しており、世代を重ねるたびに発生が多くなりますので、県からは多発する可能性があるとして、7月2日に早期発見と防除を呼び掛ける注意報が発表されています。
    【対策】
     食入後や老齢幼虫は薬剤の効果が低くなるため、若齢幼虫を早期に発見して防除を徹底することが大切です。幼虫は分散して生息していますので、1頭でも発見したら周辺の発生状況を確認してください。ダイズではヨトウ類のような食害による白変葉は生じず未展開葉に潜って食害している場合が多いので、注意して観察する必要があります。被害部位の残渣は、卵や幼虫が付着している可能性があり適切に処分しましょう。 本虫の適用薬剤は比較的少なく作物ごとに違いますので、JAなどで問い合わせるとともに、薬剤のラベルの表示を確認してください。なお、今後は本虫と同様に昨年多発したシロイチモジヨトウやハスモンヨトウの多発も懸念されますので、これらの発生にも注意し、発生があれば早期に同時防除を実施してください。


☆薬剤名に続く【 】内の数字や記号はIRACコード(殺虫剤)、FRACコード(殺菌剤)で薬剤の系統を表し、同じ数字や記号は同じ系統の薬剤です。農薬は使用する前にラベル等で登録内容、注意事項等を確認してからご使用ください。

新着情報